言の葉
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| 2003年07月17日(木) |
ロサンゼルス night-2 |
バスを利用することにしたボクは 一端部屋に戻って 出掛ける支度をしていた
その時部屋の電話が鳴った (誰が電話してきたのかな?日本はまだ真夜中のはずなんだけど…) 若干の不審と英語への気構えを感じながら電話にでると 「フロントの○○ですが… さきほどのリムジンと交渉しましたら…」 彼女はボクのために再びリムジン会社に電話して 料金の交渉をしてくれたらしい タクシーを利用するよりも安い値段に値切ってくれたのだ ボクは彼女の申し出に喜んでのらせてもらった
その時ボクの中で何かが変わったような気がした
その日の夕刻 無事仕事を終えてホテルに帰ってくると 彼女はフロントにいた ボクと目があうと微笑んだ彼女は 「お仕事うまくいきました?」 と声をかけてきた 丁度フロントにもその周囲にも 誰もいない空白の時間だった
「うん、おかげで無事いってきました ありがとう」 「お客様に満足いただけましたら幸いです」
その時フト頭に浮かんだ言葉を 思わず口にしていた
「今日は何時までのシフト? もし都合がよかったら、晩飯でもご一緒しませんか? 今日の御礼をしたいから」 「ボクは明日の飛行機で日本に帰るんだけど 最後の夜を一人で食事してもつまらないでしょ?」
普段のボクならば こんな風に声をかけるなんて考えられない 遠い異国の地 そして全ての仕事が無事終わったという 安心感があったんだろうか
一瞬はにかんだ彼女は 下を向いてしばらく黙り込んでしまった そして「はい、喜んで」と答えた顔は うっすらと上気していた
ボクの仕事の話から 彼女がなぜここで仕事をしているのかなど 四方山話をしながら楽しい時間が過ぎ去っていく いつまでも暮れない西海岸にも 夜の帳がおりはじめた
真夜中も近くなった頃 ホテルに一端戻るという彼女とともにタクシーに乗った 異国の地で久しぶりになごんだボクは 若干飲んだ酒のせいもあって ウトウトしていた
気が付くと右の肩に暖かいものが… 彼女も眠っているらしい ささやかな幸せな時間は このまま永遠に続くかのように思われた
ホテルにつくと 思いの外しっかりとした彼女は ジッとボクを見つめたまま車を降りようとしない なにかに憑かれたようにボクはささやいた
「ボクの部屋で夜景でも見ながら、もう一杯だけ飲もうか」
部屋に向かうボクたちは いつの間にか手をつないで歩いていた ここで手を離してしまったら 永遠に相手を失ってしまうかのように…
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※ヤプさんの極ウマ更新しました
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