気まぐれ日記
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年の瀬がせまっている。なのに、そういう気がしない。さらに、クリスマス? もう? ぜんぜん、迫っているという感じがしない。
ヘネシーの章
この世界がだいぶ昔だと思った。 貴族がギラギラしたドレスや服を着ていて、我が物顔で歩いている。 彼女の時代の貴族はおとなしく日々を送っているというのに。 どこかのお城のそばに彼女はいる。真夜中、夜会に疲れた貴族が帰ってゆく中に彼女はいた。 彼女は、とりあえず、適当な貴族に護衛志願をした。そうしたら、答えはこうだった。 「あなたは女性ですからね、結構です」 女性だから断られたのは初めてではない。それに、こんな真夜中に護衛というのも変だとわかっていたが、このままでは飢え死にする。そんな時、一人の品の良い若い女性が、声を掛けてくれた。 「あなたのような若いお嬢さんが、何故ここに? 貴族ではなさそうですけど……不思議ですわ、あなたから品があふれている」 そんなことを言われたのは、初めてだった。グオン以外に。 「私は、護衛をしたいのだが、女と見て誰も雇ってはくれない。こんな時間だからでもあるが……。正直、食べるものにも困っている」 「……そう、おかわいそうに。わたくしは、落ちぶれましたが貴族の一員です。あなたにお金は払えませんけど、寝るところと食べることの世話ならなんとかできるでしょう」 彼女にとっては、願ったりかなったりだった。当分の居場所が出来たのだから。 「ぜひ、やらせてほしい」 「ああ、よかった。一人で帰るのは心淋しいですから」 「落ちぶれた貴族とはいえ、帰りの馬車もないのか?」 「ええ、売ってしまいました。うちには、父と一人のメイドとわたくししかいません。その内、屋敷も手放すつもりです」 落ちぶれ貴族であるその女性は、笑っていた。淋しげであるが、幸せそうである。そして、誰かに似ていた。 「ああ、そうですわ。わたくしは、マルアニア。あなたは?」 「ヘネシー」 どこかで聞いたことのある名前だった。イーリスがちらっと言っていたことがあったが、忘れてしまった。 「そう。では、ヘネシー。よろしくお願いします」 マルアニアは頭を下げた。貴族らしくない行為だった。
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