気まぐれ日記
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つまるとこ、火の用心。今朝、通勤中にラジオで「今朝5時56分ころに起こった火事の煙があがってます」 今、8時だよ……。 ちかくを通りかかったとき、その方向を見たら煙が空を覆っていました。 飼い主の家に着いた洋は、家の周りを見て歩いた。そして、それから玄関に向かい、チャイムを鳴らす。 「はい」 インターホンから女性の声がした。 「柘植探偵事務所のものですが」 ややして、中年の女性がドアを開けた。 「見つかったんですか? うちのチュチュちゃん」 「いえ、でも、もう見つけたも同じです」 「はあ?」 「そうか、チュチュちゃんいうんですか? お邪魔してもよろしいですか?」 「ええ」 「では、失礼」 彼は家に入り、二階にあがってよいか断りを入れて、階段を上がった。そして、ベランダのある部屋に入る。ベランダの窓は半分下がすりガラスになっていて見えにくい。彼はベランダを開けた。 「チュチュちゃん!」 チュチュと呼ばれた犬はベランダを開けると同時に入ってきた。 「外からベランダで動くものが見えたので」 「ごめんなちゃいね、チュチュちゃん。あなた出たがっていたから、でもだしたまま忘れるなんて……」 「よかったですね」 犬は飼い主に抱かれていた。外が寒かったらしくおとなしい。 「ありがとうございました」 「いえ。今回は捜索範囲一キロ未満なので、このお値段となっています。期限までに振込み願います」 「わかりました」 飼い主はやや拍子抜けに答えた。 洋は、依頼者の家から出るとこっそりぼやいた。 「ばかばかしい」 彼が、すぐ料金のことを切り出したのは、家の中にいたのと同然なのだから料金を踏み倒しかねないと思ったのだった。実際、一度あった。 庭の木の根っこにリードが絡まり茂みで隠れていた犬を見つけたとき、父は依頼者を口論。結局料金は支払われなかった。 「家帰って、ゲームでもやろ」 そんな。高校生らしいことをつぶやいて彼は気づいた。 ポケットの中に、犬用の菓子がある。本当はこれで手なづけようとしていたのだ。 「まあ、いいや」 彼は、ふと目に付いた野良犬にそれをくれてやった。犬はぽかんとしている。父には、これでおびきよせたと言おう。 彼は、家路に着いた。
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