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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
1年前の今日

1年前の今日2月28日、貴方は何処で何をしていらっしゃいました?
1年前の2月28日は土曜日。東京地方の天気は晴れ…ときどき曇ったかもしれませんが、雨は降らず、気温は一昨日の土曜日より高かったと思います。

私はこの日、ヴァージンシネマ六本木ヒルズに行きました。
そう、「マスター・アンド・コマンダー」の公開初日だったんです。
事前にオーストラリアで見ていたのですが、音響がいまひとつの映画館だったので、日本公開初日は絶対に東京でいちばん音響の良い映画館に行く!…と誓って、ヴァージンシネマの六本木ヒルズへ。
一年前の六本木の駅は天井の配管工事中で、頭上に網が張ってありまして、すっかり頭が19世紀に行っていた私は「なんだかこれ、戦闘配備中の帆船の落下物防止ネットみたい」と思いながら帰りました。
早いものです。もう一年。
なのにまだHPが続いていて、毎日来てくださる方がいらっしゃる…というのはどういうことなのだろう?…と管理人は首をかしげつつ、でも感謝しております。いつも読んでくださって本当にありがとうございます。

ちなみに、1月末に六本木駅に行ったらまだ工事中でネットが張ってあったのですけれど、今もまだあのネットあるんでしょうか?…妙に気になる。

M&C関係のHPや掲示板で、最近1年前の予告の話が蒸し返されていましたね。
近ごろ本屋さんに行くとモニターで3月5日公開の潜水艦映画「ローレライ」の予告を流しているところが多い。
思わず立ち止まってじっくり見てしまったのですが、この予告がなんとまぁ正攻法というか。
見事にムサくるしい潜水艦の内部を隠そうともしませんし、出てくるのは約1名をのぞいて男ばかりだし、そりゃあ妻夫木くんより若い男の子はいないだろうから少年で女心をくすぐろうという演出は出来ないと思いますが、ここまで正面からどーんと来られるとお見事です…と感心してしまいます。
いえ、本来、こういう映画の予告はこうあるべきだと思うのですが。

土曜日の深夜に、フジテレビでこの「ローレライ」のメイキング番組を放映していました。
まぁ海洋モノだし見に行ってから後で、あのメイキング見ておけば良かったと思うのもイヤなので、一応録画しておいて、昨日ちょこっと前半だけ見たのですが、結構キャストの皆さんが面白いことを言ってらして、

潜水艦艦長の役所広司「艦というのは一家みたいなものですから、私はまぁ『おやじ』という感じになればと」
先任将校(副長役)の柳葉俊郎「演技で気をつけていたのは目線ですかね、艦長と同じところ見ていたんじゃ駄目なので」
軍医の國村準「ほら、他の人たちは皆、戦争しているじゃないですか? でもこの人(軍医)だけは戦争していないわけですよ。だからこの人の空間はちょっと違うというか、そういう空気を出せたらと思って」
(以上、記憶で書いてますので、細部はちょっと違うかもしれません、ビデオチェックしないでくださいね)

私はまだ原作小説も読んでいないのですが、でも海洋小説の一般論で言った場合に、この各キャストのコメントは結構、ツボを突いているように思われます。
どの方も、艦内の相対関係における自分の役柄を良く把握していらっしゃるというか、
特に(ヤナ)ギバちゃんのコメントは「さすが」と言いますか、年季の入った本当に優秀な副長ってこういうものではないでしょうか?(艦長の補佐役としてその職務をカバーする意味において)
これは艦内の人間ドラマに期待しても良いかもしれない…と思っています。
そうそう、この軍医も艦長の友人という設定だそうです。でも楽器の演奏はしないようです(潜水艦でやったら大変ですって)。

あぁでも出来ることならM&Cでもこういうインタビューを聞きたかったと思います。
まぁ艦長については、ラッセルが似たようなことを言っていましたが、
副長は、プリングスはちょっと若いからここまで気がまわるかわかりませんが、むしろ航海長(ロバート・パー)に演技のコツをお尋ねしてみたかったような気がします。

マチュリン先生はちょっと違いますね。確かに彼の空間はちょっと違うんですけど、でもそれは戦争をしていないからではなくって、元から天然の個性。
むしろ裏の顔を持つ彼は、一人で別の戦争をしていますし。

そう言えば、メイキング番組には試写会から出てきたばかりのお客さんの声もあったのですが、若いお嬢さんの「イイ男ばっかりですっごく素敵でした!」とのみいはぁな感想に、思わず苦笑してしまいました。
そう、だからね、やっぱりこういう予告でも良かったんですよM&Cも…と今さら言っても仕方ないですけど。

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2月25日の日記で、関東地方では3月4日放映と書いた「ROCK YOU」ですが、土曜日の日経に入っていた1週間のTV番組表では、この日が「デスペラード」になっていました(裏になる「Uボート」は変更なし)。
当日の新聞で放映をチェックされた方が良いかもしれません。


2005年02月28日(月)
[Sea Britain 2005] 我が町のネルソン、我が町のコリングウッド

「Sea Britain 2005」情報、今回は細かいニュースを幾つか。
トラファルガー200周年にちなんで、英国では国を挙げてというか、どの町も我こそというか、様々な記念行事を企画しています。

イングランド南東部ケント州、ドーバーの白い崖で有名なディール(Deal)では、6月30日にネルソン提督とハミルトン夫人を記念したパレードが行われるとのこと。
ディールの港はネルソンの艦がたびたび錨を降ろしていたところで、提督が上陸の際に定宿としていた「三人の王亭:The Three Kings」は現在もThe Royal Hotelとして営業を続けており、ここが今回のフェスティバルの中心となる、ということです。詳細はこちら

