気まぐれ日記
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| 2004年06月22日(火) |
「またあんたか! じじい!」 |
いーやもう、ここでぶちまけます。
自主規制(注・確かにこのスペース分の文句を書いた)
……いや、もう、気をつけましょう。世の中、正しい人ばかりじゃないんだから。車だと、ぶつかった方が悪いから。
彼は時折立ち止まり、耳を済ませて確認しながら進む。 「ここだ」 彼は、店らしき建物の前に立った。 「でも、遅かった」 上空には、ドラゴンがいる。彼は、音をたどることで手一杯だった。 「ギネビア! だめだって、落ち着いて!」 ルヴィアが叫ぶ、その姿は本来の姿に戻った。空に飛び上がる。 「もう、待てない! 私の子、返して返して返して」 ギネビアと呼ばれた白いドラゴンは人間の言葉を叫んだ。後は、ギャーギャーとわめいて飛び回る。 「ギネビア……スノードラゴン」 「かなり、イラだってますね。雪が来ますよ」 それまで晴天だったのが、暗い雲が押し寄せ薄暗くなる。それに併せて気温は一気に氷点下に下がる。ロイタスの言った通り、雪が、吹雪がどっと吹いてきた。初夏が、真冬に変わった。 「私は幸い大丈夫ですけど、セルヴェスは?」 「ああ、大丈夫だ」 参っているのはルヴィアだ。一番不利な状況にもかかわらず、ギネビアの前にいる。 「もう少し、もう少しだから……」 ルヴィアの声は届かない。 「私が、必ず、助ける」 風の中を、彼は飛び上がってきた。 「セルヴェス……」 白いドラゴンがわめくのをやめた。 「吹雪いているうちに帰った方がいい。私もルヴィアもお前も、姿が隠せる」 「必ず、必ず、お願いね」 「もちろんだ」 しばらくして、吹雪がやみ、青空が見える。そのころにはすでに彼もルヴィアも人の姿となり、ギネビアは去って行った。 「ご苦労様」 「ああ」 王都では、今のはなんだったんだと騒いでいるが、その内収まっていく。 「まさか、ギネビアの子、あんたの子じゃないでしょうね?」 ルヴィアが彼に聞いた。冗談のようだが、本当ならすごい剣幕になりそうだ。 「まさか。私は五十年は寝ていたんだ。確かに彼女とは相手になったことはあるが、もうずいぶん前の話だ」 ドラゴンは、その長い生のうち、夫婦であるのは一日だけだという。雌ドラゴンが何匹子供を産もうがすべて相手が違い、その相手とは二度と会うことはしない。雌は子供を育て放ししばらくすると、また次の相手を探す。それが、ドラゴンの生命のつなぎ方。 「でも、まずいな。ギネビアと会ってしまった」 別れた相手に会うのは彼らのタブーである。 「仕方ないね。状況が違う。あんたも気になるならしゃしゃり出なければ良かったんだ」 「あとで、弁解頼む」 「あいよ」 「私からも、一言添えます」 「ありがたい」 そのドアを前に、ずいぶん長くいたような気がしたが、ほんの少しの時間だった。 「入るぞ」 彼はノブに手をかけた。
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