気まぐれ日記
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はじめましょう。
朝食を取ってから例の依頼主への家へ向かう。『迷い猫ドーナ』の飼い主は、小さな女の子だった。ただし、この辺の大貴族のお嬢様である。 「そちらがウォンテッダーか? まだ年端もゆかない者もおるようじゃが」 「お嬢様よりは年上ですぞ」 と、品の良い老人の側近は言った。多分、このお嬢様の家庭教師であるらしい。 「うむ、そうだな」 「あのう……。ドーナっていう猫を探すのですよね?」 「その通り。わらわの愛猫じゃ」 少女はさびしい表情をする。しかし、言葉遣いからそれを感じさせない。 「それでは、いくつかお聞きしたいのですが」 と、ゼデューは前に出てくる。 「むろん、かまわない」 「まずは、いなくなったことに気づいたのはいつですか?」 「昨日の朝だった」 「猫が行きそうなところは?」 「台所……厨房が多い。えさをもらっておるからな」 「外へは自由に出られるのですか?」 「せいぜい、庭までだな、じい、そうであろう?」 「はい、お嬢様」 「わかりました。猫は、この屋敷内ないし庭にいると考えてもよろしいですね」 「頼む」 少女は多忙によりこれ以上の面会は出来ないと言い、応接間を出て行った。 「ゼデューなんかすごーい。探偵みたい」 「そうですか?」 彼は恥ずかしそうにしている。褒められることに慣れていないのかもしれない。 「でも、この屋敷内を探すとしたら……大変ね」 「そうですねえ」 とにかく、厨房へ向かうことにした。しかし、この広い屋敷には、大小あわせて十箇所も厨房があるという。 「私は、西側のほうから行くから、あんたは東側からにしましょ」 「ええ」 二手に分かれて厨房へ向かう。この屋敷は大きく西と東に分かれて、南には塔のような見晴台がある。 「まるでお城ね」 フレクアがふと、自分の家を思い出した。あれも城だし複雑なつくりになっている。ここよりは迷いにくいと思った。だが、実際動くとなると見取り図なしでは屋敷を回ることは出来なかった。
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