HOME ≪ 前日へ 航海日誌一覧 最新の日誌 翌日へ ≫

Ship


Sail ho!
Tohko HAYAMA
ご連絡は下記へ
郵便船

  



Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
2004年のおわりに

今年一年、この情報日記にお越しいただき、本当にありがとうございました。
管理人多忙のため更新が思うにまかせず、心苦しい思いをしておりますが、来年もM&Cと海洋小説関係の海外情報の中継にいそしんでいこうと思っておりますので、何卒お見捨てなく、よろしくお願い申し上げます。

また、情報提供、資料提供、ミスの指摘などでこのHPを助けてくださった皆さま方>
皆さまのおかげで何とかここまでやってこれたと思っています。
本当にありがとうございました。

いやでも、1年前の今頃…、海洋冒険小説ってマイナーなジャンルだったんですよね。
果たしてハヤカワはオブライアンの続きを出してくれるんだろうか?って本気で心配していました。
それが、映画のおかげで多くの方々に、私たちの大好きなこの世界を知っていただくことができて、その魅力にひかれて何度も映画館に足を運ぶ方や原作に手をのばされる方もあって、そこに「ホーンブロワー」のDVDが出て、こちらも原作を手にとってくださる方が増えて…。

今のこの現状を思う時、長年の海洋小説ファンとしては、望外の幸福を感じます。
1月1日からの「ホーンブロワー」の再放送で、来年はこのジャンルに感心をもってくださる方がもっと増えてくれると嬉しいのだけれども。

1月27日には早川書房から新刊で、ボライソーの27巻も発売になることですし、
こちらもよろしくお願いします。

映画「マスター・アンド・コマンダー」について、今思い出しても今年一番幸福だったことは、英国アカデミー賞BAFTAで、あのアカデミー賞を総ナメした「王の帰還」を抑えて、監督賞に当たるデイビット・リーン賞をM&Cが受賞したことでした。(ちなみに作品賞は「王の帰還」)
ピーター・ウィアー監督のあの細かい努力とこだわりが、オブライアンの故国である本場イギリスで評価されたことが、何よりも嬉しかったのです。
しかも「アラビアのロレンス」の監督であるデイビット・リーンにちなんだ賞でしたから、これは本当に何よりでした。

個人的に嬉しかったことは、このホームページのお陰で、今年、本当に多くの方とお知り合いになれたこと。私自身の世界も交友関係も大きく広がりました。
これは何よりの宝だと思っています。

来年は「Sea Britain 2005」トラファルガー海戦200周年の年になります。
仕事のスケジュールが全く読めませんので、私の海外旅行はいつも2週間前に決まるのですが、それでも来年は何とか1回、どこかの記念イベントにあわせて英国に行けたらと思っています。

運が良ければ英国で、また何かのイベントの折りにでも、皆さまにお会いして、オフラインでもいろいろお話したいと思っています。
新しい年もよろしくお願い申し上げます。


2004年12月31日(金)
1月1日〜6日NHKBS11「ホーンブロワー」放映予定

年越し準備でドタバタしておりまして、更新が滞り申し訳ありません。
ネタは4つ(なにわの時空館と、国立民族学博物館と、幕末の洋装の謎と、アークティック・ミッション)あるのですが、このままでは全て、1月に入ってから12月の遡り更新を上げる羽目になりそうです。年末は家事がいろいろありますので、31日の夜まで、ゆっくりPCの前に座る暇がとれそうにありません。

えーでも、これを放っておくと、録画設定に困る!という方もいらっしゃるでしょうから、1月1日元旦早々の情報のみ本日のうちに。

1月1日〜6日、NHK衛星第二放送(BS11)にて、「ホーンブロワー」が再放送されます。
放映予定は以下の通り。

第一シリーズ
1月1日 24:50〜26:35 「決闘」
1月2日 24:50〜26:30 「ジプラルタルの奇襲」
1月3日 24:50〜26:30 「公爵夫人と悪魔」
1月4日 24:00〜25:45 「戦場の恋」

