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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
エリザベス:ゴールデンエイジ明日放映

ロイヤル・ウェディングの関係で、今週のNHK BSは英国女王特集のようです。
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」が明日放映。
以下、ビクトリア女王、エリザベス二世と続きます。

4月25日(月) 午後10:30〜午前0:26
エリザベス:ゴールデン・エイジ 2007年・イギリス 原題:ELIZABETH:THE GOLDEN AGE

4月26日(火) 午後10:30〜午前0:16
Queen Victoria至上の恋 1997年・イギリス 原題:MRS.BROWN

4月27日(水) 午後10:30〜午前0:15
クィーン 2006年・イギリス/フランス/イタリア 原題:THE QUEEN

詳細はNHKBSのホームページで
http://www.nhk.or.jp/bs/genre/movie_7later.html

映画関係ということで言えば、ラッセル・クロウが主演したリドリー・スコット監督「ロビン・フッド」のDVDが4月15日に発売になりました。
スコット監督と言えば、3月までNHKBSで放映されていた、スコット兄弟がディレクターをつとめた連続ドラマ「大聖堂」、この続編の製作が決定し、7月から撮影開始だそうです。
キャストなど詳細はまだわかりませんし、本国での放映や日本での放映がどうなるのかも(NHKさん>またよろしくお願いします)わかりませんが、「大聖堂」は見応えのあるドラマだったので続編は楽しみです。


2011年04月24日(日)
英国気質

今週は、ちょっと脇筋かもしれない話題ですが、

先週月曜(18日)のシンガポールのStrait Timesに「Has Britain became a nation of crybabies? Stiff upper lip endures despite public displays」という英国の国民性の変化に関する記事がのってました。
この記事のリンクをご紹介できると良いのですが、Straits Timesという新聞は3日以上たつと無料では記事が読めなくなってしまうシステムのようなので、6日が経過した現在は記事のURLをご紹介することができません。(検索すると購読者IDとパスワードを入力する画面に行ってしまいます)

この記事ざっと内容を紹介すると、
かつて第二次大戦中に英国では「KEEP CALM and CARRY ON」という標語があった。
日本語訳すると「冷静に、そして前進あるのみ」のような意味なんですが、
標語ポスターの実際は下記URLをご参照ください。画像が見られます。これをおちょくったNow Panic and Freak out(パニクってびくびくおびえる時)なんてのも一緒に出てますが、
KEEP CALM and CARRY ON

まぁこのおちょくりが出てくることもでわかりますが、最近の英国人気質はこの伝統からはずれているのではないか?というのがStrait Timesの記事の趣旨です。

私、「KEEP CALM」ってジェームズ・ダーシーの声で聞こえるんです。
M&Cの映画でサプライズ号が捕鯨船のふりをしていて威嚇射撃を受け、砲列甲板の水兵が動揺した時にプリングス副長が、独特の抑揚で言うセリフなんですよね。

それともう一つ、この記事が気になったのは、carry onって現在やっていることを続けるという意味もあるけど、今の東日本の状態が「騒ぎ立てずに今やってることを続ける」状態になってるんじゃないか?って思ったから。
先日の茨城の余震の時、私は満員の通勤電車の中にいたんですけど、周囲の携帯で一斉に緊急地震速報が鳴ってるのに、誰も騒がないんですよ。満員電車はひたすら次の駅に向けて走っていくんです。

そりゃまぁこの状態で騒いだところで、電車が止まるまで何もできませんが、それにしても誰も騒がないって、凄いというよりちょっと異常な状況じゃない?
最近ときどき「第二次大戦中ってみんなこうやって暮らしてたのかなぁ」って思うんですよ。
もっとも当時子供だった母に言わせれば「爆弾がふってこないし、西日本は無事だし、食糧ははるかにある」から今のほうがましだそうですが。

ちょっと脱線しました。Straits Times の記事に戻ります。
このKeep Calm and Carry Onと、もう一つStiff Upper Lipsというのが、英国気質の長い間の伝統だった。
stiff upper lipsというのは唇を引き締め状態でいるという意味から転じて、感情を表に出さないとか気を落とさずに頑張るとか。
まぁ英国の歴史冒険小説とか第二次大戦時の海洋小説とかを読み慣れていると、思い当たるふしは多いと思いますが、