ネルソン提督には海峡艦隊(英仏海峡を担当)の司令官だった時代がありましたので、その際にこの港に縁があったのでしょうか。
ちなみにこのあたりを舞台にした小説がダドリ・ポープのラミジ9巻「Xデー」なのですが、この小説の中ではネルソンの司令部はドーバー城になっています。

しかし、当時の宿がいまだにホテルとして残っているというのは素敵ですね。
プリマスの金獅子亭とか、ブルーポーツス亭とか、海洋小説には共通で登場する当時の定宿というのがあるのですが、今はどうなっているのでしょう? ポーツマスもプリマスも軍港ゆえに、第二次大戦時の空襲がひどかったですから、残っている可能性は低いと思いますが。
プリマスの代わりにディールに泊まって、当時をしのぶというのも良いかもしれません。

以前にサザンプトンで、築200年のコーチング・イン(馬車が乗り入れ出来る昔の宿)に泊まったことがあるのですが、もちろん今は中も改装されていて水洗トイレもシャワーもあるホテルになっていましたが、馬車が乗り入れる中庭に向かって部屋が並んでいて、かつての厩は今、車庫になっていました。
でもクルマの車庫入れの方が、馬車の車庫入れよりスペースがいるようで、狭い中庭で何度も切り返しをしているドライバーがお気の毒だった記憶が。
でも味わいがあって素敵なホテルで、やっぱり英国に行ったら多少不便でも、昔ながらのホテルに泊まってみるものだ、と思っています。

「Sea Britain 2005」に燃えているのはイングランドばかりではありません。スコットランドも北アイルランドも、そしておそらくはウェールズも。
北アイルランドとスコットランドは様々な記念イベントを企画し、独自のホームページで紹介しています。
今年、この地方を訪れる方は、これらのページでイベントをチェックしていかれると良いかもしれません。詳細は下記。
北アイルランドのプレスレリース。
スコットランドのプレスレリース。

スコットランドのヘブリデス諸島にあるSt.Kilda島へは、今年の夏、特別に帆船での航海ツァー(2泊3日)が運行されるとのことです。この島は野生生物の保護地として有名とのこと。
これを聞いてアーサー・ランサム・ファンの私は、「じゃぁシロクマ号となぞの鳥ごっこ」ができるかも…と思ってしまいました。
このツァーの詳細はこちら

「○×まんじゅう」といったご当地偉人フーズを売り出すのは、何も日本の観光地だけではないようです。
ネルソンの故郷であるノーフォークには「ネルソンズ・リベンジ」「アドミラルス・リザーブ」という地ビールがあるそうですが、このたび地元ノリッジ市(ノーフォーク州の州都)のソーセージ製造業者が「トラファルガー・バンガー」というソーセージを売り出し(この商品名は、ヴィクトリー号の32ポンド砲にちなんで名付けられたそうですが)、地ビール製造業者とタイアップして、イベントなどを企画しているそうです。
その一つが「ホレイショ・ネルソン・エール・トレイル」でして、参加者にはログ・ブックが配られ、行く先々のパブでスタンプを貰いながら、ビールを飲んで歩くそうで…、
なんといいますか、こりゃぁビーズ好きの英国人にはウケるでしょう…と言うべきか、それとも…(あまり大きな声で言ってはいけないかもしれませんが)…でも、これって、JR東日本でやってたポケモンスタンプラリーとどう違うの?…というか。
ともあれ、ソーセージは こちら。ビールはこっち

最後は、ご当地はご当地でも「我が町の偉人を忘れるな!」という、故郷を大切にする英国人ならではのイベントをご紹介。
トラファルガーと言えば…ビールにまでなってしまうネルソン提督ですが、
この方もお忘れめされるな!
艦隊の副司令官、ネルソンが倒れた後の指揮を受け継いだコリングウッド提督。
北部イングランド・ニューカッスルに生まれたコリングウッドは、ニューカッスルの北25kmほどの小さな町Morpethに屋敷を購入し、海に出ていない時にはここに暮らしていたと言います。
Morpethの町の人々は、ネルソンの影に隠れてしまったこの英雄(と言っても、コリングウッドはセント・ポール寺院のネルソンの近くに埋葬されているのですが)を称えて、10月22日に記念行事を行うとのこと。
この町は、H.M.S.トリンコマリー(保存されている当時のフリゲート艦)のあるブラックプールからあまり遠くありませんし、10月21日のあとこちらに、北部イングランドにまわってみる…というのも旅程としては良いかもしれません。
コリングウッド提督に関する地元記念行事についてはこちら


2005年02月27日(日)
M&C、4月にWOWOW放映

ご無沙汰(?)失礼!でした。
火曜日に一山越して、ちょっと楽になりました。でもまだ続く年度末、次のお山は3月中旬。

さて、標題の通りです。
4月にWOWOWで「マスター・アンド・コマンダー」の放映があるそうでございます。
Fさんに教えていただきました。ありがとー!
くわしくはこちら、
http://www.wowow.co.jp/program/

情報に遅れている私は、今日やっと3月のTV雑誌を買ってきて、映画チェックしているところです。
3月はラッセルの映画がいろいろ。
NHKBSで3月9日(水)19:45〜22:05「L.A.コンフィデンシャル」
日本テレビ読売系で3月18日(金)21:03〜23:24「グラディエーター」

これは関東圏だけかもしれないのですが、ポールの出世作
テレビ朝日3月4日(金)26:50〜28:40「ROCK YOU!」

実はこの日、同じ時間の裏番組が、
フジテレビ3月4日(金)26:40〜「Uボート」

3月の関東圏の深夜はこの他に「デスペラード」とか「ダスト」とかありまして、DVDのHDD空容量がピンチになりそうな気配です。
ほかにWOWOWには「ドッグヴィル」(3月28日)もかかります。ご覧になれる方はどうぞ。

「グラディエーター」は前回とは放映局が変わるので、また吹き替えが変わるのでしょうか?
これって局によって放映時間やカット箇所が異なるので、録り直しをするのだそうで、そのあたりの事情が先日発売された「日経エンタティメント3月増刊Movie & TVデラックス」に載っていました。

