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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
手こぎボートで太平洋横断

昨年の6月、銚子沖の太平洋で、手漕ぎボートで太平洋を横断しようとした英国人2名が爆弾低気圧に遭遇し海上保安庁に救助される、というニュースがあったのを覚えていらっしゃるでしょうか?

2人のうちの一人、Sarah Outenは今年も太平洋横断に挑戦、4月末に銚子を出航し、150日かけて手こぎボートで北太平洋を横断し、先日アラスカに到着したそうです。
Sarah Outen of Britain becomes first woman to row solo across North Pacific Ocean(英語)
http://www.cbsnews.com/8301-202_162-57604384/sarah-outen-of-britain-becomes-first-woman-to-row-solo-across-north-pacific-ocean/

人力(自転車、手漕ぎボート&カヤック)で世界一周をめざしている彼女の冒険については、日本滞在中にoutdoor誌に記事が掲載されています。

人力世界横断トラベラー、今冬は日本に滞在(日本語)
http://www.outdoorjapan.com/magazine/story_details/273?language=japanese

「人力のスピードで旅をする」ことの魅力が語られていますが、単純にアドベンチャーが好きだから、大自然の過酷な環境の中で限界にチャレンジしたいから、手こぎボートで太平洋横断、という発想がすごい。
イギリスの伝統は21世紀になっても脈々と受け継がれているということでしょうか。


2013年09月29日(日)
なまけもの

米国のパトリック・オブライアン・フォーラムに紹介されていました。
私は大うけしてしまいました。

なまけものTシャツ
http://www.cafepress.co.uk/mf/5037506/sloth-debauchin_tshirt

これで更新を終わる私をナマケモノと思う貴方>
よろしかったら昨日づけの映画評(スタートレック・イントゥ・ダークネス)もお読みください。SF映画でしたが、私は海洋モノと同じ視点で楽しんできました。


2013年09月15日(日)
スタートレック・イントゥ・ダークネス

涼しくなってきたので、やっとこさ重い腰を上げて「スタートレック・イントゥ・ダークネス(STID)」に行ってきました。

私は昔のTVシリーズ(宇宙大作戦)を見ていたわけではないのですが、今回この作品に興味を惹かれたのは、予告編で「どうやら艦長が一人で突進してしまった間に何かが起きる話らしい」ということを知ったから(苦笑)。…これって帆走軍艦時代の海洋小説好きには、いろいろと思い当たるフシがありすぎでしょう?リチャード・ボライソーしかり、ニコラス・ラミジしかり、副長に厄介ごとを押し付けて、いろいろありましたよねぇ。

そういう観点で見ると、この映画…と脚本(セリフ)は見事にドラマと伏線が収束している。
艦の乗組員(クルー)が家族である、という一体感も久々に堪能しました。

M&Cの時、最後のシーンで、それまで甲板艦内目線だったカメラが遠景に引いてしまった瞬間、サプライズ号の一家の一体感から引き離されたような、画面からはじき出されたような寂しさを感じたのですが、今回の最終シーンでエンタープライズ号が新たな航海に飛び立ちワープアウトして消えた瞬間、サプライズ号の遠景を見たときと同じ、寂しさ(艦内カメラから弾かれて彼らが遠くにいってしまった)に襲われ、自分がこの2時間20分で、すっかりエンタープライズ一家に取り込まれてしまったことに気がつきました。

さて問題の、(本来は艦に残るべき筈の)艦長が飛び出して行ってしまう件ですが、もちろんこのSTIDでも副長のスポックは反対します。ボライソーやラミジでこういうシーンは山ほど読んできたのですが、今回は艦長カークの反論というか説得のセリフがすごかった。こういうのは初めて聞きました。
以下、このセリフの話をしてもストーリーそのものねたバレにはならないと思うので続けますが、わずかなねたバレも回避したいと思われる方は数行下の***警報解除までとばしてください。

***ねたバレ警報発令***
副長のスポックは「本艦における私の任務は、艦長が最も賢明な判断を下すべく補佐をすることなのだから、あなたがこんな事をしようするのを許すことはできない」と止めるのですが、これに対する艦長カークの答えが、うーん私、こういうパターンは初めて聞いた。