19世紀から20世紀にかけて、英国人はこの気質のもとに七つの海に進出していった。剣(武力衝突)や、熱帯の蚊や、原住民の抵抗にも、英国人はこの精神をつらぬきくじけることがなかった。
第二次大戦を英国人はこの精神で戦いぬいた。
しかし最近、この英国気質に変化が生じているようだ。

英国の現副首相は、市民からの糾弾に、涙を見せ「私は叩かれ慣れているサンドバッグじゃない」と反論した。
ダイアナ妃の死去の時、英国民があらわにした悲嘆は、最近の英国気質の変化をよくあらわしている。
ブラウン前首相が選挙に敗れたのは、伝統的な英国気質にとらわれ、国民に感情的に訴えかける点で失敗したからだ。
最近の若い世代の政治家は感情も自分の弱さもあらわにし、国民に訴えかけている。
英国気質は変わったのではないか?

というのが、Straits Timesの趣旨です。
この記事の後半部分はおそらく、この下のBBCの記事を引いているものと思われます。
こちらは原文記事を読むことができます。

The myth of Britain'a stiff upper lips
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-12447950

この記事が面白いのは、じつは19世紀以前の英国人はもっと自由に泣いていた、と書いてあること。
1805年のネルソンの国葬の時に国民が見せた反応は、ダイアナ妃の時と同様だった。
当時の人々は、英国が海外進出・拡大していく19世紀より自由に、感情を表に出していた。
とあるのですが、

う〜ん、これは新説だと思いました。
私たちけっこう200年前の海洋小説をよく読んでますけど、主人公というか指揮官クラスは皆ストイックですよね。
ジャック・オーブリーは明るい性格だけど、限られた時と場合と相手にしか感情をオープンにはしないし、
セシル・スコット・フォレスターやアレクサンダー・ケント、ダドリ・ポープなどの描く主人公の海軍士官は、皆、Keep Calm & Carry on かつStiff Upper Lipsな人たちばかりで。

考えてみれば、フォレスター、ケント、ポープは全て、第二次大戦中に海軍の艦艇に乗り組んだ経験があります。
この英国気質を骨の髄まですりこまれていたとしても不思議はない。
ジャックの性質がちょっと異なるのは、作者のオブライアンが同じ時代を生きた人でも陸上の情報部勤務だったからなのか?
従軍経験だけを言うなら、アメリカの海洋小説作家には海軍経験をもつ人たちが多数いますが、彼らの描く主人公のアメリカ海軍士官は、イギリス人の描くイギリス海軍士官たちほどストイックではないんです。

そんなことを思いながらこの2つの記事を読んでいました。

でも私も、日本人も最近は変わったと、しばらく前は思ってたんですよ。
第二次大戦の頃は日本人も、男は絶対に泣かないとか、もっと武士道や儒教の伝統的な考え方が強かったけど、最近はサッカーの応援とかかなりラテンな反応になっているし、
ところが、今回のような大災害の事態になったら、世界が驚くような「冷静かつ助け合って行動する」国民性が飛び出してきてしまったんです。

もっともその点はイギリスも同様だとStraits Timesの記事は述べています。
危機に際しての英国人の行動は、必ずしも変わってはいないと。
2005年のロンドンでの地下鉄・バス無差別テロのあと、ロンドン市民は翌日から何事もなかったかのように通勤し仕事に戻った。厳戒体制の続く街中の様子にちょっと肩をすくめてみせながら。

こうしてみると、英国気質と日本気質にはちょっと似たところがあるのかな?とも思ったりします。
同じ東アジアの儒教国でも大陸の国(中国・韓国・ベトナム)と島国(日本・台湾)には差があるような気がしますが、英国気質やアイルランド気質が同じキリスト教国でもヨーロッパ大陸とはちょっと異なるのは、やっぱり島国だからなのかなぁと思ったり、
このあたり専門家ではないのでよくわかりませんが、なんとなく面白いなぁと思った次第です。