洋画ファンから見ると、映画の製作にかけた手間や監督、俳優の思い入れに比べれば、手軽に作られすぎている感のある日本語吹き替え版ですが、この記事を読むと意外と…と言っては失礼かもしれませんが、想像していたよりも手をかけて製作されているのだなあということがよくわかります。

以前は前日1回のリハーサルだけで吹き替えていたそうですが、最近は声優さんは事前にビデオテープなどの貸し出しが受けられるとのこと。
事前のビデオ貸し出し? なんかこれ、似たような話を読んだような気が…、たしか字幕翻訳の問題を扱ったどこかの新聞だか雑誌の記事でしたっけ? これも翻訳者にビデオテープが貸し出されるのされないの…という話だったと思いましたが、

版権とか機密保持とか、配給会社にもいろいろ事情はあるのかもしれませんが、やはりファンとしてみれば、翻訳者にも吹き替えの声優さんにも、良い環境で仕事していただきたいと思いますし、なんといっても本来は莫大なお金と時間と思い入れをかけて作っている洋画なのですから、その丁寧な作りをこわすことのない日本語版を作っていただきたいと思います。

個人的な好みもありますが、
やはり歴史もの、史劇はね、重々しい時代言葉の綺麗な日本語で聞きたいですよね。
いや、英国の歴史ドラマはいいんですよ。もとがあの英語ですから。
でも「トロイ」とか「アレキサンダー」とかが英語だと、たとえアメリカ英語ではなくて古めのイギリス英語でも、やっぱり何かちがう…それだったらやはり、時代がかかった日本語で。
前回の「グラディエーター」のTV放映は、やはり、マキシマスが「我が名は…」って名乗るところが最高でございました。これはやっぱり、「マイ・ネーム・イズ」や、「わたしの名は、」では駄目なのよ。

「ロード・オブ・ザ・リング」の吹き替えが良いのは周知の事実ですし、ことセオデン王の出陣にかけては、あの美しい英語よりも重々しい日本語版を選んでしまう私は所詮日本人なのですが、
最近のTV放映吹き替えの傑作は、去年の秋に放映された「HERO」ではないでしょうか?
古代中国の物語は、美しい日本の時代言葉に翻訳されていて、堪能いたしました。
こんなに翻訳が良いとは思いませんでしたし、前の野球中継が延長になった関係で放映時間がずれたため、録画していなかった。あぁ惜しいことをした!と思います。


話戻って、これは年齢がばれますが、さっきの日経エンタティメントの記事で知ってびっくりしたこと。
この記事で声優の広川太一郎氏のお仕事が紹介されているのですが、なんと「ダンディ2の華麗な冒険」はハピネット・ピクチャーズからDVDが出ているのですね。
「ダンディ2」はトニー・カーティス&ロジャー・ムーア主演の1時間番組(TVドラマ)で、1975年頃に関東では確かフジテレビで土曜の夜に放映していました。トニー・カーティスを広川氏、ロジャー・ムーアを佐々木功氏が吹き替えていて、この二人の息のあった掛け合い漫才(?…というより突っ込まれてタジタジとなるロジャー・ムーア)が面白かったのを憶えています。
もう一度見たい!という方がやっぱり多かったのでしょうか?

あらら、最初の話からずいぶん脱線してしまいました。
明日は先週から持ち越してしまった「Sea Britain 2005」情報の予定です。


2005年02月25日(金)
プロデューサーと艦隊司令官

ラッセル・クロウの次(「シンデレラ・マン」)の次の映画「ユーカリプトス」は、2月撮影開始の予定でしたが、諸般の事情により沈没してしまいました。

この諸般の事情…については、新聞とか雑誌とか海外メディアでは憶測も含めて、いろいろ情報がとびかっており、結局のところはっきりしたことがよくわからないのですが、この映画のエグセクティブ・プロデューサーでもあるラッセル・クロウ自身は、この映画をサルベージすべく、現在動き回っているもよう。

このニュースは米国ノートン社のパトリック・オブライアン・ファンサイトでも話題になっていたのですが、その中で「前からよくわからなかったんだが、いったい映画のプロデューサーっていうのはどういう仕事をするんだ?」という質問の書き込みがあったのですね。
それに対して、映画ギョーカイ人のおなじみマックスさんがお答えレスを付けられたのですが、これがなかなか面白かったのです。

いわく、
皆さんに説明するには、4巻のモーリシャスの話を例にするのが良いように思われる。
陸から見ている人の目には、仕事をしているのはクロンファートやキーティング、ピムたちのように見えるだろう。
だが実際にこれを成功に導いたのはジャックの働きにかかっていた。必要なところに必要な人員と艦を配置する。これがプロデューサーの仕事だ。
と言うのですね。
まぁ、なーんとわかりやすい説明。さすがです。

映画「ユーカリプタス」の行方は、ですから現時点ではまだ何ともわからないのですが、この映画、実はFOX社系列がかかわっています。
今回こういうトラブルになって、これがFOXとクロウの関係にどういう影響があるのか?ということを、オブライアン・フォーラムの皆さんはいち早くいろいろ思案していらっしゃるようです。
これはまだちょっと気が早すぎる論議ではないかと思うのですけれども。


先週ちょっと働きすぎて、目をこわしかけたみたいです。
帰りの電車で文庫本を読もうとしたら、あら?字の焦点がぼける…ちょっと本の位置を離してやると…あら見える?
こ、これは…老眼…ではたぶんなくって、眼精疲労の黄信号…だよね? 老眼では早すぎる。
いえ私は26才の時に、やはり年度末にワープロ打ちすぎて1メートル以内のものに焦点があわなくなる…という眼精疲労を経験していまして。
もともと視力1.2なので遠視気味、ですからまぁきっと老眼は人より早いとは思うんですけど。

