気まぐれ日記
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変な話だなあ……。
焼きそばを食べ終わり後片付けすると、彼は依頼人の話を聞くことにした。何しろ、浮気がしたいから相手を探せっていう内容なのだから。 「おい、洋。どうした?」 「依頼人とこいってくる」 「なんでだ?」 「だって、浮気相手を探すんだぜ。好みとかも聞かなきゃ」 「はあ?」 洋から依頼書を取り上げ、拓馬は眼を通した。何度もうなずいて、彼はいった。 「教育上よろしくない。これは私が引き受ける」 「何を今更」 こうして、洋はノルマを一つ取り上げられた。
拓馬は依頼人の家に行った。 「こんにちは、柘植探偵事務所です」 京子の家はマンションの一室。三十代前半の美人であった。 「あら、探偵屋さん。今日は何か?」 「ええ、実はあなたの依頼に取り掛かろうと思ったのですが、具体的なことがお聞きしたくて伺いました」 「あら、そう。そういえば、そうよね。どうぞ、あがってください」 「お邪魔します」 リビングに通されて、座布団が用意された。 「どうぞ、お座りになって。今お茶をお持ちします」 「お構いなく」 こぎれいに掃除されている部屋だった。子供はいないらしい。子供がいたのなら、このきれいさを保てないだろう。 「京子さんは、不倫相手をお探しで?」 「はい。夫は単身赴任で……」 ありがちなパターンだ、と拓馬は思った。 「毎日が淋しいんです。子供がいればまだいいのでしょうけど……」 「私どもは、探偵なので深くは追求できません。奥さんに罪の意識がなければ、探して来ます」 「……」 京子は黙って立ち上がった。湯が沸いているのでお茶を持ってくるのであろう。
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