気まぐれ日記
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風呂はいって寝ます。
屋敷内の一番大きい部屋で、オークションは開かれる。バルクはそっと覗いた。声は聞こえないが、時折拍手が沸き起こる。 「あれは、やべえな」 ちょうど競り出させる宝石を遠目で見て、バルクはつぶやいた。 「十年前からフォーランズで行方知れずになっている『神の瞳』だぜ。国宝級だ。なんだってこんなところに……」 「よく見えるね」 と、ルイ。 「きれいな石ね」 「おう、何しろ光の屈折で色が変わるらしいからな、先々代の国王が愛してやまない王妃に贈ったんだとよ」 「へえ」 「それにしても、ブロードの奴、どこに行ったんだ?」 「あ、アニムよ」 「そろそろ、だな」 バルクが剣の柄を握る。オークションの壇上にはアニムが立っていた。彼は演技派らしく、うなだれて暗い顔をしていた。 「さて、今日は運良くお客さんが来まして、このエルフを置いていきました。エルフの子供。それも男の子です。そうですね」 「……」 ザックに話しかけられてもアニムは答えなかった。代わりに更にうつむいた。
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