気まぐれ日記
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すいません。今気づいて直しました。 ゼディーでありません。ゼデューです。
ゼデューの朝は早い。聖職者としての生活は板についている。まだ眠そうにしていたフレクアはのそのそと起き上がった。カーテンの向こうから「おはようございます」と声が聞こえる。 「路銀が少ないとはいえ、あんたと同じ部屋なんて……」 「何を言ってるんですか。ぼく、信用ないんですか?」 「えーえー、信用はしてますよ」 喧嘩さえしなけれければね。とりあえず普段は聖職者並に紳士なのであるのだ。 部屋は半分をカーテンで仕切ってもらった。着替えなどもあるしゼデューが気を利かせてくれたのである。 「まだ、早いわよ。依頼人も寝てるわ」 「すいません。身についちゃっているんですよ」 「朝ごはんも早いし……。稽古でもやろうかしら」 「稽古?」 「素振りよ。イメージしながら振るの」 フレクアは着替えてカーテンから出てくる。そのまま部屋を出ようとする。 「どこへ?」 「庭よ」 宿の庭は狭いので、適当な棒切れを拾った。 「軽いけど、ないよりはましなのよね。危ないから離れて」 振り始めた。傍から見るとただ棒を振るっているように見える。しかし、気迫が違った。 「フレクアさんにしか、見えないんですね」 ゼデューは真剣に棒を振るフレクアを見ている。彼女の目の前には彼女にしか見えない相手がおり、彼女はそれに立ち向かっている。そして、今彼女にはゼデューは見えていない。 「はああっ!」 彼女が大きく振りかざす、が、棒ははじかれたように手から離れて、ゼデューの頭に突き刺さった。 「きゃっ、ゼデュー、大丈夫?」 「まあ、平気です」 ただの棒切れは彼の頭を刺して地面に落ちた。怪我はない。 「でも、イメージで負けたんですか?」 「そうよ、相手はおじ様ですもの。少しだけ付き合いで相手してくださったから長くお相手できただけで、私なんか一瞬ですわ」 「イメージですよね?」 ゼデューがもう一度聞いた。 「そうよ」 「……」 すごいのか、ただ想像力が豊か過ぎるのかゼデューには分からない。しかし彼女は三十分以上棒を振り続けたのだ。 「フレクアさんのご家族って、皆そうなんですか?」 「そうね、ヘネシー姉さまはぐんを抜いて強いですわ」 「ああ、ランタルナで会った美しい方ですね」 「おじ様も、あれには勝てないっておっしゃってました」 「……」 一体どんな家族なんだ、とゼデューは思った。剣術にやたらめった強く、子沢山で、一族ほぼ全員に放浪癖があるビアソーイダ島国の王女なのだが、ゼデューがそれに気づくのはまだ先である。
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