というわけで、ちょっと土日は目を休めるために、本もDVDもPCも自粛してました。
「Sea Britain」関連は幾つかプレスレリースが出ているのですが、1つをのそいては急ぐものはあまりないので、すみません、ちょっとこんな事情なので先送りとさせてくださいまし。

ちょっと急ぎかもしれないニュースは こちら
2005年3月21日19:30開演で、Sea Britain 2005 にちなみ、ロンドンのロイヤル・フェステイlバル・ホールで、ヴォーン・ウィリアムズの「海の交響曲」のコンサートが開かれます。
英国在住の方、この近辺にロンドンに行かれる方は、よろしければどうぞ。


2005年02月20日(日)
英国アカデミー賞 BAFTA

英国アカデミー賞BAFTAが発表されました。
コメントしている余裕がないので結果のみupです。票が割れてちょっと面白い結果になったと思います。
さて、2月末のアカデミー賞はどうなりますか?


英国アカデミー賞(BAFTA Awards, British Academy of Film and Television Arts )

作品賞(Film)
アビエイター.

主演男優賞(Actor in a Leading role)
ジェイミー・フォックス「レイ」

主演女優賞(Actress in a Leading role)
イメルダ・スタウントン「Vera Drake」

監督賞(The David Lean Award for achievement in Direction)
マイク・リー「Vera Drake」

助演男優賞(Actor in a Supporting role)
クライヴ・オーウェン「Closer」

助演女優賞(Actress in a Supporting role)
ケイト・ブランシェット「アビエイター」

Orange Film Of The Year (一般投票による昨年度ベストヒット10作品)
ハリー・ポッターとアスカバンの囚人

英国作品賞(The Alexander Korda Award for the Outstanding British Film of the Year)
My Summer Of Love.

外国語作品賞(Film Not In The English Language)
モーターサイクル・ダイアリーズ

脚本賞(Best Original Screenplay)
エターナルサンシャイン

脚色賞(Best Adapted Screenplay)
サイドウェイズ

音楽賞(Achievement In Film Music (The Anthony Asquith Award))
モーターサイクル・ダイアリーズ

撮影賞(Cinematography)
コラテラル

編集賞(Editing)
エターナルサンシャイン

プロダクション・デザイン賞(Production Design)
アビエイター.

衣装デザイン賞(Costume Design)
Vera Drake.

音響賞(Sound)
レイ

特殊効果撮影賞(Achievement In Special Visual Effects)
ザ・デイ・アフター・トゥマロウ

メイクアップ・ヘア賞(Make-Up And Hair)
アビエイター

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みいはぁ(?)なおまけ:英デイリー・テレグラフ紙BAFTA特集
THE BAFTAS - PICTURE SPECIAL (英国の主要俳優、監督の写真と一言インタビュー)
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts//slideshows/bafta/upixbafta.xml&sSheet=/arts/2005/02/12/ixfilmmain.html

「NEXT」をクリックして写真を送っていくと、ポール・ベタニーにたどりつきます。前髪を上げたちょっと珍しい写真。他にも主要な俳優・女優が多数登場。


2005年02月14日(月)
[SeaBritain 2005] 今夏の帆船レースなど

Sea Britain 2005のプレスレリースには、英国のトレーニングシップの航海予定や、一般トレーニー募集のおしらせなども載っています。
これを見ていくと、今年の夏から秋にかけての帆船レースの情報などもつかめて、なかなか便利です。

Tall Ships Youth Trustのプリンス・ウィリアム号は全長60メートルの横帆船ですが、6月の国際観艦式の前後11日間に及ぶ航海の一般乗船者を募集しています。乗船者といっても客室に座っているお客さんではなくトレーニー、ロープを引いて帆をあげたり、マストに上って作業をすることも。
ただしこの時期の乗船料はお高い。11日間で£999(約20万)。

プリンス・ウィリアム号は、7月〜8月にかけて行われる「2005 European Tall Ship Race」にも参加します。
このレースは7月8日〜16日がアイルランドのWaterford〜フランスのCherbourg、ここからイギリスのNewcastleに移動し、7月27日〜8月5日が、NewcastleからノルウェーのFredrikstad。レースはこの2回に別れて行われますが、移動区間のつなぎ航海にあたるシェルブール〜ニューカッスル間(7月16日〜27日)で一般乗船者を募集するとのこと。こちらは夏休みに当たるゆえか青少年限定で乗船料は£749。

さらに、10月31日〜11月3日に、イングランド南部ワイト島沖で行われるBrig Match Raceにも参加。この時の乗船料は£299(約6万円)とか。

まぁ実際に乗船するのはともかく、このプレスレリースから、帆船レースの日程を知ることは出来るので、これを狙って現地に行ってみる…というのも良い手かもしれません。
プリンス・ウィリアム号に関するプレスレリースはこちら

ところでこのプリンス・ウィリアム号、北の海が冬の間は、カリブ海や地中海に出稼ぎ行っているようなんです。…と言っても海賊稼業ではなく、観光業。
マジョルカ島、イビサ島、メノルカ島…このあたりを航海しながら、セイリング・ホリデーと称して一般乗船客を乗せているとか(もちろんロープを引いたりマストに上る作業つきで)。
これって、ひょっとして、帆船でメノルカ島に入港できてしまう…ということですか?
マストの上から地中海をぐると見渡すことができるとか?

