| 2005年04月06日(水) |
まーくんとちーちゃんの世界 |
「本ってどうやって出すんだろうね」 「そうね、例えば家のお父さんやお母さんは本を出しているのかしら。私の知らないところで出しているのかもしれないけれど、そんな様子はないわ」 「この前お父さんの本棚から適当に小説を抜き取って読んだんだけど、ほとんど意味がわからなかったけれど、何でか感動したんだよね。なんでこんなにも文字が並んでいるんだろう。何かを言いたいんだろうけれど、文章として成り立っているのだろうけれど僕には伝わらない。だけど、とっても膨大なエネルギーを感じたんだよね。誰かに何かを伝えたいというエネルギーが、きっと僕を感動させたのだろうと思うよ。だから・・・」 「だから?」 「だから僕も本を書きたいし、出したいんだ。でも・・・」 「何を書きたいのかわからないんでしょ?」 「そうなんだ。小説って何か話をかけばいいんだろうけど・・・」 「そうとも限らないと思うわ」 「でもさ、とにかく本を出してくれる人に読んでもらって、認められないと出してもらえないと思うんだ」 「まあそうでしょうね。それか、自費出版という手もあるわね」 「自費出版か・・・いくらかかるんだろう」 「そんなことよりも、どうしたら出版社の人に、認められるものを書けるかを考えた方がいいわ」 「僕もそんな気がするよ。でも、ミステリーってあるよね」 「ええ」 「あれって難しそうだよね」 「でも、多くの人に読まれる可能性があるわ。ミステリーを書くなら、今までにないものを書くためにも、それにミステリーというものがどういうものかを知るためにも、色んなミステリーを読む必要があるわ」 「そうか。でも、ミステリーは時間がかかりそうだな」 「そうかしら。案外違うジャンルのものよりも簡単に創れそうな気がするけど。ミステリーっていうのは、ある程度ストーリーの流れが決まっているから、考えやすくない?」 「うーん、でも僕に向いてないような気がするな。一体何を書けばいいんだろう」 「思いつかないんなら書くのやめたら?」 「冷たいなあ」 「だって、しょうがないじゃない。時間の無駄よ」 「そんな言い方ないだろ。とにかく何かを書きたいんだ。 「一体どんなのを書きたいのよ」 「うーん、例えば・・・砂場に潜っていく話なんてどう?」 「なかなかのホラーね。ちょっとした純文学小説になるかもね」 「純文学って?」 「冗談よ。私は全くそういうのに興味ないから」 「あとさ、目の前に絶えずりんごがあって、それが邪魔だと思っている男の話なんてのはどうかな」 「・・・それって何?」 「いや、僕いつもさ、登下校の時に思うんだ。もし今目の前にりんごがあったらちょっと面白いかもしれないけど、それがずっと続くかと思うと鬱陶しいだろうなって」 「そんなこと考えていたの?」 「うん」 「で、それからどうなるの?」 「どうって・・・例えばその男にとって目の前のりんごは邪魔なわけだから、食べようとしたりするんだろうね」 「だろうね、って・・・で、食べちゃうの?」 「いや、食べられない」 「そうなんだ」 「だから誰かに食べてもらおうかと思うんだ」 「そうなんだ」 「興味ないでしょ」 「いいえ」 「それでさ」 「・・・」 「かわいい子を連れてきてさ」 「私のことね」 「その子に食べてもらうんだ。そうするとりんごはなくなるんだ」 「そうなんだ」 「きっと、そのりんごは、かわいい子に食べてもらいたかったんだろうね」 「独創的なお話ね」 「そうだろ」 「独創的て貴重なお話だと分析できるけど、世間のみなさんに受け入れてもらえるかどうかの確立は、かなり低いわね」 「僕もそう思うよ」 「私はまずミステリーか、ショートショートを書くことをオススメするわ」 「え、ショートショートって何?」 (つづく)
―END―
|