気まぐれ日記
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えーと、鈴木次郎著の漫画です。全二巻とお手軽な長さです。実は同じゼロサムコミックのとある漫画を探していたんですが見つからず、たまたま連載していたころを本誌でちらっと読んでいたためとキャラのかわゆさにつられて買ってしまったのです(ブックオフで)。なんだか読んでて幸せになる漫画ですよ。(腹かかえて笑ってください)
厨房は全部回ったが、猫は見つからない。ゼデューもそれは同じだったようだ。ただ、何かとメイドや使用人の立ち話を聞くことが多かった。それは、フレクアも城の中で日常茶飯事である。噂話に、他人の悪口、亭主への愚痴と子育ての悩み。 「ゼデューも聞いた?」 「ええ、もちろん。よくこの見張り台で女の人が泣くと言うそうです」 「それよ。猫がてっぺんにいて降りられなくなって鳴いているのよ」 使用人いわく、幽霊の泣き声が聞こえたのは昨日。幽霊が出たとしてもいきなりすぎる。昼間は人の出入りが多いから鳴き声も聞こえにくい。 「ここ、厨房が多いのはブランディーケーキを作っているからなんだって。今の貴族は何かしら仕事をもってないと暮らせないのよ」 「へえ、貴族って働かなくてもいいと思ってました」 「そんなの昔の話よ。で、あのお嬢様は、ここのお菓子会社を受け持っているんだって。もっぱら味見係だっていうけど、あの子がおいしいというお菓子はベストセラー間違いなしなんだって」 「それは、聞きましたが……」 「それじゃあ、早速、猫ちゃんを助けましょ」 フレクアとゼデューは見張り台へ向かう。長く続く螺旋階段を登り、見張り台というより見晴台につく。 「ひいいいいいいっ」 「なによ、あんた。まさか高所恐怖症?」 「実は……」 「高所恐怖症だけど、うっかりついてきて登ってしまったっていうの?」 「実は、その通りです」 フレクアはちょっと、がっかりした。すぐに気を取り直し腰に差した剣を鞘ごと外しゼデューに預ける。 「これ持ってって」 「フレクアさん、まさか……登るんですか?」 「当たり前でしょ」 フレクアが見晴台の手すりの上に立ちそこから屋根に上がる。にー、という声がした。黒い色の猫だった。 「あなたがドーナちゃんね」 猫は恐る恐るフレクアに近づいた。 「怖かったでしょ。もう大丈夫よ。おいで」 フレクアが手を伸ばした。猫はフレクアに近づき、彼女はそれを両手で抱き上げた。片手で抱きなおすとゆっくり後ろから後退する。屋根ふちから足を下ろしもう片方の手で身体を支える。足は見晴台の手すりに届かない。 「ゼデュー、猫ちゃんをお願い」 猫を放すと、見晴台に着地する。猫ののんきなもので安全な場所に着き、あくびを欠いて床に丸まった。 「ああ、よかった……」 ゼデューがほっとしようとした時、フレクアは手すりに足を乗せようとして滑らせた。
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