気まぐれ日記
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セリナのこと、すっかり忘れてました。
ロビーはがらんとしていた。すべてのドールが、ビルを出て行った。 美紗は急いで、最上階に戻った。 「なんてこと……」 社長が座り込んでいた。夏目をなじっていたが、当の本人は眠ったままだ。 「自業自得って、こういうことなのね」 母の腕を押さえると、力なく下ろす。 「十真様、やっと見つけた」 エレベータが開いたかと思うと、そこからセリナが現れた。うれしそうに夏目に駆け寄った。 「セリナ……?」 夏目は目を覚ます。あまり状況は把握し切れていない。 「夏目さん、大丈夫?」 「美紗さん?……頭が痛い」 「今、森君が着てくれると思うけれど」 「? 先生が?」 セリナが横で頭をさすってくれる。痛いといったからだ。 「あの、美紗さん。何が、あったんですか? ドールがたくさん出て行きましたけど……」 「あなたたちの女王様は、かなりおてんばだったのね」 「?」 美紗はため息をついた。あらかた話を聞いた夏目とセリナは驚いた。 「じゃあ、この会社のドールは……」 「もう、一体も残ってないそうよ」 「みんな、どこへいっちゃったんでしょう?」 「そうね、わからないわ」
この、スティック社のドール脱走騒動は、大きくニュースに取り上げられた。社長はどこへ出ても平謝りだったが、原因だけは不明に終わった。説明できるものはいないだろう。そして、日に日に事件への関心は薄れていった。たまに、ゴミ捨て場で数体が発見された、うちに来て自分のドールとなった、などの情報が流される。ただ、スティック社は解散となった。
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