気まぐれ日記
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やっと見つけることができました。 さあ、ここからが本番(?)ですね……。
日当たりの良い部屋に安い紅茶の香りが漂っていた。悪くない。テーブルには、多種のクッキーが並べていて、三つのカップが置かれていた。マルアニアは、それに紅茶を注ぐ。 「はい、お父様」 マルアニアの父の前に置いた。 「ヘネシーもお座りになって」 言われたとおり座ると、紅茶が目の前に置かれた。湯気が軽く頬をくすぐる。マルアニアも残ったイスに座ると早速クッキーをつまんだ。 「遠慮はしないでね、ヘネシー」 「どうも」 ヘネシーもクッキーをつまむ。素朴な味でおいしかった。彼女が作ったのだろうか、とマルアニアに尋ねたら、メイドが作ったと答えた。紅茶もおいしい。入れ方は一流だった。とは、言ってもヘネシーにはその区別がつかないのだが。 呼び鈴がなった。玄関から近い部屋なのでよく響く。ヘネシーは動かなかった。 「誰かしら?」 マルアニアは席を立って、玄関に向かった。程なく、中年に近い男性が部屋に招き入れられた。 「おや、お客様ですかな?」 きちんとした身なりのその男は、愛想の良い笑みを浮かべた。ヘネシーは、軽く頭を下げた。 「ええ、わたくしの護衛です。お気になさらないで。ゼオナード様、今日はどのようなご用件です? ああ、その前にイスにおかけになってください。お茶をご用意しますわ」 ゼオナードと呼ばれた男は言われたとおり席に座った。そして、マルアニアの父に挨拶をした。 「フィランド殿、お久しぶりでございます」 「ゼオナード殿。こんなむさい屋敷へうこそ。すまないが、私は年でね。身体があまりゆうことを聞かん。こんな姿で申し訳ない」 「いえ、気にしてはいません。それより今日こそはいい返事をいただきたいのですが……やはり、国王からの申し込みを受けるのですか?」 「そのことについては、私からはご返事できません。娘に決めてもらいたいのでね」 「……そうですか」 男は数枚のクッキーをつまんだ。ヘネシーはだまって見ていたが、多分この男はクッキーの味などわからないだろう、と思った。少し上の空だったからだ。 「私は、あの子が幸せならどこでもいいのだがね」 マルアニアの父は、一人つぶやくように言った。
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