気まぐれ日記
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行ってきます。何しに?って聞かない約束ですよ。
袋からのっそりとアニムはでてきた。 「ふいー」 緩めてあった袋口から手探りで縛ってある紐を引いてあけたのである。 「さて、レトの妹はどこにいるかのう」 獣人の妹はすぐに見つけることができた。ストレートの髪の少女である。 「お主、レトの妹の……」 「お兄ちゃんを知っているの? 私、リトっていいます。人間に捕まってここにいるんですが、私、どうなっちゃんうんですか?」 「このままだと、売られる。小生たちはお主を助けに来たのだ」 「そうですけ。でも駄目です」 「何故?」 「おなかがすいて……」 きゅるるるる、と小さな腹の虫がないた。リトのおなかから。アニムはなんだか情けなくなって、懐を探った。紙に包んだ乾パンがでてきた。 「これでもよかったら。と、いうか食ってくれ。おぬしが動けるように」 「あ、ありがとうございます」 と、言うなりリトはものすごい勢いで乾パン五枚を完食した。 「ちょっと、おなかが満足しました。もう、動けます」 「それは、よかったのう」 アニムはちょっとあきれて、それからにやっと笑った。 「では、このままオークションに売られるぞ」 「ええっ?」 「何、心配はいらん。ウォンテッダーだ。ザック=ルハーンは立派なターゲットだ」 「わかりました。私も協力します」 「では、小生、袋に戻る」 「へっ?」 「いや、袋に入ってきたのでな。口、縛ってもらえるか?」 「はあ……」 リトが戸惑いながらも袋の口を縛った。
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