Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ミッキー・マウス提督降参
アメリカではこの一ヶ月、海軍の特殊部隊SEALsをめぐる、とんだ商標騒動がありました。
ことの始まりは、ディズニーが、ビン・ラディン作戦の2日後にミッキー・マウス提督率いる海軍特殊部隊をトレードマークにしようとしたことでした。
ミッキー・マウス提督についてはこちら、 Admiral Mickey Mouse and SEAL Team 6 http://www.oldsaltblog.com/2011/05/16/admiral-mickey-mouse-seal-team-6/
これに対して、米国海軍はただちに反撃、SEAL TeamおよびNavy SEALsの商標登録差し止め訴訟を起こしたのです。 ミッキー・マウス提督はただちに降伏し、商標登録をとりさげました。
この騒動の一連の経緯はこちら、 Disney withdraws "SEAL Team 6" Trademark Application http://tpmmuckraker.talkingpointsmemo.com/2011/05/disney_withdraws_seal_team_6_trademark_application.php?ref=fpb
なんだかなぁ…と溜息をつきたくなるような話ですが、 あれ?でもむかし(湾岸戦争より前)チャーリー・シーン主演の「ネイビー・シールズ」ってハリウッド映画あったと思うんですけど、あれは問題なかったのかしらん?
映画と言えば、今回のビン・ラディン作戦はアメリカで映画化されるそうです。 映画化権はコロンビア・ピクチャーズが獲得したようですが、監督が「K-19」「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグローなので、 この日本語の記事にも書かれているように、 http://movies.yahoo.co.jp/m2?ty=nd&id=20110526-00000012-flix
>本作も、単に特殊部隊の活躍を描く戦争アクションではない、 >政治的なメッセージを持つ重厚な作品になることが期待される。
ビグロー監督には是非、客観的な視点から現実的な映画を撮っていただきたいと思います。
2011年05月29日(日)
英女王のダブリン訪問
海の話題からははずれますが、オーブリー&マチュリン・シリーズの読者としては、 今週の話題は「エリザベス女王の歴史的なアイルランド訪問」でしょう。
日本の新聞でも国際面のニュースでは大きくとりあげられていましたが、イギリス国家元首のアイルランド訪問は1921年の独立以来初めてのこと、 ダブリンでの女王のスピーチはゲール語で始まり、次のように続きます。 We can never forget those who have died or been injured, and their families. To all those who have suffered as a consequence of our troubled past, I extend my sincere thoughts and deep sympathy. 亡くなられた方、怪我をされた方、そしてそのご家族のことを決して忘れることなく、過去の紛争の歴史に苦難の時をすごされた全ての方に対して、 「I extend my sincere thoughts and deep sympathy.」は、「心からお悔やみを申し上げます」と訳されることが多いのですが、イギリスとアイルランドの800年にわたる血塗られた歴史と、女王自身もIRAのテロで従兄弟のマウントバッテン卿を失っていることを考えると、第三者的な一歩引いた立場から「お悔やみ」を申し上げる、という日本語訳では意味を伝えきれないような気がします。
この話題について、米パトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)では、 「Perhaps another step in ending this nightmare」 というコメントがなされていました。 「ことによると、この悪夢を終わらせる一歩前進かもしれない」 maybe(たぶん)ではなく、perhaps(ことによると)なのね、と思いながら掲示板のやりとりを見ていました。 もっとも現地在住の友人(日本人)いわく「イギリス人もアイルランド人も素直なコメントはしないから」ということで、それは…たしかにそうかもしれない。
イギリスとアイルランドの問題はとても複雑で、第三者である私たち日本人にはコメントできない問題ではあるけれども、 マチュリンのことや、それから私はジャック・ヒギンズの小説のファンでもあるので、この25年ほどの間、いろいろな小説を読んできて、この二国の不幸な歴史を全くの他人事とも考えられないでいます。こんなことを他国人が言うのはおこがましいかもしれませんけどね。 それでもやはり、二国間の800年間の悪夢が終わるように、この前進の歴史が逆戻りすることがないように祈りたいと思うところです。
2011年05月22日(日)
ドクター・フーの海賊ねた
米パトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)で、現在イギリスのBBCで放映中の「ドクター・フー」の最新シリーズが話題になっていました。
「ドクター・フー」はNHKのBSと地上波で3〜4年前に第1シリーズと第2シリーズが放映されたSFドラマ…というかタイムトラベラーもの。 主人公のドクター・フーが時空間を超えて様々な世界を旅します。もとは1970年代の人気ドラマで現在放映中のものは2006年から新たに始まった新シリーズ、現在の主人公を演じるマット・スミスは11代目のドクター役だそうです。 8代目のドクター役が「ホーンブロワー」のブッシュ副長ことポール・マッガンだったことで、このドラマの名前を耳にした方もあるのではないでしょうか?
