気まぐれ日記
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健康診断の日。体重についてはもう諦めてます。去年採血がへたくそな人に当たり、腕に大あざが出来た。まるで薬物常習犯みたいだと母に言われた。マジで、保健センターに文句言いに行こうかと思った。今年は一発で決めてくれて刺した跡しか残ってない。良かった良かった。
ナーシャに連れられ彼は城とは別の建物に向かった。途中、ジグルが案内することになる。 「あのドラゴンをあなた方の方法で送ってあげて欲しい」 ナーシャはそっと耳打ちした。 「送る?」 「死ぬと人間は葬儀をする。ドラゴンも何かするのでしょ?」 彼女との会話はそこで断たれる。 「では、ジグル様、よろしくお願いします」 「分かりました。それにしても、そんなに見たいのですか? あれを」 「だから、何だというのだ?」 「ああ、ナーシャは何も言わなかったですか? まあ、いいでしょう」 その離れは簡易なレンガ造りの小屋だった。人、一人横になれるようなスペースはない。中は暗く何も見えなかった。中に入ると、ジグルが扉を閉める。 「すいません、今、明かりをつけます」 ろうそくに火が灯る。その小屋の奥に小さな祭壇があり、その上にはビロードの敷物そして、ドラゴンの首。 「わが国で、最初に捕獲したドラゴンですが……今は見ての通りです」 彼の足元から、からん、と音がした。それが数回続く。あの淡く光る球がいくつか落ちていた。 「ドラゴンティア……。これが、そうですか?」 ジグルがそれをつまもうとした時、彼は言った。 「こんなところにいたのか……」 ジグルに向けてではなく、その首に向けてである。 「お前がいなくなって、何年も探した。人間が好きだったお前は人間に混じってしまって見つからないとも思った。なのに、こんな形でお前に会えるとは……」 彼は、その首を撫ぜる。人間が赤子を撫ぜるのと同じくらい優しく。 「お前は、何になる?」 その意味をジグルは知らなかった。彼が撫ぜていると、その首が消えていく。しかし何も残らなかった。 「何にも、ならないのか……。お前の魂はもう、どこかに言ってしまったんだな、エミィシェル」 彼は少しの間、ほうけていた。まだ、その手にドラゴンの首があるように。 そして、その小さな小屋は一瞬で跡形もなく崩された。
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