2011年04月23日(土)
海のデブリ

ひさびさに海外の海関係情報サイトに行ってみたら、やはりこちらも津波の話題でした。
海上漂流10日後に保安庁の巡視船に保護された犬は、「Tsunami Dog」として結構有名になっていました。

Japan tsunami dog reunited with owner
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12957838

日本国内では皆さん今、陸上で大変だし、海というと茨城沖の漁業の話以外はあまり報道でもとりあげられていないのですが、海上保安庁では今、第二管区沖合110kmに航行警報を出しているのだそうです。
がれきが多数漂流していて航行に危険なのでこの海域は避けるようにと。

復興救援に駆けつけたアメリカ第七艦隊も、これには苦労しているそうな。

Floating Houses Pose Bigger Test for Ships Than Japan Radiation
http://www.businessweek.com/news/2011-04-05/floating-houses-pose-bigger-test-for-ships-than-japan-radiation.html

タイトルがちょっと不謹慎ではないか?と思われますが、アメリカ人にしてみれば致し方ないだろうとは思います。

第七艦隊のスポークスマン曰く“Our forces have seen everything from cars to tractor- trailers to entire, intact homes floating in the ocean,” “They have never seen anything like it.”
車からトレーラーから、家一軒が無傷で丸ごと海に浮かんでいる、こんなものはこれまでに見たことがない。
原子力空母ロナルド・レーガンにとっては、ガレキ(debris)の方が放射能より脅威である。
“We’ve also employed side-scan sonar options for under the water.”
side-scanソナーも使用して、海面下のがれきにも注意を払いながら航行している。
ソナー員も潜水艦とか魚雷には慣れてるかもしれませんが、がれきは初めての体験でしょう。

しかしこの記事を読んで感じるのは、原子力空母に乗ってる人の放射能に対する感覚というのは、今回の件に過剰反応している陸上の世界各国の一般市民とはかなり違うんだなぁということで、

世界各国とも過剰反応する国民を安心させるために国内の環境放射線数値を公表していますが、実はかつて国内で大気圏内核実験をやってしまった国の数値は今でもそれなりに高い。
米エネルギー省(Department of Energy)のホームページのプレスレリースのところに日本の「Radiation Assessment」が公開されていて、4月4日付のレポートに「アメリカの年間平均に比べると現在の東京近郊の数値ははるかに低い(far below)、東京近郊の米軍基地に駐留する米軍およびその家族は何ら心配することはない」って書かれているんですけど、あの〜東京はまだ通常年間平均値の上限よりちょっと高いんですが、「はるかに低い」ってなにごと!ってそれを読んだ時には思いました。

このアメリカの年間平均っていうのは、レントゲン健診や飛行機利用なども含めた数値ですからもとから高めですが、同じプレスレリースの最後に参考として付されているグラフから、それらを差し引いた環境放射線量だけを計算してみても、やはり4月初旬の東京の数値よりわずかだけど高めになる。うーんやっぱりこの数値はアメリカ政府にとっては、「低い」という感覚になるのか。
米環境保護庁(Environmental Protection Agency)のホームページに行くと、米国各地の数値が公開されていますが、かつて核実験場になった西部の砂漠地帯諸州(ネバダ、ユタ、コロラドなど)はやっぱり今でもちょっと数値が高いんですね。

むかし(1950-70年代)って核保有国は、今から考えるとむちゃくちゃな大気圏内核実験をやっていたようで、
太平洋のど真ん中の環礁でも実験やっていたんでしょう? その時の海に散った放射能ってどうなってるんでしょう?
今回の汚染水の海洋投棄でむし返された、かつてのイギリスの処理場のアイリッシュ海への汚染水投棄問題も、今聞くとびっくりですが、その後の海洋生物への蓄積はどうなっているの?と思います。

今回の世界各国市民の反応を見ていると、一般国民の放射能を恐れる感覚というのは何処の国も同じようなものなのだなぁと思って、
このあたり何処の国も、政府側の感覚と国民側の感覚にはかなりのずれがあるのではないかしら?
でも世界中の国民がこれだけこわがるということは、やはりもう核戦争はもう出来ないということで、そう考えると少し安心できたり、


