気まぐれ日記
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2003年11月21日(金) うーん

 ブロードは初登場(7年くらい前に書いたもの)、弟の記憶だけにしか出なかったんですが、続編や書き直しなどで着々と形成されたキャラです。どういうわけか、最初からショートケーキが好きだったりします。最初は軽い女好きの兄ちゃんだったんですが、だんだん深いキャラに、なったなあ。

 「叔父様が、お相手くれるの?」
 フレクアがうれしそうに言った。
 「ああ、ヒーガルには手加減するな、と言ってある」
 「やったあ。父様は手加減するから相手にならないんだもの」
 「そうか、では、フレクア」
 「何?」
 「負けても泣くなよ」
 「?」
 国王は優しく言った。バルクたちは明日、ビアソーイダを出るというのでバルクは今日、フレクアの敬子の手合わせをするといった。
 「まったく、もう少しゆっくりしていけばいいものの」
 昨日の夜ザックを捕まえて、その翌々日に出るのだからあわただしい。しかし、バルクは国王の引き止めを聞かなかった。
 「仕方ないことだな。一箇所にとどまっていられるような奴じゃない」
 「ねえ、父様。叔父様はなんで、バルクって呼ばれてるの?」
 「ああ、バルクはミドルネームだ。奴はミドルネームのほうがいいらしい」
 「ふうん」
 「さ、行っておいで。ヒーガルが待ってるだろう」
 「うん」
 フレクアは、長い三つ編みを揺らして練習場に向かった。城の中庭は剣の練習場、そして、毎年行われる剣術大会に使用している。
 「よう、待ってたぜ」
 バルクがフレクアを迎える。
 「お願いします。叔父様」
 周りには他の兵士や、アニムとルイ、ブロードまでもそこにいた。
 「おねえちゃん、がんばってー」
 先ほど仲良くなったばかりのリトが、応援をする。彼らも明日、クレンムに帰るという。
 「なぜ、叔父様は剣を抜かないの?」
 「ああ、必要になったら抜くさ」
 バルクは柄に手をかけている。フレクアはもう、すでに剣を抜いていた。なのに、彼女は自分が何か遅れているような感じがした。
 「さ、どっからでもいいぜ」
 と、バルク。剣を振り上げフレクアが走り出す。ぶんっと剣がうなるがバルクはさっとよけた。そして拳でフレクアの腕を叩く。耐え切れずフレクアが剣を落とす。そこで、バルクが初めて剣を抜いてそれを喉元に当てる。
 それだけだった。すべて一瞬の出来事。
 「体のわりにずいぶん重いの使っているんだな」
 まだ固まっているフレクアから離れ、バルクは彼女の剣を拾った。
 「あまり、重いの使っていると腕に負担がかかるぜ」
 フレクアはその場に座り込んだ。バルクはバツの悪そうな顔をして、黙ってその場を去った。それを見て、アニムはルイに何かを頼んでバルクの後を追いかける。
 「嬢ちゃん、相手に手加減もしねえのか」
 ブロードがつぶやく。しかし、彼も何か覚えがあるのかそれ以上何も言わない。
 「泣かないで、おねえちゃん」
 フレクアが声を殺して泣いている。ルイが頭をなぜてやると、フレクアが抱きついた。
 「バルクはね、フレクアに強くなって欲しいから手加減しなかったと思うわ」
 「うん」
 それでも、まだ泣いているフレクア。ブロードは、泣く子は苦手だと言ってその場を離れる。レトも同じだろうか、やっぱりその場を離れた。
 「後で、何か甘いものでも食べに行こうか、昨日ウォンテッドしてもらったお金あるし、ね」
 


草うららか |MAIL

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