現代でもあの時代を体験するのは、決して不可能でも夢のような話でもない…ということです。
このセイリング・ホリデーの詳細をお知りになりたい方はこちら

大西洋横断航海とか、アンティグア、バルバドス…などカリブ海をめぐる航海もあるようです。
あぁダドリ・ポープの描いた、あの空と海が本当に体験できるのかぁ…と思いますが、問題は、日本人は1週間も休みがとれない…ということで。
でもご安心ください。乗船客の対象年齢は18才〜75才ということで、リタイア後に挑戦することも可能です。

そうそう、カリブ海と言えば、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の鍛冶屋のウィルのお父さん役は、二転三転したあげく、結局ステラン・スカルスグールドに決まったそうですね。2本まとめて春から撮影開始ということで、航海じゃない公開は「パイレーツ2」がアメリカで来年2006年夏、「パイレーツ3」は2007年夏だそうです。

先週予告していた通り、管理人は今週(明日)から年度末関連で超多忙になりますので、多少更新が少なくなるかもしれません。3月の次の3連休(5週間先だわ…嘆息)頃には復帰している予定ですが、毎日来ていただいても更新があるとは限りませんので、しばらくの間、よろしくお願いいたします。


2005年02月13日(日)
「アレキサンダー」にウォーリー君を探せ!

オリバー・ストーン監督の歴史スペクタクル「アレキサンダー」に行ってきました。
ついでに、サプライズ号の気の毒なウォーリー君ことジョセフ・モーガン演じるフィロタスも探してきました(笑)。

この映画、アメリカで不評…というのは、よ〜くわかります。
ペルシアの専制君主から自由のために人々を解放する…という演説をぶって攻め込んだアレキサンダーが、長征のあげく疲弊してぼろぼろになって撤退する。
ストーン監督は「この映画には政治的メッセージは一切ない」と言明しているそうですが、やはり今この時期に、ガウガメラの戦いとバビロン入城(いずれも現在はイラク国内)を派手派手しくやってしまっては、かぶるものが多すぎます。

でもこれ、史劇としてはよく出来ていますよね。
大王を英雄として祭り上げず、人間アレキサンダーを描いて、戦いも美化せず血みどろに仕立て上げた。
おそらく実際の歴史的事実というのは、こんなものだったのだと思います。

その意味では、アーサー王伝説を薄汚れた泥どろの騎士にしてしまった「キング・アーサー」と同じだから、映画とはサクセス・ドリームを楽しませてくれるもの…という期待が一般的なアメリカでは(この映画の隠された政治的テーマが耳に痛かろうと何処ふく風であろうと)、やっぱり結果は同じだったかな?とも思うんですが。

ただアーサーと比べると、こちらの方はもともとの歴史のスケールが大きいこともあり、どうしても人間ドラマが拡散してしまいがち。
アレキサンダーにはおそらく、2つの人間ドラマがあると思うのですが、1つ目のマケドニア王家内の確執と人間アレキサンダーについてはわかりやすかったけれども、2つ目のそしてストーリー進行(=アレキサンダー軍の侵攻)とパラレルになる、大王と麾下の将軍たちのドラマについてはちょっと拡散しすぎてしまった感があり、このための物語の結末がぼやけてしまったのではないかと…ちょっと残念。

インドで最後に「もう帰りましょう」と進言するクレイトスは、あそこで唐突に発言をしたような感がありますが、実はその前に、長年苦楽を共にした同輩の将軍を謀反の疑いで殺すように命じられ、手を下しているんですよね、でもそのエピソードが遠景でさらーっと通り過ぎてしまうので、後になって「あ、そういえば、ひょっとしてあの時の刺客はクレイトスだった???」と首をひねる状態。
プトレマイオスだって最後に語り手になるくらいなら、もっと途中で派手なドラマがあって良い筈だし、

いや、それでも俳優さんたちが上手いから、何となくそぶりや目つきから、彼らの考えてることはわかります。わかりますけど、逆に言えば、あれだけ上手い俳優さんたちを使いながら勿体ない…とも思うんですよね。

このようなうがった見方をするのはどんなものか?とも思うのですが、
どうも最近、DVDが発売されて復活した削除シーンを見ると、それが人間ドラマだった…という映画が多すぎて、この映画もひょっとして、脚本段階では将軍たちのドラマもあったが実はカットでした…とか言う話だったら嫌だなぁと。
それでその分戦闘シーンが長かったんです…などという「王の帰還」のような話はもう沢山…とは思いますが、ただ、もし、あの長すぎる血みどろな戦闘シーンが、観客に「戦いはもううんざり」という厭戦気分を起こさせる意図的な演出だったとすれば…
この映画のメッセージの一つは観客に伝わった、ということになるのかもしれません。
…もっとも、このような感想が正しいのか…それともうがっているのか…私には自信がありません。

でもやっぱり、歴史劇はハリウッド超大作ですね。
そして映画館の大スクリーン。
たとえセットでも、CG合成でも。バビロン入城には感激しました。
博物館でしか見られない…そして現地ではもはや風化した礎石のみになってしまった古代バビロニアの王城が色鮮やかに蘇るのですから。
ちょっと建築史上、時代が多少前後していたかな?と首をひねる部分もありましたが。
でもこの夢を見せてくださっただけでも、この映画、私は来て良かった〜!と思いましたです。

ところで、サプライズ号のウォーリー君こと、英国の若手俳優ジョセフ・モーガンの演じるフィロタスですが、
アレキサンダーが王となり、長征に出て最初の大きな山場となるガウガメラの戦いの作戦会議のところで見分けられます。髪型も髪の色もウォーリーの時と同じですから(衣装は全然違いますけど…なんと言っても今度はマケドニアの指揮官)わかりやすいと思います。
そこでミスってしまったら、次はガウガメラの乱戦の中。彼は一翼を指揮するパルメニオンの息子としてアレキサンダーに救援を求めて馬を飛ばします。
「援軍を!」と叫びながら駆け込んでくるのでここはわかりやすいと思います。

うーん、出世したねぇウォーリー君。乗馬も上手いじゃないか、マストも上れる馬にも乗れる…これはもう歴史劇に関する限り敵なしだわ…などと思ってしまいました。


2005年02月12日(土)
ルーブル美術館の有名ではない海洋画

お休みの今朝、寝坊してのんびり起きてきたら、家族がNHK総合を見ていました。
なんでも今日は1日特集で「ルーブル美術館」だそうで、母などは結局、最後まで(午前8時半〜午後3時までの番組だったらしいですが)見てしまったようです。
私は朝食の前後と昼食の前後、それでも2時間くらいは見ていたでしょうか?

