気まぐれ日記
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ダメでした。今朝、「もう一度良く考えて見ます」などと電話してきたらしい。話によると、面接中一言もしゃべらなかったとか。もう一度考える予知も何もなく嫌なのだから電話したのでしょう。 新聞広告で酷い目にあったと言って聞かなかった施設長も、とうとう広告出してくれるので、まあ良しとしましょう。
塔 十九階
十九階の小世界はシェルターに閉じられていた。だいぶ痛みが激しくシェルターはいとも簡単に開いた。 「魔物のせいね」 中は、異臭に包まれている。どろどろとした空気がダノたちにまとわりつく。シルアがはっとして目をそむけた。タジュトも顔を覆った。 子供の死体だった。近くにかたまって三人の死体。 「だいぶ、経つな」 ダノは死体の様子を見て言う。肉のついていない死体、見るからに餓死とわかるものだった。 「一体、どうしてこんなことに」 シルアが震えている。彼女には全てが見え始めていた。 「お兄ちゃん、階段がある」 部屋の置くのドアが開いてあり下に続く階段がある。恐る恐る、その階段を下りた。男が一人部屋の隅に倒れていた。やはり、餓死と見られる。大事そうに何かを抱えていた。 黒い皮の表紙の手帳だった。そこには……。 「3月28日 なんとかこのシェルターに逃げ込めた。限られた水と食料を長持ちさせるために私はほとんど手をつけず子供たちに与えてきた。 だがもう限界だ。 ケン、ユキ、お前たちを置いていく父さんを許しておくれ。アキラ、ふたりのことを頼むぞ。 神よ、私の命と引き換えにこの子達をお守りください。私…は……」 筆はそこで途切れている。ここで、彼とその子供たちは壮絶で静かな最期を迎えたと想像できた。 「私には、その場面がありありと見える。もう、出ましょう」 シルアは出口に向かっている。 「これ、なんだろう?」 タジュトは反対側の隅にシーツをかぶせた何かが置かれている。それをめくると、奇妙なマークが描かれた爆弾が現れた。 「タジュトさん、それは人が……私たちすべてが持つべき物じゃありません。そのままにしてください」 シルアは真剣なまなざしでタジュトに訴えるように言った。彼女はそっとシーツを戻した。上の階に戻るとすでに魔物たちはその場を荒らしていた。 「お前ら。ここはもう荒らしていい場所じゃねえ!」 オードが怒鳴る。襲いかかる魔物をファイアで焼く。彼はまた変化して炎の巨人となっていた。 「早く出ましょう。嫌な予感がする」 シルアは魔物を気にせずシェルターから出た。三人もあとから続く。扉を閉め、すぐにそこから離れた。 ドウン! くぐもった爆発音が聞こえた。 「あの爆弾、爆発しちゃったの?」 「しばらく……もう、近づかない方がいいわ。行きましょ」 シルアはいつにもなく真面目に、静かに言うので一行は二十階に向かった。
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