気まぐれ日記
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かかってしまったわ……。
シンハーが抱きかかえようとアニムの腕を肩にかける。 「お主、なんなのだ?」 「わっ、アニム、気づいたの?」 「気づいたも何も、気は失ってない」 「アニム、丈夫だよね。良かった」 「ああ、まあな」 と、言いつつアニムは当然だと思う。エルフは人間の四、五倍は寿命が長い。そのぶん、華奢に見えても体は丈夫に出来ている、と。 「で、そっちのはなんだ」 と、魔族を弱弱しくにらむ。 「俺は、ウォンド。よろしくな」 「……よろしくされる筋合いはないが、ロセウは?」 「あのガキならちゃんといるよ。安心しな。それよりも、アニム。あんた、丈夫とはいえかなり弱ってんだ。俺のことより少し休みなよ」 「……本当にロセウは大丈夫なのだな、ウォンド」 シンハーに背負われながら、アニムは眠っていた。一番の回復方法である。宿に戻ったのは明け方近くだった。宿に着くとシンハーはアニムをベッドに寝かせて自分も宿に帰っていった。夕方ころにでも顔を見に来るよ、と言って。 アニムはそれから一眠りして昼前に眼を覚ます。そのころにはもう、ほぼ良くなっていた。 「まだ、横になってた方がいいんじゃねえ?」 ウォンドと名乗った魔族が言う。ずっとベッド脇のイスについていたらしい。 「……だいぶ良い。それより、お主はなんなんだ? ロセウとはどういう関係なのだ?」 ウォンドが少し自嘲気味に笑うと、話し始める。アニムはベッドから起き上がったままの格好だった。 「つい最近のことさ。俺が封印から逃れたのは……」 ウォンドは、あの伝説の英雄と呼ばれる(実は魔族である)ティママンと同じくらいに人間界に入ったと言う。しかし、魔族だという理由で封じられてしまった。 「だけど、身体はもうなかったし魔力も衰えていたんだ。俺は精神だけで這い出してきたんだ。そこへ、ロセウが倒れこんだんだ」 その時のロセウは死にかけていた。痩せこけてふらふらで意識がなかった。それでも、ウォンドにとっては好都合だった。ロセウの身体に入り、操り、体力を戻していこうとした。 「そこへ、あのカルストラだ。知ってか知らぬかロセウを助けた。ロセウの奴はみるみる元気になる。で、俺は出るに出られなくなったわけだ」 「……出てゆけ」 アニムが話を聞いて、ウォンドに言った。 「それが、無理なんだな。どうも、ロセウと変に融合しちまって出られなくなったんだ。で、初めて俺、外に出れたんだが中に戻る方法がわからんときている」 アニムの表情が険しくなる。それでも、ウォンドは続けた。 「でも、俺がロセウの中に入らなかったら今頃は死んでいたんだぜ。死ぬ一歩前だったし」 「その言葉、どっかで聞いたのう……」 「でもよ、俺はアニムに感謝してんだぜ。うまくいかなかったら、俺は一生カルストラのもとか妖精主のもとで退屈に過ごしていたはずだからな」
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