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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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郵便船

  



Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
1月2日にサン・ファン・バウティスタ

NHKテレビを見ていたら、サン・ファン・バウティスタ号が!
1月2日に伊達政宗の慶長少年使節に関する番組が放映されるようです。

サムライたちスペインへ渡る
http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=12f5720130102
NHK地上波(総合)
1月2日(水)午前10:15〜11:09放送

NHKと言えば、先日、「NHKの海外ドラマ・ブログの「グッド・ワイフ」で、M&Cの話題が出ていますよ」、と教えていただきました。ありがとうございました。

2012年12月21日 (金)『グッド・ワイフ3』解説 第12回 「第三者による婚姻妨害」とは?
http://www.nhk.or.jp/kaigai-blog/100/141485.html

映画公開から8年になるのにまだこうして話題にとりあえてくださる方があるとは、嬉しいことです。

今年もいろいろとお世話になりました。新しい年もまたよろしくお願いいたします。
皆様>良いお年をお迎えください。


2012年12月31日(月)
H.M.S's サンタがやってきた!

今年はクリスマス・イブがお休みなので、今日はクリスマス・ディナーという方も多いのではないでしょうか?
H.M.S.Protectorからもクリスマスのお祝いです。

HMS Protector crew brave Antarctic elements for Santa dash
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-20773984

ポーツマスを母港とする英国海軍の砕氷船(正確にはice patrol ship)H.M.S.Protectorは、現在南極海でミッション中ですが、イースト・アングリアの小児病院のためのチャリティに参加、このような仕儀になりました。
「サンタの故郷は北極ということになっているが、反対側の極(南極のコト)にも助っ人がいるに違いない」とのことです。


さて、来週の更新には間に合わないので、もうひとつ。
CSの洋画専門チャンネルで、年末(29日と31日)に「マスター・アンド・コマンダー」の放映があると教えていただきました。
ケーブルTVが見られる方はどうぞ。

放映日時:
2012年12月29日(土) 21:00 - 23:30
2012年12月31日(月) 22:45 - 深夜 01:15
詳細は下記を。
http://www.thecinema.jp/detail/index.php?cinema_id=01965&date=201212


2012年12月24日(月)
海洋小説ファン的「ホビット」感想

昨日「ホビット・思いがけない冒険」(2D字幕版)に行ってきました。
この映画、1秒42コマの3Dが話題になっているので、3Dを見るのなら42コマで見たいのですが、私の都合と映画館の上映時間が合わなくて、結局、手近の映画館の2D字幕版に。…ので、これは本当に映画の内容のみの感想になります。

いやでも2Dでもう十分、すっかり魅了されてしまいました。
もう一度、今度は吹き替え版を見てみたいと思いますが、これも別に3Dでなくてもいい。2Dで十分、ドラマの面白さは味わえます。

あの上下2巻の児童文学をどうやって3部作に? LOTRの王の帰還の時みたいに不必要な戦闘シーンが長くて3部作は避けて欲しいんだけど…とちょっと心配していたのですが、全く杞憂に終わりました。
ピーター・ジャクソン監督はやはり、トールキン・ファンの、良い意味でのオタクでした。ポイントをはずさずに「指輪物語・追補編」から上手くエピソードを足し込んでいます。
LOTRの時のようにマニアックな要素を前面に出さずに(よく見るといろいろあるんですが、よく見ないと気づかない)誰でも楽しめるスマートな娯楽作品に仕上がっているような気がします。
いやいや、バケモノ好きの監督なので、飛び出すトロルとか3Dになったらコワイんじゃないかと恐れてましたが、その手の心配はなさそうです(トロル、ユーモラスでかわいい出来になってますよ)。

私はM&Cと海洋小説の情報ページをやっておりますが、所有ハヤカワ文庫の冊数はNVの次にFTで、2002年〜04年はLOTRの海外情報も追いかけつつ、楽しい3年間を過ごさせていただきました。
最後にこの2作品がアカデミー賞を争うことになってしまって、まぁ正直言って、M&Cは指輪の3年目と同じ年の公開にならなければ賞をとれたかもしれないと思うし、私としては心中複雑ではあるのだけれども、それはそれ、これはこれ、作品は作品でベツモノ。

今回「ホビット」と中つ国に再会して、これからまた1年半、第二部、第三部の公開を待つ毎日がやってくるのかと思うと、ちょっとわくわくします。
あぁだからと言ってここでそちらの情報を扱う予定はありません。感想も本日のタイトル通り「海洋小説ファン的」ホビット感想…ということで。

さて、「ホビット」の主人公のビルボは、穏やかな日常から突然、無茶苦茶な魔法使いにハメられたような形で、野営と戦いに慣れた13人のドワーフたちと冒険の旅に出ることになるのですが、映画を見ながら、なんかこういう話、どこかで見たり読んだりしたような…いやもちろん「ホビットの冒険」は子供の頃に読んでいるのですが、そういう意味ではなく、大人になってから親しんできた海洋小説…というより英国冒険小説(まさにハヤカワNVの世界ですね)の臭いがプンプンします。
まぁ作者が英国人のトールキンですから、子供向けだろうが大人向けだろうが、英国の伝統は同じってことかしら?