ルーブル美術館というところは、本当にじっくり見るのなら1週間はかかるかもしれない。私は1日で駆けとばしたのだけれど(パリには3日しかいなかったのだから仕方ない)、やはりもう一度行ってゆっくりじっくり見たいものだと思いました。

でも駆け飛ばしたにもかかわらず、しっかり収穫だけは拾って来たのです。
いや、Jacque-Louis DAVIDの筆による有名な「ナポレオンの戴冠」がルーブル美術館にあることは知っていましたが、ルーブルではこのほかにも多くの海洋画があって、当時のバルト海の港を描いた連作とか…、例のエアソン海峡(デンマークとスウェーデンの間の海峡で難所)を航行するフリゲートなどもあり、すっかり感激しちゃった私は…思わず、メモメモ。

というわけで今回は「知られざる(つまりは全然有名ではない)ルーブルの海洋画」特集。
あ…でもこれは、フランス語カタコトの私が機械的に写しとってきた文章ですので、スペル他間違いがあるかもしれません。
またこの日記はテキスト文書なので、アクセンテーギュなど特殊文字が出ません。ご容赦ください。

ルーブル美術館の海洋画メモ
(これは2002年のものです。その後移動があるかもしれません)

シュリー翼3階52室
* Joseph VERNET「L nuit : un port demer an clair de lure」1771年
* Joseph VERNET「Marseille」1754年

リシュリュウ翼3階
15室
* Claude GELLEE
28室
* Jan van GOYEN, 1596-1656「Vue de Dordrecht」
* Johanes Juibert PRINS, 1757-1806「L'Oude Grcht a Utrecht」
C室
* Antonie WALDORP, 1803-1866
「Marine - Arivee de haits perosnnnages damsun port hollandais du 17C」
D室
* Peder BALKE, 1804-1887「Vue de sites du Denmark et de la Norvege 1847」
34室
* Ludorf BAKHUISEN「Le port d'Amsterdam」1666年
37室
* Ludorf BAKHUISEN 1631-1705
* Willem van de VELDE le Jeune 1633-1707「Marine avec vaisseau anival」
38室
*Jacob Issacksz van RUISDAEL 1628-1682
* Hendrik Carrelisz van der VILET 1633-1707
39室
*Ludorf BAKHUISEN 1631-1708 艦隊

 一番のおすすめはD室のPeder BALKE。バルト海を描いた一連の風景画で、オレスン海峡、クロンボー城沖のフリゲートなど、当時の現地の様子をよく伝えています。

またナポレオン関係絵画は上記のDAVIDの他に
* Paul DELAROCHE, 1797-1856「アルプス越えのナポレオン」
* Antoine Jean Baron GROS, 1791-1835「冬将軍」
などをリシュリュウ翼3階15室で見ることができます。


でも、このルーブル見学もいろいろハプニングがありました。
ルーブル美術館って職員のストが多いのだそうですね? 何度パリに行ってもストで入れない…というお気の毒な方もあるそうで。
私が行った時もスト騒ぎをやっていて、9時の開館に言ったところが、「本日は開くかどうかわからない」と言われました。「いま話し合いの最中で11時頃までには決まる」とか。
そんな!パリには3日しかいられない可哀想な多忙日本人観光客なのだから、そんなの付き合っていられません! 私はさっさとギメ美術館(東洋美術館)に走り、午前中はそちらを見て、午後1時頃戻ってみると、ラッキー!「開いているじゃありませんか!」

そこで端から見学を開始したのですが、午後3時頃これからフランドル絵画に入ろうとしたところで、なんと警備員が来て鍵をかけ始めた。
なんか言ってたけど、よくわからないのでそのまま見ていたら、英語に切り替えて「クローズ!」とのたまう。

え〜っ!だってここ、5時閉館じゃないの!まだ2時間あるでしょ!
…というようなことを英語で言ったら(こんな複雑なことはフランス語で言えない)、わからないんだか、わからないふりをしているんだかわからないけど、フランス語で「今日は3時だ」って言い張るんですよね。どうもストの関係らしいんですけど。
「あっちのイタリア絵画は7時まで開いているからあっちへ行け!」と。
あ〜っ! この先にフェルメールが…、なのに締め出し?
明日は日本に帰るのに…、泣くに泣けない。

…ので、翌朝速攻で行きましたよ。1時の飛行機で、10時には出なければいけなかったので、9時開館と同時に飛び込んで1時間だけ、フランドル絵画だけ。
そしたらね、誰もいなくて貸し切り状態だった。
5分間、他に誰も入って来なくて、フェルメールと私、2人きり。こんな贅沢ルーブルであり?
本当に夢のようでした。
…でしたが、ギリギリに帰ったので友人に大変心配されました。飛行機ぎりぎりでした。
あとで大変反省しました。

そうそう、今日のNHKのルーブルの番組で、レンブラントのアムステルダムのアトリエを紹介してましたが、「真珠の耳飾りの少女」のフェルメールのアトリエと窓の感じが同じで。
あの映画のセットはレンブラントのアトリエを参考に作ったのかもしれません。


2005年02月11日(金)
[SeaBritain 2005] ピックル号に手を貸してください

スクーナー艦ピックル号(H.M.Scooner PICKLE)は、1805年10月のトラファルガー海戦の直後、副司令官であったカスバート・コリングウッド提督(Vice-Admiral Cuthbert Collingwood)が記した、海戦の勝利と司令官戦死の第一報をイギリスへもたらしたことで、その名を知られています。

英国グロウチェスターの乾ドックで改修作業中のこのピックル号が、現在、あなたの「手」を求めている!…こんなプレスレリース(写真も載ってます)が公開されました。
木工、電機設備、ペンキ塗り…など、山ほどの仕事があります。経験、未経験を問いません。ボランティアの水兵(作業員?)さんを募集します…ということのよう。
船体のペンキ塗り?面白そう…イギリスに住んでいたらボランティアしてしまうのに…。

このピックル号、6月28日の国際観艦式の時に先導役をつとめることになっていた筈ですから、作業を急がねばなりません。
大丈夫かしら?間に合うのかしら?

