気まぐれ日記
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美紗は、「美沙」にしたかった。本家と同じって言うのはなんだから、と。でも、本家を「美沙」と思っていたので、同じ「美紗」になりました。 今日の「金スマ」にて、特集やっていたから。
「私が望むのはエネルギーよ、女王様。わが社のすべてのドールに妖精を入れて頂戴」 と、社長は言った。美紗が、信じられないと言う顔をしている。 「そんなことでいいの?」 女王は笑った。あくまでもその笑顔は上品だった。 「分かりました。幸いここは妖精たちが多いし、すぐにできるわ」 「そう、それは運がいいわ」 「お約束はできますか?」 「分かりました。その方の安全は確保しましょう」 「では、あなたが、望むままに」 その言葉の後に、女王が引っ込んだように見えた。少なくとも美紗には。夏目がゆっくりと横に倒れる。 「夏目さん!」 美紗が彼女を受け止めた。眠っているようだ。 「お母様、女王との約束、守ってくださいね」 「ええ、また必要になるまでね」 「そんな……」 そのとき、館内放送が響いた。 『社長! 大変です! ドールが……うわあ!』 何が起こったのかわからず美紗が母の顔を見た。母も、何が起こったのか把握しきれず、うろたえている。 「何があったっていうの?」 社長は、部屋を飛び出した。廊下には、たくさんのドールがひしめき合っている。 すべて、同じ顔をのドールが! 「お母様、これはどういうこと?」 ドールは、同じ顔のものは作られない。似ているものは確かにあるが、「双子」などという設定がない限り、全く同じ顔のものは作られない。それが、各社の暗黙のルールである。 「ごめんなさい、美紗……」 「やっぱり、こんなことしていたのね」 そのドールたちが、社長を見て笑い、同じ方向へ去っていく。 「あなたたち、どこへ行くの?」 ドールはくすくすと笑って、エレベーターに乗っていく。美紗はエレベーターに一緒に乗り込み、一階まで下がった。 一階もドールでいっぱいだった。ロビーで受付嬢が、恐怖で顔を引きつらせている。みんな、出口に向かっている。 「さようなら」 「さようなら」 「さようなら」 「さようなら……」 玄関を出たドールたちは、一様にそう言って、出て行った。 すべてのドールが去るまで、美紗には長い時間だったが、実際は短い時間だった。
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