いえね、たとえばこれ、ドイツ人が13+2人で旅をしても、スペイン人が旅をしても、こういう話にはならないと思うんですよ。ましてや日本人はいわんをやです。
そういう意味ではドワーフもホビットも魔法使いのガンダルフも、とっても英国人で、監督と脚本家はニュージーランド人なんだけれども、ニュージーランド人のDNAは英国人なんだなぁとつくづく思いました。

旅する彼らは、タフで喧嘩っ早くて勇猛果敢、寡黙だけどユーモアがあって、大酒呑みで(酒のことを彼らはgrogって言うんですよ)、焚き火を囲んで望郷の歌を歌ったりする。
こういうのどっかで見た記憶が。
ドワーフのリーダー、トーリン・オーケンシルドは、一族の血と誇りと王国の再興を何よりも重んじる、内省的ではあるけれど、決断は早いし戦闘指示は的確、彼に従う12人のドワーフたちは精鋭で、有能な戦闘集団を見ている小気味よさがある。
トーリンは、ちょっとクライブ・オーウェンの演じてたキング・アーサーを彷彿とさせますが、ドワーフ軍団はもっと荒っぽい。

ネットで読んだ映画評に「野戦に長けたトーリンは、かつてのアラゴルンを思い出させる」というのがあったけれども、王国の伝統と再興と世継ぎの意識の強さから言ったら、トーリンはむしろLOTRのボロミアなのでは?と私は思います。

LOTRのボロミアは、ミナス・ティリスの執政の世継ぎの意識が強くて、原作よりも強く「王の帰還」の夢を抱いている。
今年の秋だったかにNHK-BSでLOTRを放映してくれて、久し振りに見たのですが、ボロミアがロスロリアンで、そしていまわの際にアラゴルンに語る「ミナス・ティリスに王が戻る夢」、
これ2002年にLOTRの第一作を見た時より、2004年の第三作で実際にミナス・ティリスの白の都のビジュアルを目にした後で、もう一度見た方が、ボロミアがあの時に語っていた夢が、より良くわかることに気づきました。

今回、ホビットの製作に当たって、同じことに気づいた人がいるのかどうかわかりませんが、「ホビット」第一部の冒頭では、失われる前のドワーフ王国の栄華、滅亡のいきさつがヴィジュアルできちんと描かれます。
ゆえにトーリンが王国再興の夢を語る時、それがよりリアルに感じられる仕掛けになっている。

そんなことを、つらつら考えていて、ハッと気がついた。
ドワーフ軍団みたいなの、どっかで見た気がしてたけど、これってシャープの小隊じゃない(爆)!
火を囲んで野宿して唄なんか歌っちゃって、どこかで見たって、こういうことね(苦笑、苦笑)。

今回もし2回目に行けたら、3Dよりも吹き替え版に行ってみたい。
日本語は時代言葉がありますから、あぁいう時代モノのファンタジーはそういうセリフが合う…と、LOTRのセオデン王の出陣の時に、つくづくと思ったのでした。

でも私はほかにももう一つ、前売りを買ってしまっている映画があるので、2回目いけるかどうか。
もう一つ…はカエル野郎(フランス人役)のラッセル(レ・ミゼ)ではなくってね、こちら、

もうひとりのシェイクスピア
http://shakespeare-movie.com/
エリザベス一世時代のロンドンをVFXで再現というのに惹かれているのですが、どんなものでしょう?

このホームページ、明日もクリスマス更新があります。お楽しみに。


追記)「ホビット」パンフレットのキャスト紹介の、茶のラダガスト(シルヴェスター・マッコイ)のところに、
「1987-89年に7代目のドクターを演じた超人気TVシリーズ「ドクター・フー」でよく知られ、96年には8代目ドクターのポール・マッギャンと共演した」と書いてあるんですが、マッギャン→マッガンですね。しかしいきなりポール・マッガンと言われても、わかる日本人がどれだけいるのかしらん?


