気まぐれ日記
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に行ってきます。
カシスが笑った。その笑いは乾いている。 「伝説だってさ、べグゼッド」 「ううっ……」 「しかし、伝説ではないかもしれない。何しろ」 「時間だから?」 台詞を先取りされたトルクはそれ以上何も言わない。黙って本を読んでいた。「時間だから」は、この老人の口癖だった。何の時間を指しているのかは、べグゼッドには経験済みである。魔族たちが動き出し不可思議なことが次々起こっている。彼はそれを嫌と言うほど経験した。 「ねえ、その変装名人一族ってどこに住んでいるの?」 「さあて、西に住んでいるとも東に住んでいるとも言われるが、一番近いところにいるかもしれないな」 「そうか。ありがと、トルク」 「べグゼッド、無茶だけはするな」 「うん」 二人はトルクの部屋から出た。 「今度は親父の部屋だ」 「なんか、変なこと考えてんのか?」 「だから、親父に許可とってもらうんだよ」 べグゼッドはにやにやしている。何かよからぬことを考え付いた証拠だ。 「あの記者を呼び出す」 「あの記者って、あの記者か?」 昨日、会ったとんでもない記者をカシスは思い出しただけで、ムカムカする。 「で、どうすんだ?」 「でっち上げてもらうんだ。犯人を、俺として」 「はあ?」 確かに、容疑者候補として名前は出されたが、はっきりと犯人とまでは書いていない。いや、書けない。ますます、カシスは混乱した。
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