気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2003年11月15日(土) では、おやすみ

 風呂はいって寝ます。

 屋敷内の一番大きい部屋で、オークションは開かれる。バルクはそっと覗いた。声は聞こえないが、時折拍手が沸き起こる。
 「あれは、やべえな」
 ちょうど競り出させる宝石を遠目で見て、バルクはつぶやいた。
 「十年前からフォーランズで行方知れずになっている『神の瞳』だぜ。国宝級だ。なんだってこんなところに……」
 「よく見えるね」
 と、ルイ。
 「きれいな石ね」
 「おう、何しろ光の屈折で色が変わるらしいからな、先々代の国王が愛してやまない王妃に贈ったんだとよ」
 「へえ」
 「それにしても、ブロードの奴、どこに行ったんだ?」
 「あ、アニムよ」
 「そろそろ、だな」
 バルクが剣の柄を握る。オークションの壇上にはアニムが立っていた。彼は演技派らしく、うなだれて暗い顔をしていた。
 「さて、今日は運良くお客さんが来まして、このエルフを置いていきました。エルフの子供。それも男の子です。そうですね」
 「……」
 ザックに話しかけられてもアニムは答えなかった。代わりに更にうつむいた。
 


草うららか |MAIL

My追加