気まぐれ日記
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ゆっくりしてたら時間が……。
彼は魔法も順調に覚えていった。こうして何年も経って彼は大人になった。レスティは相変わらず若い女性の姿をしていた。 「あんたもそろそろ、ここから出て行く頃になったわね」 「レスティのおかげだ。でも、女王はなんで俺をここにおいて置くんだ?」 「あの強欲はあんたの魔力が欲しいのさ。だから逃げないとね」 「逃げるって、どこへ?」 「あの女王の手の届かないところだよ」 静かな夜だった。月は満ちていて窓から光があふれている。しかし、その静寂が破れた。 ばたん! ドアが激しく開かれた。兵士が彼とレスティを囲んだ。そして、女王がそこに現れた。 「こんばんわ。魔女レスティ」 十七年、彼を育てたというより城に閉じ込めていたわりに、当時と同じ若さを女王は保っていた。 「あなたがこの子に何をしていたかはずっと知っていたわ。でも、好都合だった」 「そうだろうね。魔力が育ったんだもの」 「礼を言うわ。でもね、あなたがしたことはこの国では許されないことなの」 「あんたがやることの方が、あたしは許せないね」 レスティはにやりと笑った。その顔がみるみる年を取り、老婆の姿となる。 「あんたはその子を食べるんだからね。魔力を得て、その若さを保つためにね」 「その魔女を公開処刑にしなさい!」 レスティは兵士に羽交い絞めにされ、無理やり引かれていった。 「レスティ!」 彼は彼女のあとを追おうとした。兵士に止められる。 「かわいい我が息子。何故、あんな魔女の言うことを信じたの?」 「お母様……いや、女王。あんたは何故、俺をこの城に閉じ込めた?」 「何を言い出すの? あなたを閉じ込めるなんて……ただ、外は危険なだけよ」 女王はそっと、兵士に目配せをした。それを彼は見逃さない。しかし兵士が動く方が早かった。逃げようとしたがみぞおちに一発食らい、彼は床に伏した。 「そろそろ食べごろだと思っていたから、ちょうどいい。坊や、あなたのその血肉、一滴一欠けらも残さず、わたしがいただくわ。何せ、あなたは不幸の元に生まれた魔女なんですもの」 女王は笑いながら去っていく。 「女王様」 レスティを連れて行った兵士が困った顔で女王に報告した。 「魔女は魔法を使って逃げました」 「ふうん、そう。じゃあ、あなたが公開処刑を受けることね」 彼は少し安堵した。レスティはうまく逃げたようだ。自分も逃げなくては、と思いつつ身体に力は入らない。彼は気絶した。
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