気まぐれ日記
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2005年03月14日(月) こんなにシビアな話に

 するつもりはなかったです。とくに彼女の方は。
 彼のほうは、かなり暗くするつもりだったんですが、やっぱり幸せな結末が良いでしょ? だから当初とは違う方向で考えてます。


 やっと講習も最終日を迎えた。行く準備ももう整えている。彼女は期待を胸に膨らませていた。ニホンとはどのような国なのだろうと。
 教員は、異世界を開くための方法を教えている。明日いっせいにこの教室にいる者たちが異世界に向かう。その人数は当初の四分の一ほどになってしまったが、高位魔女の口からは「今年は優秀だ」ともれていた。
 「では、皆さん、また明日。気をつけて行ってきてください」
 怪我もすっかり治った教員はにっこりと微笑んだ。この日はもう講習はない。今日はもう、家族と別れを惜しむ時間になったのだ。
 彼女が家に帰ると、もうテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
 「おかえり。早かったわね」
 と、母。父はまだ仕事から帰ってきていない。
 「お姉ちゃん、お帰り」
 妹のリタが彼女に抱きついた。
 「わたし、お姉ちゃんにお守り作ったんだ」
 リタは一度彼女から離れてポケットから小さな袋状のものを出した。
 「あんたがお裁縫を?」
 見ると、おまじないの文字を刺繍してある巾着袋で中には何も入ってなかった。これに魔法力のある石を入れることにより、身を守ってくれるお守りとなる。
 「石は後で来るよ」
 「?」
 リタはにやにやと笑った。
 父が帰ってくると、家族での彼女の送別会を含んだ夕食が始まった。父は彼女に石を握らせた。小さながらもルビーで、魔法力がこもっている。
 「中古品だがね」
 と、父は言ってワインを飲んだ。
 「ありがとう、お父さん」
 それをリタが作った巾着袋にいれ、首から提げた。
 夕食が終わると、彼女は早めに寝た。明日は早いのと、こみ上げた涙を隠すために。

 「それじゃ、行ってくるね」
 「気をつけてね」
 母は励ますように手を振った。
 「無理はいかんぞ」
 父は心配そうな顔をする。
 「お姉ちゃん、リタを忘れないで」
 妹は抱きついて離れない。
 「バカね、忘れるわけないじゃない。じゃ、行ってきます」 


草うららか |MAIL

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