気まぐれ日記
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2003年11月28日(金) 『フレクアがいなくなった。多分旅に出たと思う。

 お前の手は煩わせたくないが、見つけ次第戻るように伝えてくれ』
 
 手紙を開いたバルクは読んで固まった。
 「どうした、バルク」
 アニムが聞く。
 「フレクアが……」
 そこで言葉が止まる。ブロードが手紙を引ったくり、声に出して読んだ。そして、大爆笑。
 「フレクアちゃん、やるー!」
 「ばかやろっ! まだ十四の小娘が一人旅なんて……」
 再びバルクの言葉は止まった。ビアソーイダ王家では珍しい行動ではない。返って今まで城にいた方が不思議だ。
 「……しょうがねえなあ、もう」
 「どうする? このままとどまるか?」
 「いや行こうぜ、フォーランズ。もうどこに行っちまったのかわかんねえしよ。兄貴らに捕まらない限り、そのうち会えると思うぜ」
 こうして、一行はフォーランズへ向かった。

 「えーと、コンファイアに行くには……」
 港で少女が一人、さまよっていた。
 フレクアはおととい朝早く城を出た。バルクたちが出るずっと前に。一人、なにを思ってか彼女はフォーランズに向かうことにした。しかし、彼女が行き着いた場所はバルクたちが向かった港ではなく、反対方向にあるビアソーイダ北の港だった。
 「あれ、ないや」
 ここから出港するのは、北のランタルナ、西のコンファイア、東のアンギルスである。したがって、南のフォーランズへ行く船はない。
 「どうしようかなあ……」
 そうだ、遠回りなるけど、一度コンファイアに行ってそれからフォーランズへ行こう。
 彼女はすぐに船券の手続きをしたが、話を聞いて宿をとった。通常、船券は二日前に取っておくのが常識だった。とりあえず、コンファイア行きのチケットを取り、そして、今日その船を捜していた。
 出港時間が迫っている。今日は少し寝坊をしたためだった。
 「あ、あれね」
 ご乗船方はお急ぎください、と乗員が叫んでいる。フレクアは急いで乗り込んだ。
 北のランタルナ行きに。


草うららか |MAIL

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