言の葉
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列車が発車するとしばらくは 自分の個室で相方とおしゃべり その後車内の探索におもむいた
最後尾のデッキでのみ喫煙可ということで カフェ・ラテをデッキ前のバーで頼んで 風にあたりながら紫煙をくゆらす
南の大地の夕刻 カンガルーの姿を探す人々が デッキに陣取っていた 「あそこに!」 「あっ、そこにいる」 とにぎやかな声があちこちで起こる
カンガルーは夜行性の動物だから その姿を見られるのは 闇迫る夕刻と明け切らぬ朝陽の中のみという 灌木とブッシュの続く平地に チョコンとたたずむルーの姿は なんとも滑稽さを醸し出していた
そこに現れたのがキミだったんだ 初めて自己紹介をして キミたちの組み合わせの理由がやっとわかった ほんの1時間前に話したばかりなのに 思い切りうち解けてしまったボクたちは 日が沈むまでデッキで話続けたっけ そのときはまだ 「おもしろい子だなあ」といった感想しか もっていなかったんだけどね
「ミスター、食事の用意ができました」 スチュアードの案内でダイニング・カーへ たった二夜の旅なれど 食堂車の中は準正装といっていいほど めかし込んだ男女であふれていた
オーストラリアの食材を生かした料理を 目で、舌で楽しんだのち ボクと相方は再びデッキにタバコを吸いにでた そこには夜会服を身にまとい 少し顔を赤らめたキミがいたんだよね デッキの手すりに肘をついて 夜風を楽しむように
そして振り返った時のキミの笑顔が ボクの胸に響いたんだ
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