私もNHKの最近の放映をときどき見た程度ですが、タイムトラベルですから当然、過去の歴史に跳ぶ話もあり、歴史ドラマとしても面白いエピソードがある…それもBBCなので必要な時代考証にはこだわる(ときに荒唐無稽なところは開き直る)あたりが歴史好きには楽しかった記憶があります。
英国で現在放映中のものは、BBCの今年の4月新番組で、第6シリーズになるらしいのですが、 その第三話が海洋小説好きにはツボだったようです。
Dr Who Eposode 3 http://www.bbc.co.uk/doctorwho/dw
ヘンリー・エイバリーはかつては立派な海軍将校で艦長(Captain)であったが、道を踏み外し海賊になっていた。 ヘンリーの息子、トビーはしかし、父が立派な人物であると信じ、父を捜すために家を飛び出した。
…ん?どこかで聞いたような話、だと思いませんか? ヘンリーに真面目な弟でもいたら、そのまんまボライソー・シリーズなんですが、
このドラマには残念ながら弟はいないようで、父捜しに出たトビーがヘンリーと再開し、しかしそのままタイムトラベラーになってしまうようです。 その結果、ヘンリー・エイバリーは宇宙船の船長になってしまうらしい。 確かに、話を聞いているだけでも、ちょっとわくわくします。
ただし、日本で放映があるのかは未定、とりあえず第3シリーズはlala TVでの放映が決まっているということなので、心に留めて第6シリーズを待ちましょう。 いや、待てば海路の日和あり、と言いますし、ほら「ギャラクティカ」だって地上波で放映してくれるなんて私、じつを言えば5%も期待していなかったんですよ、それが実現しましたからね〜。 すでに放映実績がある分、期待はできると思いますが。
2011年05月15日(日)
サン・ファン・バウティスタの記事
5月2日の朝日新聞の夕刊に、サン・ファン・バウティスタ号の記事と写真が載っていました。 この記事が同紙のネットに上がるのを待っていたのですが、上がってきません。 皆さんに無事なサン・ファン・バウティスタの写真を見ていただきたかったのに。 まぁしかし、勝手にスキャンしてアップしてしまうわけにもいきません(著作権って厄介ですね)。
記事では、 >近くの漁船はみな流されたのに、かろうじて持ちこたえ一部破損にとどまった。 >「よく残ったもんだと感心した。頑張るものもあるんだなあと」 という地元の方の声も紹介しています。
>博物館は2年後に控えた出航400年までの復旧をめざす。浜田館長は、 >「県民の精神的支柱にしたい。こういう時こそロマンや夢を持たないと >立ち上がれない」と話した。
サン・ファン・バウティスタでスペインに渡った支倉常長の29代目の子孫(現在も仙台に在住)の復興へのメッセージも掲載されています。
サン・ファン友の会の方によれば、バウティスタ号はその後4月末の強風でマストの一部を破損してしまったそうですが、復旧をめざしているとのことです。
サン・ファン・バウティスタの写真の載った夕刊は大切に保存しておきますので、みなさまに直接お目にかかる機会でもありましたら持っていきます。
2011年05月08日(日)
第5回海洋冒険映画を楽しむ会
地震と停電の影響で延期となったSailing Navy只野さん主催の「第5回海洋冒険映画を楽しむ会」、 電力の厳しい夏を迎える前の5月末開催となりました。
開催日時:2011年5月28日(土曜日)13:00〜18:00
開催場所:すみだリバーサイドホール ミニシアター 東京都墨田区吾妻橋一丁目23番20号 最寄り駅:東京メトロ銀座線「浅草」駅、 都営地下鉄浅草線「浅草」橋 東武伊勢崎「浅草」駅 http://www.city.sumida.lg.jp/sisetu_info/tamokuteki/sumidariversidehall/riyou_info.html
プログラム:「高慢と偏見」(BBC制作、コリン・ファース版) 詳細は下記URLを御覧下さい http://www.allcinema.net/prog/show_dvd.php?num_sid=128127
海洋冒険映画を楽しむ会とうたいながら、今回は実は海は登場しません。 でもあの時代…1796年に書かれたジェーン・オースティン作品のドラマ化です。 1995年にBBCのドラマとしてTV放映され、コリン・ファースの名をとどろかせた…というより、女性ファンをメロメロにした作品(笑)。 翌年日本でもNHKBSで放映されました。 今年アカデミー賞主演男優賞を受賞したファースですが、15年前なので若いですよ。
ごめんなさい、只野さん>私が紹介するとみぃはぁになってしまう。 真面目な作品解説は下記只野さんのHPへ、お申し込みも下記。
http://www.sailingnavy.com/modules/wordpress/2011/04/24/529
2011年05月01日(日)
|