第二シリーズ
1月5日 24:00〜25:39 前編「反乱」
     25:39〜27:16 後編「軍法会議」

第三シリーズ
1月6日 24:15〜25:54 「二つの祖国」
     25:54〜27:31 「ナポレオンの弟」

放映時間については、念のため、当日、新聞などにてご確認ください。


2004年12月30日(木)
クリスマスにはコレルリを

サンクトペテルブルグ室内合奏団のクリスマス・コンサートを聴きに、母と上野の東京文化会館に行って来ました。

モーツァルトの「ハレルヤ」やグノーの「アヴェ・マリア」など、クリスマスらしい曲ばかりで、ヨーロッパの大聖堂など思い描きつつ、うっとり聴いていたのですが、コンサートの4曲目がコレルリの「クリスマス・コンチェルト」でして、
えぇクリスマス・コンチェルトなんですけど、これがコレルリの合奏協奏曲作品6第8番の別名だとは、恥ずかしながら私、今日の今日まで知らずに生きてまいりました。

そして、演奏が始まった途端に、私の頭に浮かんだのは、
揺れる担架の上のマチュリン先生を心配そうに見つめるウミイグアナの大群。
そう、コレルリのクリスマス・コンチェルトって、あそこのあの曲のことだったんです。
ヨーロッパの大聖堂に突如イグアナの大群が来て、私、どうしようかと思ってしまいました。

24日は楽しいクリスマス・イブ。
皆さまも久々に「M&C」のサントラなど引っぱり出されて、コレルリの合奏協奏曲作品6第8番など聴かれてみてはいかがでしょう。
楽しいガラパゴスのクリスマス・コンチェルトが味わえると思います。

*********************************

先週の大阪行きの収穫とか更新のネタは幾つかあるのですが、忙しくて時間がとれません。
18日、19日分については後日さかのぼり更新になります。もうしばらくお待ちください。


2004年12月24日(金)
国立民族学博物館のお宝

翌日は千里の国立民族学博物館へ。
ここは長年いちどは見学したいと思っていた博物館でした。

世界のいろいろな所で、独特の暮らしをしている人たち…を見るのが、私は好きなんですね。
テレビの紀行番組が大好きで「世界ふしぎ発見」は毎週欠かさず見てます!…とか。
そうなったらもう、ここに来るしかないでしょう!

この博物館では、もう数え切れないくらいいろいろな収穫があって(タイに行ったときに疑問に思っていた、タイの仏様と日本の仏様の違いの謎がとけた…とか)嬉しかったのですが、
その中から、海洋関係がお好きな方へのおすすめを少々。

南太平洋諸島の展示室には世にも珍しい「海図」があります。
竹を組み合わせ、ところどころに貝を配しただけの、一見、格子飾りのような竹細工なのですが、この竹の一本一本が海流を、貝が島を表しているというのです。
ポリネシアの島々に住む人々が、島と島の間を航海する時に用いたというもの。

海図というのは浅瀬の位置を記したもので、航海というのは天の星や太陽を観測して自分の位置を割り出し移動するもの…という西洋的航海術の概念に取り憑かれていた私には、「この海図で航海できる。ちゃんと目的地に着ける」というのが、カルチャーショックでございました。
これって、行き先を説明するのに、地図を広げて説明するのと、「ずーっと歩いて行ってね、赤い屋根の家を右に曲がってちょっと行くとパン屋があるから、その向かいの路地を入ってしばらく行くと」と説明するのの違いというか、
でもこの海図でちゃんと問題なく航海できるらしいんですよ。

羅針盤がなくても星の位置から正しい方位を知る技術もあって、実際にこの方法でミクロネシアやポリネシアでは長距離の実験航海に成功したとか、驚嘆すべき航海術の数々が、この博物館には紹介されています。

12月時点ではポリネシアの企画展も開催されていました。
そしてここに英国海洋小説ファンのお宝が。

ポリネシアを世界に紹介した人物といえば、ご存じエンデバー号のキャプテン・クック。
民族学博物館のポリネシア展には、今、キャプテン・クックの第二回航海記の初版本(1778年)が展示されています。
ボンデンが読んでいたマチュリン先生の本と同じような、あの時代の装丁で、
表紙に「published by order of the Lord Commisioner of the Admiralty」とあり、この本が海軍省の命令で出版されたことがわかります。
日本でこのホンモノが拝める(?)とは思いませんでしたので、ありがたく拝見して参りました。

