気まぐれ日記
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今、自分のパソに入っているドライブでは、書き込み不可能ということがわかりました。三日かけて……。 笑ってください。
街に戻ったダノたちは呆然と街の様子を眺めた。 「何があったんだ……」 オードは街の異変に何も出来ずにいた。 「大丈夫……」 タジュトが倒れている人を起こそうとしたが途中でやめる。すでに死んでいた。 「駄目、ほとんどの人は……」 シルアが信じられないと言った顔で、ガタガタと震え始めた。 「誰が、こんなことを……」 「朱雀……だ」 生き残った男の一人が言う。生きているが、ケガは酷い。シルアが応急処置のためケアルの書を使った。 「朱雀がやったんだ。突然、街の中に入ってきて……ううっ」 彼を建物……宿屋が無事だったのでそこに運んだ。 「さやかちゃん、無事かな……」 タジュトが元気のない声でつぶやく。他の三人が顔を見合わせると総長のアジトへ向かった。路地を抜けて人通りのない酒場。バイクの残骸が散乱し、荒らされた建物。やはり、暴走族の面々は床に付していた。 「さ、さやかさんが……」 フルフェイスメットの男が、弱弱しい声を上げている。 「おい、しっかりしろ!」 「朱雀に……シンジュクのビルに連れて行かれた……」 「わかった、必ずさやかちゃんは助ける。だから、あんたはさやかちゃんのために生きるんだ!」 他にもまだ生きている者がいる。族の部下も待ちの人々も。シルアとタジュトはそれぞれで忙しくして応急処置を施した。 「タジュトさん、これを」 シルアがきらきら光った瓶を差し出す。 「エリクサーよ。効き目が強いから少しずつでいい。だから、生きている人を助けて」 そしてシルアはケアルの書を抱えながら、ケガを負った人々を治して回った。 それが、夜まで続いた。亡くなった人は街の半数以上だった。シルアもタジュトも疲れが出て、早々と眠っている。オードもしばらく警戒していたが、眠ってしまった。あたりは静まり返っている。ケガでうなされていた人々は魔法や薬が効いて良く眠っていた。 ダノは眠れなかった。 「くそっ、朱雀め……」 そう、口に出した。しかし、ダノは自分を責めていた。もし、自分たちが来なければ、この街は朱雀におびえながらも生きることが出来た。誰かが、「お前たちのせいだ」と言うのが怖かった。 「旅の方」 中年の女性がダノに声をかける。彼はゆっくり顔を上げた。 「そんなに自分を責めることはないよ。遅かれ早かれ、いずれ朱雀は私たちを皆殺しにするだろうと思うの。あの朱雀を早く何とかできるのは、あなたたちでしょ……だから、胸を張ってちょうだい。皆、あんたを恨んでいる人はいないよ。朱雀を恨んでいるんだ。明日の朝には街を出るんでしょ、さやかちゃん、あの子のこと頼んだよ。あの子はいい子だから」 女性はダノに大きな剣を持たせた。ドラゴンソードと呼ばれる、ドラゴン系を一撃で倒す剣だった。 「あんたなら、役に立たせることが出来るだろ。持っておゆき」 ダノはそれを受け取って、礼を言った。少し眠ったら、朝だった。三人はすでに準備をしている。街の人々が起きないうちに彼らは出発した。
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