ところで、これとは別にSea Britain 2005にちなんで、コリングウッド提督の第一報を再現しようという歴史イベントも企画されているようです。

このイベントを中心的な役割を演じるのはその名もLord Nelsonという英国の木造帆船、7月2日に英国ポーツマスを出航し、フランスのブレスト、スペインのカディスといったゆかりの地を訪問した後、トラファルガー海戦の勝利とネルソン提督戦死の方が最初に英国に伝えられたコーンウォール州ファルマスに入港。

史実ではここから、ピックル号のLieutenant Lapenotiereがロンドンまでの270マイルを馬車で走り継いで驚異的な時間で首都にこの報を伝えた…ということになっているのですが、
今回のイベントでは、この馬車の旅を再現し、当時のルートを通って馬車が7つの州を走り抜けるとのこと。

あら〜、私この馬車ルートが知りたいわ。これってもちろん、現在の幹線高速道路ではなくて旧街道を走るってことですよね?
…ということは、リチャード・ボライソーや27巻ではアダムが、プリマスからファルマスに帰る時に通った馬車ルートや、ラミジがプリマスの軍法会議で有罪になりそうなった時に、アレクシス・ヨークが馬車を飛ばしてロンドンに助けを求めて走ったルートがわかるってことですよね?
いやべつに、知ってどうなるものでもないんですけど、でもわかるものなら知りたいな…というお馬鹿なファン心理なのでした。

この歴史イベントに関する記事はこちら


2005年02月10日(木)
[SeaBritain 2005]ランカスター海の唄フェスティバル

英国北部の港町ランカスターでは、SeaBritain2005にちなみ、復活祭休日にあたる3月25日〜28日の3日間、海の歌、船乗り唄のフェスティバルが開催されます。

期間中は、全国から歌い手が集い、海事博物館や18世紀の面影を残す埠頭を中心に、川沿いのパブ、市内のショッピングセンターなどで様々な催しが企画されています。
突然、プレスギャングが出現する…などというイベントもあるそうです。

この催しはきっと楽しいだろうなぁと想像します。
去年のちょうど今頃、東京・城南地区のアイリッシュ・パブ4軒の共同企画でアイリッシュ・ミュージックフェスティバルのイベントがありました。
狭いパブの中で楽器の演奏があって、見ず知らずのお客さんが皆一緒になって盛り上がり、ステップを踏める人は踊り出したりなどして、とても楽しいイベントだったのです。

英国のパブで誰かが海の唄を歌い出したら、きっと同じような盛り上がりになることは必定…毎年9月頃にNHKBSで放映がされる英国のプロムス・ラストナイト・コンサートでは、海の唄とともに会場中のお客さんが盛り上がっています。
プロムス・ラストナイトのチケットは、そう簡単にはとれないと聞いていますが、3月のランカスターだったら誰でも参加できそうです。

このランカスターのイベント詳細はこちら

また、英国ではこのランカスター以外にもカーディフ(8月)ブリストル(1月〜9月までいろいろ)、など各地でイベントが開かれるようです。

また、高級陶器のウェッジウッド社にはSeaBritain2005を記念した、ネルソンと旗下の艦長たちのポートレイト・メダルの企画があるとか。バーラストンのWedgewood Visitor Centorでは特別展なども開かれるようです。
ウェッジウッドおよびダービーシャー、バーミンガム市などのイベントについては、こちら。


2005年02月06日(日)
「インド洋の死闘」

海洋小説ファンに「インド洋の死闘」と言えば、D.A.レイナーの小説(創元推理文庫230-2)。
時は1808年、所はインド洋セイロン沖、英艦サン・フィオレンツァ号vs仏艦ピエモンティーズ号の戦い。アメリカ独立戦争の20年後ということで、J.P.ジョーンズ(アメリカの独立戦争の英雄、米海軍の父とも言われる)は全く関係しておりません。

先週に引き続き、海洋小説の古典的名作シリーズ、今回はD.A.レイナー。
レイナーは1908年生まれ、1925年に候補生として海軍に入った職業軍人で、第二次大戦中には駆逐艦の艦長を務めていました。
戦後、駆逐艦とUボートの戦いを描いた小説「The Enemy Below(眼下の敵)」を発表、その後もいくつかの海洋小説をあらわしました。
その中の一つが、ナポレオン戦争の時代1808年のインド洋を舞台にした「The Long Fight(インド洋の死闘)」(パシフィカ出版の旧版タイトルは激闘インド洋)です。

この小説は全くのフィクションではなく、1808年3月4日〜3月8日に実際に起こった戦闘を小説化したもの。
東インド会社商船の護衛に当たっていた英艦サン・フィオレンツァ号と、仏艦ピエモンティーズ号というフリゲート艦同士の3日間にわたる死闘を描いた歴史小説です。
この戦いに関しては、当時の東インド艦隊司令官だった海軍少将サー・エドワード・ペリューが海軍本部に送った手紙や、サン・フィオレンツァ号から提出された報告書などが詳細に残っており、レイナーはこれらの史料から小説を組み立てたものと思われます。
インターネットというのは凄いもので、ペリュー提督の手紙やフィオレンツァ号からの報告書が今はなんとネット上に上がっているのですね。
http://www.cronab.demon.co.uk/StF.htm
で読むことができます。ただし報告書ですから勿論、全容が述べられていますのでご注意(つまりはねたばれということです)。