この博物館の公開講座は面白そうなテーマばかりで、お近くにお住まいの方が羨ましくなります。
また気軽に上方へも遊びに行きたいと思っています。


2004年12月19日(日)
なにわの海の時空館

12月18〜19日と大阪に行って来ました。
用事は19日だったのですが、前日の18日はいつも掲示板でお世話になっている地元のSさんに、なにわの海の時空間+美味しいものをご案内いただき、19日は用事の前に、千里の国立民族学博物館を見学してきました。

「なにわの海の時空館」は、英語ではOsaka Maritime Museum(大阪海事博物館)。Maritime(海事)の名にふさわしく、大阪の町が海、船、港とどのように関わってきたかをわかりやすく展示した博物館です。

東京の「船の科学館」や、英国やドイツのMaritime Museumのように、船というハードウェアを中心とした展示もあり。
サプライズ号の士官候補生たちが実習していた六分儀(アシュロン号に追いかけられながら、正午の天測をする場面に出てきます)の展示もあり、実際に手にとって北極星に見立てた天井の星を観測、大阪の正しい緯度を知ることもできます。

けれども、何と言っても「なにわの海の時空館」の特徴は、ハードだけではなく、海上交通の歴史など社会史や交通史のようなソフト部分の展示に、かなりのスペースが割かれていることではないでしょうか?。

実は、日本は周囲を海に囲まれながら、意外と海の伝統、海の文化が無いのです。
奈良・平安の昔の遣唐使船、足利時代の倭寇、瀬戸内水軍など歴史の教科書には載っていても、実際にどのようなものだったのか、一般書レベルではなかなかわからない。

私もねぇ、恥ずかしながら日本より英国の故事のほうが詳しい。
ゆえに時空館の展示を見ながら、へーほーはぁ…と、全てを当時の英国と比較しながら見てしまう…という困った事態に。

でも英国と日本では、同じ島国でありながら、地形がずいぶんと違うので、船の利用の仕方も異なるようですね。
例えば、大阪の場合は淀川がありながら、港で一度小舟に荷を積み替えて、伏見まで上がらなければならない。
なぜ? どうして?
これが英国だったら、帆船がテムズ川をロンドンまで上ってこられるじゃない?

この質問を、実はインターネットに投げかけててみましてね、検索の結果、答えを発見することが出来たのですが、なんとこの疑問に答えてくださったのは、畏れ多くも実は皇太子殿下だったのでございます。
2003年3月に滋賀、京都、大阪で「世界水フォーラム」という国際会議が開催されたのですが、この開会式で皇太子殿下が発表された論文の一部に、淀川水運とテムズ川水運の比較研究…というテーマが含まれていたのでした。
以下がその論文です。さすがに、宮内庁のホームページなので、直リンクは遠慮させていただきます。コピーペーストでご覧くださいまし。
http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/kouen-h15.html

簡単に解説してしまいますと、伏見まで帆船が入れないのは、淀川とテムズ川の河川形状の違いなのだそうです。
水位が常に一定しているテムズ川やライン川などと異なり、日本の川は淀川にせよ利根川にせよ、水位が常に変動しています。
そう言えば皇太子さまの専門は日本史それも経済史でした。その後にオクスフォード大学に留学されていたのでした。なんとこういう研究をされていたのですね。

さて時空館には、復元された菱垣回船「浪華丸」も展示されています。
乗船し内部を見学することも出来ます。
ヨーロッパの帆船は、一般的に船尾を重視する傾向があるじゃないですか? M&Cでも艦尾甲板は重要視されているでしょう?
この概念は日本には無いようですね。
驚いたのは、お神棚がマスト…じゃない帆柱の前にあったこと。
英語でマストの前に置くというのは、ジャックがその昔にこの罰をくらってますが、平水兵にするという意味で、決して良い場所ではないのだけれど。
でも船の形状が少し違うから、揺れ方とかも違うのかしら?
大阪湾を帆走している映像を見ましたが、西洋の横帆船より縦揺れが激しいように見えました…が。
実際のところはどうなのでしょう?

