気まぐれ日記
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と、我ながら自己嫌悪に落ちた日。 間違えて絹豆腐を頼んでしまい、木綿豆腐を買いに行ったら、絹豆腐を買ってしまい、返品してもらった……。
翌朝、ヘネシーは早く起きたが、マルアニアはとっくに起きていた。 「まだ、寝ていらしてもよいのですよ? とりあえず家の中は安全でしょう」 「いつも、このくらいの時間に起きるのだが……早いな、あなたは」 「ええ、今日はメイドが休みなので家のことはわたくしがしますの」 そういって彼女は台所に引っ込んだ。そして、手軽な、パンとミルクの朝食をとった後、彼女は洗濯をはじめる。 「手伝おうか?」 しかし、ヘネシーは洗濯などやったことはなかったので、「いいえ、お父様とお話ししてあげてください」と、言われてほっとする。言われたとおり、マルアニアの父と話をすることにした。 「お父様は、身体が弱くなってしまって、出かけることをなさらなくなってしまって退屈なのです」 いつも、自分の部屋で本を読んでいるということなので、彼女はその部屋に行くことにする。昨夜、明かりが灯っていた部屋だ。 一応、ノックしてから入った。 「マルアニアから聞いたと思うが、うちはこの通り落ちぶれた貴族でね、多分、食事ですら大したものはだせん。それでも良いのなら、ここにいても構いません」 「ああ、それでいい。私は、どこへ行っていいかわからない人間です」 彼女は言ってしまってから、これじゃあ、犯罪でも犯してきたみたいな言い方だった、と思ったが、マルアニアの父は、穏やかに笑った。 「そうですか。では、お願いします。私も老い先は短いでしょう……。それに」 「それに?」 彼は声を潜めた。机には、手紙が散乱している。たくさんあるが、封筒は二種類で、一つはきれいな封筒だった。もう一つは、王家で使われるような立派なものだった。 「あの子には幸せな結婚をしてもらいたいと常々思っています。気になるのが、娘に求婚しているのが、この国の王と大貴族の家長なのです。当然、他の貴族たちにねたまれるのは眼に見えています。酷ければ、暗殺ということもないことはないかもしれません」 「わかりました。娘さんはお守りする。ご心配なく」 「ありがとうございます。よろしくお願いします」 彼は、手をヘネシーに伸ばした。ヘネシーは握手をする。乾いた、冷たい手だった。
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