私はずいぶん昔にこの本を読んだので、かなりなところを忘れていたのですが、オーブリー&マチュリン4巻のモーリシャス攻防を読んだあとの今、読み返してみると、あ…なるほどと納得することが多い。
通常、英国の海洋小説は英国側視点のことが多く、例えば映画「マスター・アンド・コマンダー」にしても、話はすべてサプライズ号上で展開し、アケロン号の事情は全くわからず不気味な敵として存在するだけ。
ところがD.A.レイナーの小説は、相対する両艦の事情をかわるがわる丹念に描いた上で、戦いの全体像を浮かび上がらせようとしています。
ゆえにフランス側の事情もかなり詳しく知ることができるのです。

パトリック・オブライアンのオーブリー&マチュリン4巻では、インドから喜望峰に向かう東インド会社の商船がたびたびフランス艦の襲撃を受けますが、この理由についてはあまり詳しく説明されず、私もただ単に、英国に損害を与えるためだろうと思っていました。
ところが実は、フランス側にはもっとせっぱ詰まった事情があったのですね。
モーリシャスのイル・ド・フランス島でフランスは、砂糖キビのみの単式栽培を展開しました。その結果、この島は食料自給ができない状態に陥り、インドから食料を輸送せざるを得なくなってしまったのです。ところがフランスは、やがてインドでの植民地を失うことに。
となると残された道は、インドからの商船を拿捕して食料を奪うしかない。
というわけで、「インド洋の死闘」では商船の護衛にフリゲート艦サン・フィオレンツァ号が派遣されることになるのですが。
レイナーの小説の舞台は1808年、オブライアン4巻の1年半前。こうやって見てみると、当時の情勢がより広く見渡せる…というわけです。

火力に差のあるフリゲート艦同士の一騎打ち(サン・フィオレンツァ号の38門に対して、ピエモンティーズ号は50門)、
相手の指揮官の性格を読みながら、戦術を選び取り、決断を下していく課程
…など、「インド洋の死闘」には、サプライズ号とアケロン号の追撃戦に似た展開があり、また砲門数は異なりますが、サン・フィオレンツァ号もサプライズ号と同じく、フランスからの拿捕艦。1781年にラ・ミネルブ(ミネルバ)号としてフランスで建造されましたが1795年にイギリスに拿捕され、サン・フィオレンツァ号と改名されたものです。

艦は結局はその艦を指揮する者と同じ動きをする。僚艦であれ敵艦であれ、その艦を知れば知るほど、それは結局、その艦を指揮する者=艦長を知ることになる。
どこまでも執拗にサプライズ号を追うアケロン号に対し、ジャックが「何故追ってくる?私が敵艦長の身内でも殺したか?」とつぶやくと、スティーブンが「He fights like you, Jack」(彼は君と同じだよ)と答えていたシーンを思い出しますが、このような互いの人間性の探り合いも、海洋小説の面白さかもしれません。(ちなみに、このパターンは次に発売されるオブライアン5巻「Desolation Island」にもありますのでお楽しみに)。

長時間戦ったあげくに敵艦長の人となりを理解する…といえば、やはりレイナーの名を高めた第一作「眼下の敵(創元推理文庫320-1)」でしょう。
これは第二次大戦を舞台にした、英国駆逐艦ヘカテ号と、ドイツ潜水艦U121の物語。
この小説はロバート・ミッチャム主演で、ハリウッド(実は20世紀FOX社)で映画化され、映画になってみたところ、英国艦がなんとアメリカ艦に化けてしまい全く別の話になっていましたが、全く別の物語として、この映画はこれで名作だと思います。ミッチャムはともかく、クルト・ユルゲンスのUボート艦長が…「Believe me」というシーンが忘れられません。

でも映画か小説かと言われたら、やはり私は原作小説をとりますけれど。
相手の性格を読みながら命のやりとりをしていく心理戦…は、やはり丹念に描かれた小説の方が深みがあります。英国艦の軍医は心理学にも興味のある人で、艦長と二人でドイツ艦の艦長の性格を推理していくところが面白い。

それにしても、この作品、日本語に訳されたのは本が最初か映画が先か?「The Enemy Below」を「眼下の敵」と最初に訳された方は本当に凄いと関心します。簡潔で、インパクトがあって、事実を的確に表している。
どうも最近の洋画は日本公開タイトルがあまりにも安易で。横文字をそのままカタカナにすれば良いというものではないでしょ!…と。
これだから邦画に押されてしまうんだわ。舌を噛みそうなカタカナは、世界の中心で叫ばれる愛には勝てません…って。
去年公開の「恋愛適齢期」とか一昨年公開の「めぐりあう時間たち」とか、一年に一本は「おぉさすが!」というタイトルがあるのですが。
配給会社の方にはもうひとひねりご一考いただけないものかと。

そう言えば間もなく…2月15日から「Uボート最後の決断」(これはまた直截なタイトル!)という映画が全国公開になるそうですね。
http://www.uboat-sk.jp
地味ながら見応えのある映画になるのだろうな…と推察しますが、15日公開というのは私の場合ちょっとあんまりな日程で。
年度末の最盛期ですので、さすがに見に行っている余裕がないかもしれません。
「ローレライ」の方は3月5日公開なので、年度末にめどがついた3月末でもまだ何とかなると思っているんですけど。

ということで、この場でおしらせとご連絡。管理人年度末多忙のため、こちらのHPの更新も、次の連休明けから3月20日過ぎまでは少しペースが落ちるかもしれません…が、あぁ忙しいんだなと暖かく見守ってくださいましたら幸いです。
とり急ぎのニュース更新には何とか対応していくつもりです。
よろしくお願いいたします。


2005年02月05日(土)