なんかこうやって考えていくと面白いですね。
次々といろいろなことが知りたくなって。
東国(とうごく)の人間としては、では江戸の水運はどうなっていたんだろう?とか。
利根川と江戸川の合流点にある千葉県立関宿城博物館(http://www.chiba-muse.or.jp/sekiyado/)には、利根川と江戸川の水運に関する展示はあったと思いますが、ちょっと規模が小さいかしら。

ヨーロッパの船も良いけれど、少し日本のことも勉強しなくっちゃね、と思っています。


2004年12月18日(土)
今年のゴールデン・グローブ賞

米国ゴールデン・グローブ賞のノミネートが発表されましたね。
外国語映画賞の中に金城武が出演した「LOVERS」が入っているので、日本でもニュースになっているようです。
去年は「M&C」が入ってましたから、目の色変えて賞レースを追っていた私も、今年は他人事で呑気に見ています。
ま、でも映画ファンとしては来年の面白い映画探しに役立つから、いちおうチェックだけはしているんですけど。

ゴールデン・グローブ賞の作品賞は、アカデミー賞と異なり、ドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門に分かれています。各ノミネート作品は以下の通り。

作品賞(ドラマ部門)
THE AVIATOR「アビエイター」
CLOSER 「クローサー」
FINDING NEVERLAND「ネバーランド」
HOTEL RWANDA
KINSEY
MILLION DOLLAR BABY

作品賞(コメディ・ミュージカル部門)
ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND
THE INCREDIBLES「Mr.インクレディブル」
Andrew Lloyd Webber's THE PHANTOM OF THE OPERA「オペラ座の怪人」
RAY
SIDEWAYS

映画専門誌で評判を聞く「ネバーランド」と「アビエイター」はしっかり入ってますね。「クローサー」も注目されていたけど、ノミネートに入るほどだとは知らなかった。
「クローサー」と「KINSEY」は出演者が複数、主演・助演の男・女優賞にノミネートされているので、役者で見せる映画なのかなぁ、ちょっと楽しみ。
でもね、これ両方とも全米興行成績は意外とふるわないんですよ。いや、いいんですけどね。私もうアメリカ人と映画の好み合わないの確信しているから、そして、興行成績がふるわないけど賞レースに出てくる映画ってまず間違いなく私の好みなんです。
最近もうすっかりひねくれ曲がって、全米興行成績の悪い映画って、私は逆に注目しているんだけど(おいおい)。

「LOVERS」が入っている外国語映画賞ノミネートは下記の5本。
THE CHORUS (LES CHORISTES) (フランス)
HOUSE OF FLYING DAGGERS (中国)「LOVERS」
THE MOTORCYCLE DIARIES (ブラジル)「モーターサイクル・ダイアリーズ」
THE SEA INSIDE(スペイン)
A VERY LONG ENGAGEMENT (フランス)

私は結局「LOVERS」に行き損ねてしまったので、「モーターサイクル…」しか見ていないのですが、これも地味だけど良い映画でした。
土地の匂いを感じとれるロードムービー。南米大陸を旅してみたくなります。
そうそう、この映画にはバルパライソの港が出てくるんです。サプライズ号とアケロン号のとりあえずの目的地だったところですが。
あぁここなのか!とちょっと感激してしまいました。
あとですね、エンディングロール見て初めて知ったんですけど、冒険小説ファンにはお馴染みの「ダコタ」ことダグラスDC−3のホンモノを飛ばしているみたいです(と書いてあった…けど、私には見分けがつかないので、違っていたらごめんなさい。ありえるとは思います。1952年の南米の話なので)

最近見ていちばん良かった映画は、もう公開が終了してしまいましたけど、イタリアの歴史映画「ジョヴァンニ」でした。
どこかで再映があったら、DVDが発売されたら、これはお勧めです。
「M&C」と「真珠の耳飾りの少女」の両方ともお好きな方…正確に再現された時代の空気そのものがお好きな方…には是非。

