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言の葉
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2004年07月09日(金) 届かぬ想い-15


グレイのコートの下に
黒のワンピース
襟にはレースがついていたこの日の彼女
学校でいつも見慣れた制服姿と違って
私服の彼女にボクはドキドキしていた

人形展を見終わって
どうしようかって思いながら
フト思いついて
屋上に彼女を誘った

子どもの頃
ボクはそのデパートの屋上に行くのが
何よりも楽しみだった

当時は今みたいに
いろいろ遊ぶ場所などなくて
田舎に住む子どもにとって
デパートは子どもにとって
夢のような世界だった

オモチャ売り場には
見たこともないオモチャが並んでいて
屋上には硬貨を入れると動く乗り物や
オレンジジュースが透明の丸いケースの中で
噴水のように吹き上がるジュースの自動販売機

そしてこのデパートの屋上には
特別に素敵な食べ物があったんだ
それはバニラアイスクリーム
今ではなんでもない味なんだろうなって思うけど
当時は普通のお菓子屋さんには
バニラアイスってほとんどなくて
そんな名前がついていたとしても
アイスクリームじゃなくて
単なるアイスだった

そのとろけるような柔らかく甘いアイスクリームは
人いきれで疲れ果てた後
親にねだってねだって
やっと買ってもらえる魔法のお菓子だったんだ

そんなコトを思い出して




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もちろん目指すアイスクリーム屋も
しまっていて
なんとなくアテが外れてしまったボクは
子どもの頃の思い出話をしていた

冬の透明感のある空気の中
極限まで傾いた夕陽が
ほんのりと彼女の横顔を照らしていた
そんな彼女の姿を見て
またしても胸の動悸がぶり返していたボクは
だんだんとしゃべれなくなってきて
暮れゆく街をジッと見つめていたんだ




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