2012年12月23日(日)
ハリファックスの造船所

米国では、カナダのCBCテレビが放映した「Land & Sea」という番組が話題となっていました。
先週の回が「Shipbuilding in the maritimes」で、ノバスコシア州ハリファックスの造船所のドキュメンタリーだったのです。

だめもとで下記CBCサイトに行ってみましたら、
http://www.cbc.ca/landandsea/2012/12/shipbuilding-in-the-maritimes.html

なんと22分の放映番組をサイトで見ることができました。
これ、木造帆船にご興味のある方、帆船模型を造っていらっしゃる方は必見だと思います。
実際に木造帆船をどのように建造するか、造船所の仕事を紹介しています。

ハリファックスの造船所が建造した有名帆船の歴史も登場。
その中には先日沈んでしまったH.M.S.Bountyの進水式の様子とか、

なにより!「マスター・アンド・コマンダー」でサプライズ号を演じたH.M.S.Roseの進水式の映像も見ることができます。

ハリファックスはボライソー・シリーズのファンには一度訪れてみたい物語の舞台の一つ(リチャード・ボライソーはハリファックス司令部の司令長官だったので)ですが、この番組では昔のハリファックスの姿を見ることもできます。

そう、この番組によれば、そもそも何故ハリファックスで造船が盛んになったかというと、ナポレオン戦争で英本土では造船用の木材が入手しにくくなったため、当時植民地だったカナダで船の建造が行われるようになったのだそうです。

番組で紹介されるハリファックス海事博物館も、ハリファックス訪問時には必見のよう、ブルーノーズ号ともども要チェックです。


2012年12月16日(日)
バウンティ号、寄付カレンダー

先日ご紹介したバウンティの、原文記事にありましたが、バウンティ財団(H.M.S.Bounty Foundation)では現在、今回の遭難の犠牲となった乗組員のために寄付をつのっています。

下記カレンダーを購入することで、寄付に参加することもできます。

HMS Bounty Tribute Wall Calendar
http://www.etsy.com/listing/115806490/hms-bounty-tribute-wall-calendar

日本からアクセスすると日本円表示が出ますが、手続きは英語でせねばならぬようです。
Paypalのアカウントを持っておられる方は日本語で手続きできるかもしれません。


2012年12月09日(日)
バウンティ号追想

H.M.S.Roseの復元に尽力した歴史家のJohn Fitzhugh MillarがH.M.S.Bountyに寄せた一文です。
原文は下記を、こちらでは要約でご紹介します。

BOUNTY Reminiscences by John Fitzhugh Millar
http://www.oldsaltblog.com/2012/11/19/bounty-reminiscences-by-john-fitzhugh-millar/

MGMのバウンティ号の映画製作のために、H.M.S.Bountyが復元船として建造されたのは、カナダ・ノバスコシアのLunenburg造船所で、1960年のことである。船匠は英ヨークシャー州ハル市のHugh Blaydesだが、彼とLuneburg造船所は1969年のH.M.S.Rose復元にも携わっている。

実のところ、H.M.S.Boutyはオリジナル船の3倍の大きさで復元された。これはバウンティ号の映画撮影がタヒチ島で行われることから、映画俳優が暑い思いをしないよう、MGMが冷房完備を要求したためである。(びっくり!)
復元船H.M.S.BountyはMGM以外にも「Tresure Island」、モンティパイソンの海賊映画「Yellowbeard」、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」などの撮影に用いられた。

1994年、ワーナーブラザース社にはエロール・フリンの「Captain Blood」をリメイクする計画があり、2隻の帆船が必要で、H.M.S.RoseとH.M.S.Bountyが競演することになった。Bountyには大幅な修理が行われた…が、映画計画自体が流れてしまった。
2001年、H.M.S.Roseのセイル・トレーニングに参加した裕福なビジネスマンが、H.M.S.Bountyを購入し、NPOを設立してロング・アイランド州Greenportを母港としてH.M.S.Bounty財団の運営を始めた。
2006年に更なる修理を受けたH.M.S.Bountyは、世界一周航海もなしとげた。2014年には再び大西洋を横断してヨーロッパを訪問する予定だった。

米東海岸の秋の終わり、H.M.S.Bountyは冬の間フロリダに回航されることが決まった。
Fall River(*注)当時から船長の職にあったRobin Walbridgeは、ロング・アイランド海峡(Long Island Sound、ニューヨーク州)でハリケーンに遭遇するよりは、海に出ることを選んだのだろう。だがハリケーンの時化に見舞われた大西洋の高波は、50ft(15m)を超えた。
Walbridge船長とともに犠牲となったClaudene Christianは、その名字が示す通り、皮肉にも、バウンティ号の反乱の首謀者だったフレッチャー・クリスチャンの5代目の子孫にあたる。

H.M.S.Bountyの復元船はもう一隻、存在する。
こちらは1979年に復元され、長年オーストラリアのシドニー港を母港としてきたが、現在は拠点を香港に移している。

*注)Fall Riverは米マサチューセッツ州と、カナダ・ノバスコシア州の2箇所に存在するが、おそらくノバスコシアのことと思われる。


2012年12月02日(日)