師が走るこの季節、年内に見たい映画を全てクリアできるかどうかわからないのですが、あと1〜2本は何とかしたいなぁと思っています。


2004年12月14日(火)
大河ドラマの終わりに

大河ドラマ「新選組!」が最終回を迎えました。
今年は本当に大河「ドラマ」を見たなぁという充実感を味わいました。
大河ドラマに「大河」ドラマは多いけれども、大河「ドラマ」はなかなか無いなぁと。
一年かけて原作なしで一人の卓越した脚本家がまとめたからこそ出来た「ドラマ」だったのではないかと思います。特に最後の、鳥羽伏見から後の新選組が実質上消失してからのドラマが、それまでの伏線をすべて収束していくような形で、見せてくれました。

一年見続けてきた人間関係が収束していくのを見るのはやはりジンと来ますね。大河の人間ドラマで、ここまで胸がツンとなったのは久しぶりです。
この前同じ経験をしたのは…、と思い出して、それが今回のドラマでは最後に勝者であった薩摩の西郷と大久保のドラマであった(「翔ぶが如く」1990年)ことに気付いて、なんだか考えてしまいました。
盟友として幕末を乗り切り(幕府の目から見れば上手く立ち回り)勝者となって新政府の中心人物となった西郷と大久保も、最後は道を分かち、別々の形で非業の死をとげます。
西郷との決裂を決意した大久保が西郷の弟の従道相手に自分の心情を吐露する長芝居が、最近見た中ではいちばん忘れられない、大河ドラマの中の「ドラマ」だったのですが、今回はそれを上回る印象的なシーンが数多くあったような気がします。

今回の「新選組!」、歴史的事実は一部うっちゃてくださったけれども、歴史上の人物よりもキャラクターが勝っていて、キャラクターが歴史をけ飛ばしてくれたからこそ出来たドラマだったのではないでしょうか。
通常の大河ドラマには元にある歴史があり、原作があり、さらにその上で一年間のドラマを作っていくという枷があるため、どうしても歴史や原作に引っ張られてしまう。
昨年の鎌田敏夫脚本の「宮本武蔵」は原作をリメイクする形で、新しく脚本家のキャラクターを出しており、やはり面白く一年間見ていたのですが、今年はさらに一歩進んだ形になっていたように思います。
大河ドラマがやはりドラマであるとすれば、このような形のドラマでも良いのではないかと。

それにしても、最後のセリフ、あれで来ましたか(苦笑)。
このHPをお読みになっていらっしゃる方の何人かは、「おや、これと同じ最後をどこかで?」と思われませんでした?
あの海洋小説、私の場合は、付き合いが一年では済みませんでしたので、最初に読んだ時にはおおっと思ったものですが。

あれとかそれとかこれとか、見ていらっしゃらない方、読んでいらっしゃらない方には何が何やらわからない話で申し訳ありません。でもこればっかりはねたばれするわけには参りませんので、上の段落だけは訳のわからない文章を書くことをお許しくださいね。

さて、大河ドラマでは毎回番組の終わりに史跡の紹介があります。
新選組の史跡紹介を見ながら、東京近郊の史跡はほとんど高校時代に尋ねてたことに驚きました。
来年はトラファルガー200年でイギリスの史跡まわり!…とかいう話が出ていますが、私ときたら高校生の昔からこんなことやってたんだなぁと思うと、今だに同じことを続けている自分にため息。

でも、その経験から言えば、最終回の史跡案内、せっかく函館・五稜郭に話を振ってくれたのだから、最後は碧血碑で締めてほしかったですね。
私にとっては、大学生になってバイトでお金ためてやっと行くことのできた幕府軍最後の地でしたし、北の果てにこの碑が建っているというのはやはり感無量でした。

碧血碑とは函館で戦死した幕府軍の人々に捧げられたもの。
碧血とは、「義に殉じて流した武人の血は3年たつと碧色になる」(荘子)に由来します。
明治8年に建立された慰霊碑です。

