気まぐれ日記
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つまるとこ、一日ではおさまりにくいのですね。
サガはもう少し待ってください。
夕方、ブロードは部屋まで迎えに来た。 「お主にしては、なんだかずいぶん慎重だのう」 「ああ、相手が相手だからな。俺は知らねえけど」 「? ロセウ。飯にするぞ」 「うん」 食堂は混んでいた。それでも席は一つあいていた。テーブルに予約席と書かれた札がある。ブロードは札をポケットにしまい、席を勧めた。 「わざわざ、予約まで」 「いらっしゃいませ」 すかさず給仕がメニューを渡す。 「本日は、魚のマリネと子牛のレアステーキがお勧めですよ」 もちろん、知っている顔だった。 「セアレか」 「お久しぶりですね、アニムさん。ああ、そっちの子はエルフですか? なかなかいい感情を持っておられます」 「相変わらずだのう。二人がこうして宿に潜んでおるのはどうしてだ?」 「それは、そっちのブロードさんに聞いてください。僕は今、忙しいですから、それじゃ、ご注文が決まりましたらお呼びください」 セアレはとっとと他へ行ってしまった。彼もまた、魔族。それもかなり力を持った魔族だが、ああいう性格と、糧が感情と人間にはあまり害がない。そして、どういうわけか労働が好きだった。 「アニム、あの人も魔族?」 「そう。で、ブロード。一体何があるのだ?」 ブロードは、お冷を手に取りもてあましながら説明し始めた。 「封印されていた魔族が最近、解かれたんだと。それが、オフィーリス姉さんに匹敵するくらい古くて強い魔族らしい。本当はオフィーリス姉さんが行くべきところ、姉さんは、あたしの魅力に気づかないバカの相手はしたくない、とか言って拒否ったんだ。そんで、俺とあのバイト馬鹿が行くことになったんだ。気をつけろよ、何でも気に入った相手なら男でも女でも構わねえ野郎らしいから……」 「……」 「どした?」 「いや、小生はそのお勧めの魚のマリネとシーフードドリアをもらおうかのう。ロセウは?」 「俺は子牛のレアステーキ、セットで」 「はいはい、承りました。ところで、アニムさん。僕に隠し事は通用しませんよ」 「……」 「でも、かなりおいしい感情なので黙っておきますね。ブロードさん、どうやらもう仕事は片付きそうです。ご苦労様。僕はもう少しバイト続けるって言っておいてください」 セアレは感情を食らう魔族なんで、心が読める。それはアニムも十分知っていた。 「あー、なんだよ。それ!」 ロセウが、エルフのハーフとして存在していられる理由の一つには、彼が死にそうになった時、封印が解かれたばかりで身体を失った魔族が彼の身体を借りて復活した。そのおかげで、今のロセウがいる。 今、その魔族はアニムが封じているが……。 「まあ、よくわかれねえけど大丈夫らしいし、俺は明日にでも報告しに行くよ。あ、バイト料もらえるのかな……」 ブロードは自分が頼んだパスタをフォークでつついている。たまにアニムが頼んだマリネに手をつけているが、気にしなかった。 「ねえ、その魔族って俺の」 「黙っておれ、ロセウ。お主が気にすることでない。それに、あのセアレが良いといっておるのだから良い」 アニムは、半分自分に言い聞かせるように言った。
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