気まぐれ日記
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レトはまだいやいやしている。が、家に帰るためには仕方ない。先にクレンム行きが出発するので、バルクたちはレトとリトを見送った。 「これをやろう。ないよりはましだ」 アニムが紙に包んだ薬を渡した。強力な酔い止めの薬。 「酔いが酷い場合に一粒噛み砕くといい。ただし、症状が軽い場合や飲みすぎたりせぬように」 「わかった」 すでに青ざめているレトはうなずいた。それで受け取ったのはリトだった。 「頼むな」 「うん。ありがと」 「じゃあ、気をつけてな」 「じゃあね、リト」 「うん、お姉ちゃんもおにいちゃんたちも。ありがと。本当にありがと」 リトは船に乗り込むと手を振った。レトも一礼して軽く手を振る。 「さて、俺たちも行こうぜ」 バルクが振り向くと、ビアソーイダ兵がいた。 「なんだあ?」 「国王から、手紙です」 兵士は、あわてて言った。そして、手紙を渡すと、忙しいからと言ってすぐに去ってしまった。
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