気まぐれ日記
DiaryINDEX|past|will
「THE BLACK MAGES」というFFシリーズの戦闘シーンのサウンドをアレンジしたCDを聞いてます。中古屋でめっけました。 そんな状態で書けるかって? 大丈夫でしょ、サガも作曲は植松伸夫氏ですから。
空中世界
雲の上を歩いたのは、おそらく三人にとって初めてだった。 「雲って、綿菓子じゃなかったの! お兄ちゃん」 タジュトが掴もうにもつかめない雲に驚いている。そんな妹にダノは一言、バーカと言った。 「でも、雲は水蒸気のはずよ。一体どうして」 「シルア、考えるな」 それを考えたとたん自分たちは陸も見えないこの高さから落ちてしまうのでは、と思い彼は黙らせた。 「考えたってわかるはずないだろ。多分。それより、あそこだ、あそこに街がある」 彼の指差す方に確かに街がある。 「白虎はどこにいるのかしら?」 「案外、すぐに会っちゃったりして」 「シルアの言うとおり、とりあえず白虎の傭兵をするからな。タジュト、大人しくしとけよ」 「はーい」 街に入る。なかなか活気付いている街だった。大きなパブが入り口からでも見える。 「また、レジスタンスが……」 「白虎に楯突くから、殺されちまうんだ」 「もう、ほとんど残っちゃいないだろうね」 人々の噂は、レジスタンスという白虎に対抗する組織のことばかりだった。噂に聞き耳を立てていると、ダノたちに気づいた一人が話しかけてきた。 「お、あんたたちどっから来た?」 「と……」 タジュトの口をダノがふさいだ。 「ああ、そうか。元レジスタンスだな。白虎に殺されたくなかったらお前たち、傭兵になるといいよ。自分の仲間になれば白虎も殺しやしないさ」 「そうだな。でさ、どうしたらその傭兵になれる?」 「酒場に行けばいいのさ。そこからはお前たち次第さ。幸運を祈るよ」 「サンキュ」 言われたとおり、酒場……パブに入ると、中は傭兵ばかりがうろついていた。 「何か飲むか?」 「はーい、あたしはクリームソーダ」 「オレンジジュースを」 「じゃあ俺はコーラ」 注文を済ますと、傭兵の一人が声を掛けてきた。 「おい、ここは白虎様の傭兵専用なんだ」 「命あるうちにママのところに帰りな。もっとも姉ちゃんたちは残ってていいぜ。可愛がってやるからよ。ぎゃっ!」 タジュトが足を踏んづけた。シルアの腰に手を回そうとした傭兵は手をやけどする。「触るとやけど」というエスパーの能力が発動したらしい。 「この野郎!」 「よせよ、せっかくの酒が不味くなる……」 「何言ってんの? お兄ちゃんが飲んでるのはコーラじゃない」 「一度、言ってみたかったんだ」 「うっが〜! 馬鹿にしやがって!」 傭兵が襲ってくる。ダノは足払いをかけてパンチをお見舞いした。その傭兵が壁まで吹っ飛んで衝突、気絶する。 「お、お前ら!」 他の傭兵がダノたちを囲む。やる気は満々のようだ。 「よせ!」 中年の男が止めた。 「それ以上、騒ぐなら代わりに俺が相手するぜ」 「隊長! そ、それは……」 「おい、お前たち。なかなか出来るじゃねえか。どうだ、白虎親衛隊に入らねえか?」 ダノは待ってましたというような顔をこらえて、あくまで無表情で少し笑みを作った。 「いいだろう……」 「何かっこつけてんの、お兄ちゃん」 タジュトにつっこまれたが、三人は白虎の元に案内された。
|