2011年04月17日(日)
サン・ファン・バウティスタ号は無事

>石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)にある復元船
>サン・ファン・バウティスタ号が東日本大震災の被害を免れた。

という記事が地元紙の「河北新報」にのっているのを、見つけました。
津波以来ひそかに心配はしていたのですが、計画停電その他で、プライベートなネット検索の余裕がなくて、
今日、どきどきしながら「サン・ファン・バウティスタ」で検索をかけて、この記事を見つけてほっとしました。

>沖に流されるのではないかと心配したが、何とか耐えた。
>船尾付近がやや傷んだものの、船首や甲板、マストなどは破損した形跡がない。

とのことです。
もと記事全文はもう削除されてしまっていますが、記事の一部はここで読むことができます。
http://ceron.jp/url/www.kahoku.co.jp/news/2011/03/20110318t13004.htm

サン・ファン・バウティスタ・ミュージアムのホームページにも簡単なお知らせがでています。

宮城県慶長使節船ミュージアム
http://www.santjuan.or.jp/

博物館の1F(ドック棟展示室)は多大な津波被害を受けましたが、展望室は無事で、展望室は現在、地元の方の避難所として使用されているとのことです。
職員、スタッフの皆様も無事とのこと。

そのような事情で博物館は当分休館となりますが、河北新報の記事によれば、
>関係者は「復興のシンボルにしたい」と希望を託している。 
とのことです。

当HPの更新ですが、当面は電力需要の様子を見ながら情報収集・更新していくという形にしたいと思います。
夏場の電力需要の厳しい時期は、HPの性格が不用不急であることから、更新をひかえる可能性もあると考えています。
その場合はトップページに「更新はありません」と出るようにはしますので、東京電力管内の皆様は無用のクリックで電気を消費されることはお避けください。
よろしくご理解くださいますよう。


2011年04月09日(土)
神奈川沖浪裏の勘違い

ここ2〜3日は平日も計画停電もなく、土曜日曜に限っては今のところ停電が行われていないようです。
様子を見つつ、来週あたりから休日に限り、海外のサイトめぐりを再開しようかと思っていますが、情勢次第で対処します。

週日はやはり「今自分が使っている電気は誰かの犠牲(停電)の上に得ているもの」なので、防災情報と1日1回のメールチェック以外はネット接続は控える方針です。
このHPはやはり趣味の領域ですし、趣味のために電気を使ってる場合ではないでしょうし、
もっとも趣味と言っても、先々週ちらっと書いた通り、公共のためになる趣味は停電のない日に振興されて良いと思うのだけれども。
土日は計画停電もないので、土日に映画に行ったりするのは、日本経済全体の停滞をふせぐためにも良いのではないかしら?
でも「アメイジング・グレイス」の上映は昨日で終了してしまったようですが。

先週は更新ができず申し訳ありませんでした。
じつは簡単なおことわりのテキストは作ってあったのですが、日曜夜にサーバーにアクセスできず、更新できなかったのですよ。
日曜夜のどたばた更新というのも考えものだと思いました。もうすこし余裕をもって、と今日は土曜更新に変えてみました。
サーバーエラーは何が原因がわかりませんが、最近ときどき他サイトでもサーバーエラーが出るので、計画停電とかどこかで影響しているのでしょうかね?
メールのお返事など滞ることなどあるかもしれませんが、ここしばらくは通信環境が不安定ということで、宜しくご理解ください。


本業の仕事の方はなんとか年度末を終えることが出来ましたが、先週先々週は本当に大変でした。
電車もきちんと動いて毎日皆が出勤できて残業もできる前提の年度末進行予定だったので。
溢れた部分は休日も家で持ち帰り仕事をしていました。

ここ何年か、価格破壊という言葉が広まるようになってからの日本は、どこも皆、まったく余裕のないギリギリの回転をしていたように思います。
在庫を持たない生産体制が、現在のモノ不足につながっているわけですが、オフィス勤務の現場でもここ数年は経費節減で、ぎりぎりの人繰りと時間繰りがでまわっていました。
ただでさえ、ぎりぎりの年度末が、通勤に時間がかかることで滅茶苦茶になり、電力需要の高まる18時前にパソコンを切って仕事を切り上げたくても仕事が終わらない。
通勤の不便を考えると、それでも残業を早めに切り上げて帰るわけですが、その分の辻褄合わせを連休やら土日の自宅仕事でとりかえされねばならず、やっと今週は自分のために時間の使える週末を迎えました。
でも被災地や原発の現場では、今もずっと休みなしで働いていらっしゃるの方があるのだと思うと、申し訳なく思いますが。