***************************************

来週末は用事で旅行しますので、更新は出来ないかもしれません。
あしからずご了承ください。


2004年12月13日(月)
[SeaBritain 2005] オクスフォード大学特別セミナー

英国オクスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジは、グリニッジの国立海事博物館と共同で、「Sea Britain 2005」にちなみ「War at Sea in the Age of Nelson」と題したセミナーを、2005年9月1日〜9月9日の9日間開催します。

内容は、オクスフォード大学や海事博物館、海軍大学などの研究者による講義、海事博物館、ビクトリー号、チャタム海軍工廠などの見学に、なんとブライアン・ラブリー(国立海事博物館の研究者でM&Cの歴史考証担当の一人)の解説による「マスター・アンド・コマンダー」の上映会…という夢のようなイベントまでついているのです。

講義タイトルも面白そうなものばかり、
「ネルソン時代の戦争における指揮とリーダーシップ」
「ネルソン時代の大英帝国」
「アメリカ海軍の草創期」
「海に生きた女たち」
「トラファルガー海戦に参加した艦と乗組員たち」
「ネルソン・タッチ――トラファルガー海戦の戦法」
「1793〜1815年の海軍の拿捕賞金制度」
「フリゲート艦長の指揮」
「海洋画の歴史」
「1812年以降の戦争と伝説の誕生」

たいへん魅力的なプログラムですが、9日間の全ての講義、見学、宿泊、食事を含む参加費用はUS2,522ドル(約26万円)。日本から参加の場合は、もちろんこれに往復の航空賃がプラスされます。

ご興味をもたれた方は、こちらをご参照ください。
http://www.seabritain2005.com/server.php?show=ConWebDoc.165
問い合わせ先、申込み先など詳しい情報が掲載されています。


2004年12月12日(日)
海洋小説としてのガンダム

台風がきっかけで、いい年齢をして、懐かしいけど新しい番組を、最近見ています。
久しぶりの「ガンダム」。昔のではなくて、今TVで放映中の最新作「ガンダムSEED Destiny」。
関東では土曜日の18:00から、TBS系で放映。
この物語は、実は2年前に放映されていた前作の続編ということで、世界設定とストーリーはつながっているとのこと。

前作は、大人が見ても面白いという話は耳にしていました。
新聞でも問題作としてとりあげられていましたし、海洋小説系の掲示板でも「大人でも面白い。お勧めです」という書き込みを読んだことがあります。
私は本来、土曜日の夕方は家にいないのですが、たまたま10月の放映初回の日、台風ゆえに外出できず家におり、「いったいどんなもの?」と好奇心から見てみました。

そうしたら、いや、これは確かに、ドラマとして面白いかも…と。
今のこの世界情勢を微妙に反映させたドラマでもあります。
主人公のガンダムパイロットは、前の戦争で避難中に戦闘に巻き込まれ、家族を失っているのですが、その流れ弾の原因を作ったのは、なんと前作の主人公機だったガンダム。
テロの報復から新たな戦争が始まったり、地球連合軍の中でも北米大陸とヨーロッパの間に主導権争いがあったり。
昔のもの(これも当時としては画期的にティーン向けでしたが)よりはるかに大人向き…というかハイティーン以上の世代をターゲットにしているような気がします。
ガンダムと言いながら、先週も今週も2週間続けてガンダムは出てきません。人間ドラマと政治ドラマが続いていて、私には面白いですけど、子供さんには大丈夫かしら?

それでも何年たっても変わらないところは変わらないもので(というよりは、明らかに親世代のオールドファンを見越してお約束を踏襲しているようですが)、懐かしい部分もあります。
が、なにせ2年前に放映されたドラマの続編なので、前の話がわからないと今の話もよくわかりません。
頭に湧いた、はてなマークを何とかするために、古本屋に行って前作のノベライズを買ってみたところ、
海洋小説ファンとして読むと、結構これが面白いことを発見。TVと違って、小説だといろいろと書き込んでありますし。

