表面張力(仮)

　今日の日記には多くの人が書くことだろう．そう思う．とても思う．
　米国の軍事力に守られている平和の中から反戦を語るのは矛盾しているのかもしれないけれど，それでもどうして戦争が始まってしまうのかと複雑に哀しい．国際情勢とか世界の歴史に非常識レベルで疎いので今回の事について語る実力もないのだけれど，ただテレビの画面を見ていて苦しくなる．息苦しい．
　イラクの現状を良いとは決して思わない．けれど，アメリカの行動が正しいとも思わない．

　多分．
　正しいとか間違っているとか何が悪いとかではないんだろうな．
　そういうことではないんだろうな．もっとどろどろしていて根が深く深くはっているような．
　溜息．

　残っていた分析がようやく終了．
　これでどうにか辞められる最低限の仕事が終わったことになる．ただまだデータをまとめてないので，それを来週がんばろうがんばろうと100回心に呟いて，今日は早く帰る．
　明朝は早くから新居に行って引っ越しの準備．恋人は先に入ることにしたからだ．同じ日に二人が入るよりずっと楽だとは思うけれども，電化製品・家具・台所用品全ては一人暮らしの私が持っていくことになっている．私が引っ越すまで約一週間．
　どうするのかと訊いたら「どうせこれまでも殆ど家で食ってないし」「洋服はコインランドリーに持っていけばいいし」だそうな．がんばれ．

　体調回復．

　週末はどうにかこうにか熱を下げて恋人と新居の契約等，に出かけられたのだが，二日にわたって色々と歩き回って準備していたら見事に体調を崩す．崩すというか，寝付きの悪さが大爆発で，疲れ切っているのに明け方まで寝られないという夜を数夜過ごしたら動けなくなった．溜まった疲れのために発熱したらしい．
　昨日は一日寝込んでいて，ようやく熱を下げた．なんかもうこの繰り返しだよ最近．

　もう仕事をする日が少ないことに気づき，とにかく終わらせる努力をする．分析の方はどうにかなりそう．あとはデータのまとめを間に合わせないと．
　そろそろ偉い人達に御挨拶にいかないとならない．んー．ぬー．

　今夜も適当ゴハン．栄養だけには気を配ろう．うん．

　体調は相変わらず…より少しよろしくなかったりする．
　明日は欠勤，と決めてとりあえず仕事をある程度まで終わらせる．そういえばまともな食事をしていない．今夜もそうなるんだろうなと思いつつ，明日くらいは少しちゃんと食べないといけないなと考える．

　食事が適当になるということは，かなり疲れている或いは体調が悪いことになるので（私の場合），とにかく休もうとセミナー中に急に決意した．気づかないと自己管理ができない．どうにもこうにもオトナなんだしさあと自分で思うには思うのだが．
　休息と栄養．心がけよう．

　恋人は頭痛が続く私をかなり心配している．週末には新居の関係で出かけるのだけれど，それも「俺一人でいいから」と言い出している．
　ワタシはアナタと会いたいのですけれど…
　体調が悪いままだったら，許してもらえないだろうな．ぬぅ．

　引っ越しの準備は進まないどころか手を付けていない．さて，どうしよう．
　会社の荷物も全て送らなければならない．一部は実家に御願いしないとどうしようもないだろう．専門書は後輩にあげる．もう私には必要なくなるものだ．必要とする人にあげるのがいいだろうと思う．
　それらに纏わる記憶はきちんと持っている．思い出せなくなっても，ふとした拍子に表面に浮かび上がるかもしれない．だから，それでいい．そう思っている．

　体調は相変わらず．これ以上悪くしないように厳命されているので，それだけは注意している．
　ホントに知恵熱の類なんじゃないかなと思うのだけれど．

　特に大きな変化はないように思っているけれど，それでも自分の中が丸くなっているのには気づいている．
　持っている記憶に変化はない．けれど，それでも．

　いいことだ，と思う．

　ワタシという人間がいかに我が侭かということについて延々と延々と語ろうと考えていたのだけれどこの喉の痛みや頭痛やリンパ腺の腫れは確実にワタシが風邪をひいた事実を示しているのに加えて休憩時間に書き散らかしたものは全て消したのでもう本日は特に多くを語ることはないでしょうというか無理．ハイ息継ぎ．
　落ち着いて，少し書いてみる．ハイ深呼吸．

　さて，なんというか．
　再就職のことについて考えれば考える程にワタシという人間はものすごく我が侭であることに気づかされてしまう．何なら職を得られるか，何の職種ならやっていかれるか，から始まらずに「やってみたいこと」とか「すきなこと」ばかりを思い描いているあたりが．
　これまで，
　　やりたくないことをしないためには岐路に立ったときの選択肢にソレを入れなければオッケー
　という方針で強引にやってきた．加えて周囲の暖かい理解・諦めやそのときの運や自分の持ち合わせた能力にそれなりに見合った進路を選んできたことなどにより，恵まれているね，という方向に進んできていた．それなりに挫折もあるし，能力面以外の日々では山やら谷やら渓谷やら洞窟やらも人並みにあったけれど，これまでを振り返って「好きなことをやれていいね」と言われ続けてきたように思う．「好きなことをする」という点において，ワタシは本当に恵まれていた．

　こうなると，どうなるか．
　ワタシは我が侭になりましたよ．もうワガママ三昧．
　興味の湧かない仕事をすることが考えられない．考えられないけれど，自分の働く第一の目的はお金を稼ぐことだと自分で思っている．そうありたいとも思っている．

　もう激しく矛盾している．
　自分はそういうタイプの人間ではないと分かっているのに，いまだにワタシは「好きなことをばりばりとやっていく，しかもプロな人」に憧れている．自分がそういう人間ではないことが更に憧れを強くする．

　しかしもう，憧れだけで突っ走るほど自分を見ないフリしてはいない．
　そしてワタシはもう一人なわけでもない．一緒に生活をしていくと決めた相手がいる．一人の気侭で勝手な生活ではない．
　加えて，相手は仕事第一生き甲斐デス！という人間からは反対のところにいる人だ．自分の生活を第一において大事にする．その部分は，ワタシが自分自身に対してそうありたいと思う，もう一つのど真ん中だ．そしてそれは憧れではなく，突っ走り始める前の生活だったように思う．もう失ったモノ達．もう一度そうありたい光景．
　まずはそれを再構築することからなのではないだろうか．それも信頼できる相手と一緒に，新たな形で．

　我が侭はまずは置いておく．それはワタシを焦らせて走らせて逃げさせる理由になってしまう．
　立ち止まれ．考えろ．そして歩け．
　自分に少しでも肯定が与えられるように，強くなれるように．
　ずっと一緒にいられるように，山も谷も渓谷のどん底も乗り越えていかれるように．