気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2004年01月04日(日) 楽しいお正月をすごされましたか

 三が日も過ぎそろそろ仕事はじめでしょうか? がんばってください。(自分ががんばれ) 今日は、短編最終日。前にやったフェアリードールの番外編でも書こうと思います。

 こんな世の中でも、騒がしくなるのは正月と盆とクリスマス。このときだけバイト募集も増え、夏目も稼ぎ時だった。ただ、今年はドクターストップ(そんなおおげさなものでない)がかかり、バイト禁止された。
 「もう、こんな時間……」
 「トーマさま、おはようございます」
 セリナはいつもの笑顔で迎える。セリナはドールと呼ばれる人間とかわりなく作られたアンドロイドなのだが、彼女の場合、妖精が入り込み混じってしまったがため本来のドールにはない行動を取るドールだった。どういうわけか、夏目を主人としている。
 「こんなにゆっくり正月を過ごすとは思わなかったよ」
 「夕べは飲みっぱなしでしたね」
 「うん、女じゃないと飲めないけど」
 幼いころ大病を患い、手術代として実験に使われた彼の体は、時折女となる。それも薬で抑えていたが、そのうち開き直りなるがままの生活を送っている。彼にも無意識だが、女であると微妙なところで性格などが違う。鮭も女である時でしか飲めない。
 「さすがに飲みすぎた」
 「でも、大丈夫なんですね」
 夏目が寝ている間、セリナは片付け物をしていた。おかげで彼は家事などに苦労しない。
 「二日だもんな。セリナ、ちょっと出ようか?」
 「え?」
 ドールを外に出すことはめったにしない。ドールは目立つからだった。
 「うん、ちょっと……」
 言いかけてチャイムが鳴る。
 「あけましておめでとう」
 「井上さん、アケオメですね」
 井上はセリナを作った技術書である。セリナのドールらしからぬ行動を研究していたが、その答えが妖精だったことにはさすがに気づかなかった。それでも、今までない主人に尽くしながらも意見をするドールを開発した。
 「あけおめ?」
 井上は夏目の顔を見る。
 「略語みたいだよ。なんでも昔の記録を読んだらしくて」
 「そうか、でもセリナ。それじゃあわからないよ」
 「はい」
 井上にとって、セリナは子供だった。それも手塩にかけた傑作だったのである。
 「今日はお年始周りのついでに寄ったんだ。すまないね、ゆっくりもしていけない。玄関で失礼するよ」
 「俺たちも今、出るところだったんだ」
 「へえ、どこへ?」

 神社は人もまばらでがらんとしている。
 「初詣、行ってなかった」
 「初詣ですか?」
 「年の初めに、神様にお賽銭あげて、お願いするんだよ」
 「何を?」
 「たとえば、健康でいられますようにとか、宝くじが当たりますようにとか……」
 「あの、やりたいです」
 夏目はセリナに小銭を渡す。夏目も再選を投げると鈴を鳴らして手を合わせた。みようみまねでセリナもやる。
 「セリナは何を願ったんだい?」
 「内緒、です」
 ずっと、トーマ様と一緒でいられますように。
 「まあ、いいか。さ、帰ろうか」
 「はい」
 二人は家路に着いた。


草うららか |MAIL

My追加