「ガンダムってそう言えば海洋小説なんですね」、ということに生まれて初めて(笑)気がつきました。

私はファースト・ガンダム世代ですが、25年前の最初のガンダム放映当時、女子高生だった私はまだ海洋小説というものを知りませんでした。
昔のガンダムはZまで見ていましたが。その後遠ざかってしまいました。
Zガンダムの時はもう帆船小説(ボライソーとかホーンブロワー)は知っていたと思います。でも第二次大戦関連の小説はまだ全く知らず、ガンダムと海洋小説を結びつけたことはなかった
(…と私が書くと、男性陣は驚かれるのではありません? こんなこと男の方には少年時代から当たり前かもしれませんけど。「今さら何を言ってる!」って呆れないでくださいね)。

海洋小説の面白さの一つに、職場の人間関係の妙というのがあると思います。
このジャンルの小説は、学生時代よりも就職してから読むと身につまされるところがある。
帰宅途中の通勤電車で海洋小説を開いたら、上司と部下の連絡不行届から事態が混乱するシーンに当たり、自分が電話の内容を上司に報告しそこねた事を思い出してドキリとしたり。

艦長副長対決というのも海洋小説のドラマの一つですが、私は管理職ではないので、これに関しては今まで全くの傍観者でした。
ところがガンダムSEEDノベライズの艦長副長対決は、両方とも女性だけに、初めて身につまされる経験をしました。
女性は男性のように迫力で押せませんので、時に完璧に手を打って相手を反論の余地なしにして、言い負かせようとすることがあります。私自身はこのような深刻な争いをしたことはないけれど、でも彼女たちの方法論はよくわかる。これよりはるかに小さなレベルでは経験があるから。

このガンダムのシリーズ構成を担当していらっしゃるのは女性の脚本家の方だと聞きました。
なるほど、と納得。
今まで読んできた海洋小説は全て男性作家によるものでしたから(女性が活躍する物語はありますが、やはり男性の書く女性は少し違うと思う)、女性が書くと見方が変わるのだな…と。実際の海洋小説には(ヨットによる冒険ものなどを除いては)女性作家の進出がありませんので、現在のところはこのようなSF小説でしか読めないのですが。

作品中における女性の立ち位置も、ファーストやZガンダムの昔から比べると、隔世の感がありますね。妙な気張りがなくて、男性も女性も自然にふるまった上で、役割分担が出来ている。少々理想的な社会かもしれませんが、あれは未来社会の物語だから、このような形もあるのかもしれません。

…と、話が少々それてしまいました。
海洋小説としての…という話でした。
少なくともこの作品の制作スタッフには、相当、海洋小説がお好きな方、英国冒険小説がお好きな方がいらっしゃるようです。
ネーミングなど、思わずクスリと笑ってしまいます。

前作と違って今放映中の艦内では艦長副長対決がありませんが、先週は「あなたの反対意見を日誌に記入…うんぬん」の話が出てきて、思わず、
「ティーン向けのアニメで、こんなピーター・ウィアー監督みたいなことしちゃ駄目だってば」
と苦笑してしまいました。

「日誌に記入」というのは、M&Cではホーン岬の嵐のところで出てくるセリフですが、そう言えばこの件、何処かで既に解説していましたっけ? どうもまだだったような気が…。

ホーン岬の嵐の時に船匠のラムが「このままではマストが持ちません」という内容のことを艦長のジャックに訴えます。ジャックは「君の発言は日誌に記録する」と言いますが、自身はラムの忠告を受け入れず、南進を続けます。そしてマストは折れ、ウォーリーの命は失われる。

この時、反対意見が航海日誌に記入されているかいないかで、後の責任問題は全く違ってきます。ずるい艦長でしたら、部下の反対意見は日誌には記入しません。
敢えて日誌に記入させた上で反対意見をしりぞけるというのは、それだけ艦長が自分の決断に強い自信と責任をもっている証となるのですが…、

と、これだけで4行も解説しなければいけないセリフを、いきなりティーン向けのアニメに放り込んでも、見ている人が「???」と思うだけでしょう。
M&Cではないのですから、なにもそこまでホンモノらしさを追求しなくっても(苦笑)…。
せめて前作のマーチン・ダコスタ(登場人物の名前です…ジャック・ヒギンズの小説、お好きですね?というのが見え見え)にとどめておけば、わかる人だけニヤ〜リと笑ってすんだのに。