カークは素直にスポックの言うことが正しいと認めるんですよ。自分のやろうとしていることは非常識だ、でも自分はやれると思ってる。しかしエンタープライズ号にはもののわかった指揮官が必要だ。「それは、自分ではない、きみだスポック」って。
***警報解除***

私はこのパターンを初めて聞いたと思いましたけど、同時に、これはイギリス人には言えないセリフだな、とも思いました。
カークはit is a gut feelingと言い、字幕は「勘で行動する」になっていたけど、確かにボライソーもラミジも勘で行動してますけど、彼らの動機はアメリカで言うところのgutsではないですよね。

gutsという言葉を知ったのは「ライトスタッフ」の映画です。アメリカの宇宙開発の初期の時代を描いた映画でした。
gutsを一言で言うのは難しいですが(だから字幕は勘になったんでしょう…それも一部ではありますが)「恐れずに立ち向かう度胸とやりぬく強い意思」のような意味かと。
gutsを重んじるのは極めてアメリカ的(いや前作でもカークはアメリカ南部人らしいと言われていたけれど)だと思った。そして自分の行動の無謀性を素直に認める、でも自分は出来ると信じると公言する、ここもイギリス人のメンタリティとは異なるところかもしれないと思いました。

この映画は、艦長と副長のドラマとしても良く出来ているし、艦長と機関長(スコッティ)のドラマとしても良く出来てる。
海洋小説のツボを全て押さえてくださって、私としては大満足です。

しかし、ハリウッドはどうして敵役にイギリス人俳優を使いたがるのかしらん。そしてワルモノ艦がドレッドノート号というのも、まぁなんと申しますか。
でもこの映画、ハリウッドにありがちな勧善懲悪ではないところが特筆に値します。敵役が必ずしも悪ではない、日本のSFアニメのような展開に近い。
そう思ってしまったのは、上映前予告の「エリジウム」が30年前に見たガンダムのような話だったからでもあるのだけれども。

SF映画だけど、私は海洋映画として堪能しました。最後に飛び去られて寂しい思いをさせられたのが、何よりでした。ジャックはサプライズ号をhomeと読んだけれども、エンタープライズ一家にとってもあの艦はhomeなのでしょう。

前の作品や映画を見ていらっしゃる方にはまた独特の楽しみ方がある…いろいろ懐かしい仕掛けがあるようですよ。
3DIMAXなので迫力満点です。


2013年09月14日(土)
米国でスクーナー船を購入しようと思ったら

情報収集につかっているアメリカのサイトで、スクーナー船Unicornが買い手を探しているというお知らせがでていました。

Unicorn
http://www.sistersundersail.org/wp/wp-content/uploads/2013/08/Tall-Ship-Unicorn-Info-Sheet-v21.pdf

希望売却価格は95万ドル…約9,500万円。まぁアメリカのお金持ちは超富豪だからぽんっと買っちゃう人がいるんでしょうか。
欧米と日本では船を重んじる価値…伝統の基盤が違うなぁとついつい考えこんでしまった次第です。


2013年09月08日(日)
ビクトリー号の修復、デジタル化の潮に乗る

建設業界ではここ数年、設計図面の三次元デジタル化が進んでいるのですが、ポーツマスで修復作業中のH.M.S.Victory、ネルソン提督のビクトリー号もこの潮に乗っているようです。

英デイリーメイル紙に、ビクトリー号の三次元デジタルマップ(図面)が完成したというニュースが。

The amazing 3D map of Nelson's battleship created by lasers in a bid to help restore it
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2335458/HMS-Victory-youve-seen-The-amazing-3D-map-Nelsons-battleship-created-lasers-bid-help-restore-it.html

三次元デジタル化の良いところは、設計図面段階で建築物、または構造物の完成した姿を画面上で見ることができることなのですが、既に昔のビクトリーを目にしている者にはデジタル映像は不思議。

でもデジタル図面は現場に入る各種業者(建築、配管、電気etc.)間の情報共有を劇的に改善してくれるもの、これにより修復事業がより良い潮に乗ることを願います。


2013年09月01日(日)