「日本は変わらねば」と誰もが思っていると思いますが、ゆとりや安全率を削った経費削減というのも、変えなければいけないものの一つだと思います。
オフィス勤務の私ですら思うのですから、ものづくりの現場にいらっしゃる方はもっと痛切に感じていらっしゃることでしょう。


海外情報を紹介するのがこのサイトですが、そんなわけで地震以来、海外の海洋系サイトをめぐってはいません。
替わりに私が、ここしばらく職場で拾った海外ネタを、今回はご紹介。

職場では英字誌「TIME」をとっていますが、思わず苦笑を禁じえなかったのは、この「TIME」誌3月18日号35ページの「日本を襲った悲劇の歴史」というガイジンらしい記事でした。
日本が1923年の関東大震災、1944-45年の度重なる大空襲、1995年阪神淡路大震災を乗り越えてきた国であることを紹介している、それは良いのですが、最初に葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景・神奈川沖の浪裏」を引いて、19th century:Hokusai's iconic woodblock print reflects the Japanese culture awareness of menacing tsunamiと解説してありました。
北斎の浮世絵から、日本文化は19世紀から津波の脅威を認識していたことがわかる、というのですが、
この浮世絵は皆様もごぞんじの、左手に大波があり波間に富士山が見えるあの作品です。

それって、ちがうから、たぶん。
北斎のあれは単に、彼の優れたデザインセンスを表しているにすぎないと思うんだけど。

ま、この勘違いは横に置いて、「TIME」の記事そのものは、なかなか良い内容でした。
地震の被害そのものというようよりも、地震と津波に対して冷静に対応し、暴動も掠奪もなく、ボランティアが活躍し助け合って復興をめざず日本の、「世界では珍しい」(らしい)この国民性に焦点を絞った記事なのです。
言われてみれば1923年の関東大震災では10万人も亡くなり帝都東京が壊滅したのに、日本はその後20年もたたないうちに世界を相手に戦争をするまでに立ち直り、その結果、大空襲で焼野原になったものの、またまた20年もたたないうちに経済大国に復活してしまったのです。
「この人たちならばあの復興は当然だったのだ」、「今回も日本は復興するだろう」という結論で、このような海外の見方ゆえに一時の日本株の下落なども持ち直しているのかもしれません。

今回の件で確実に言えることは、日本人個々人の株が上がったことでしょう。

勤務先が建設業界なので、海外の専門誌も目にします。
それらの海外の記事に共通するのは、日本が世界一の防災先進国であること、
それであるからこそ被害を、それでもできるだけ少なく抑えることができたこと、

今回の地震は、30万人が亡くなったハイチ地震の700倍の強さでした。それでも多くの建物が地震では倒壊せずに残りました。
3月10日に中国の雲南ではM6.4の地震があって100棟近くが倒壊、1000棟近くが半壊したそうです。
その後のM6クラスの余震にも大きな被害の出ない日本の建築物、構造物は本当にたいしたものです。
東北自動車道はもう復興して車が通れるようになっています。
東北新幹線は脱線も転覆もすることなく、4月下旬の全線再開をめざしています。
津波後9日間を祖母を支えて生き延びた16才の少年のちからは世界で賞賛されていると海外在住の方から伺いました。
日本の小学校で行われている防災教育に、注目が集まっているようです。

もっとも、防災先進国である日本と、防災訓練に慣れていた国民を高く評価する記事がある一方、
世界一の防災先進国日本ですら防げなかった津波の悲劇に、自然の力の前では人間のテクノロジーは無力だと嘆く記事もありました。
これもひとつの真実なのでしょう。

海事関係の情報収集ができないので、仕事の関係で触れる英文記事から、本日はちょこっとご紹介してみました。


2011年04月02日(土)