気まぐれ日記
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数十秒止まってしまった。 それほど、書くことがない。そんな一日。
夜十二時、拓馬はとある場所に一人いた。 十二時までは酷く長い静かな時間だった。彼は久しぶりに孤独を感じたのだ。 「おーい、三井。約束どおり来てやったぞ」 「あら、よくわかったわね」 「わかるよ。まったく」 三井と呼ばれた女性は、拓馬の前に現れる。 「探偵の真似事なんかしちゃって……それに、あんなブスの奥さんなんかもいちゃってさ、ムカツク」 「……妻と息子を返してもらおうか? 要求は何だ」 「要求なんかないわ、ちょっと挨拶するだけよ。あなたの奥さんと息子さんは、あそこにいるわ」 三井が指差したのは、プレハブ小屋だった。 「無事なんだろうな」 「もちろんよ。傷一つつけていないわよ」 拓馬は走ってプレハブ小屋に向かった。戸を開けると、確かに道子と洋がいる。二人は縛られて小屋の中央にいる。その間には、四角い箱と時計をくっつけた代物があった。 「時限爆弾か!?」 あと二十秒、で爆発するらしい。二人は縛られて眠っていて逃げられそうもない。 「たっくん、どっちかを切れば止まるわよ」 と、三井の声。 ご丁寧に箱の隣にハサミがある。そして、箱から二本のコードがはみ出ていた。 ピンクと青のコードが。 拓馬は舌打ちした。必ずどっちかだ。迷っている暇はない。拓馬は青いコードを切った。二秒前。 しかし、時計は一、ゼロと動いていた。 パーン!
クラッカー音が鳴った。あたりに紙ふぶきが飛び散る。拓馬があっけにとられていると笑い声が聞こえた。 「あはは、びっくりした? でも、最初に言ったでしょ? 挨拶だって。じゃあまたね、たっくん」 三井は、去っていった。 拓馬は、力なくというより、力が抜けてしばらく動かなかった。
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