でも製作スタッフにもM&Cファンがいるかも?と思うだけでも、私としては嬉しくはあるのですが。

というわけで、その後もずるずると、久しぶりのアニメを週1回見続けております。
ただこの作品、現実の世界情勢を反映しすぎていて、少々見ていて痛いのと、
それから、
昔は気にならなかったのですが、今は、たとえアニメでも、艦が沈むのが辛いです。

第二次大戦関連の海洋小説を多数読んだおかげで、艦内の状況が想像できてしまうこと、
それに、モビルスーツの動きって急降下爆撃機のようなものですよね、攻撃される艦側は、ユンカースにとりつかれたようなもので、さぞかし怖いだろう
…というようなことはたぶん、考えてはいけないのでしょうけれども。

それでもこのアニメの主人公のハイティーンの少年少女たちが、「なぜ戦争が始まるのか」「争いを止めるためには何をどうしなければいけないのか」悩んでいるのを見ていると、25年前のファーストガンダムの時にやはり主人公たちと同年代だった私たちも、TVを見ながら同じ疑問に悩んでいたことを思い出します。
あの時も、放映中にソ連軍のアフガニスタン侵攻があり、ニュースでは砂漠の戦争の映像が流れていました。そして昔は、その疑問に答えがあると思ってたんですよね。大学で歴史を勉強したらわかるんじゃないか?…とか。
でも実際はそんな簡単なものではないし、アフガンは25年たってもあんな状態だし、疲れた大人は現実に慣れきって、あまりこの問題を考えなくなっていくのですが。

今の日本のハイティーンの子たちも、やっぱりこのTVを見て、この問題をタイムリーに、真面目に考えたりするのでしょうか?
もちろん現実の世界情勢をある程度反映させているといっても、アニメですから、対立構図はかなり単純化されたシュミレーションになっています(現実はもっと複雑だってば、と突っ込みたくはなります)。
それでも同世代の子たちにとって、何かを考えるひとつのきっかけになれば良いと思いますし、私も昔考えていたことを思い出したことで、あまり現実に慣れきっていてはいけないのだわ、と新鮮な気持ちにさせられました。

あらあら、なんだか最後は話しがシリアスになってしまいましたが、このシリアスモード突入がガンダムの伝統(苦笑)ということで(昔見ていた方にはおわかりでしょう?)、私もそこは、オールド・ファンの一人ということなのでしょう。


2004年12月11日(土)
[SeaBritain 2005]エジンバラ・ミリタリー・タトゥー2005

来年2005年は、トラファルガー海戦200周年ということで、英国では「Sea Britain2005」と銘打った催しが全国各地で開かれます。
これらの催しに関する主なニュースについては[SeaBritain 2005]とサプタイトルを付けて、ご紹介していこうと思います。

エジンバラ・ミリタリー・タトゥーというのは、毎夏スコットランドのエジンバラ城で開かれている軍楽祭ですが、来年2005年は「SeaBritain」の一環として、海軍色に強いものになるとのことです。

エジンバラ・ミリタリー・タトゥーは、2005年8月5日〜27日まで。

エジンバラ・ミリタリー・タトゥー日本語のご案内(2003年のもの)
http://www.edinburgh-tattoo.co.uk/translations/japanese_index.html
Sea Britain関連のご案内(英語)
http://www.seabritain2005.com/server.php?show=ConWebDoc.209

****************************************************

海洋関係の話題ではないのですが、ここ3回毎週土曜日に、NHKではドキュメンタリー「ローマ帝国」を放映しています。
明日4日(土)21:00〜地上波総合は、「ローマ帝国・さいはての兵士」
英国のハドリアヌス城壁と、最果てのローマ軍兵士たち…だそうです。

ハドリアヌス城壁とくれば…ほらほら「キング・アーサー」ですよ。
まぁ本当にサルマチア騎士団の話が出てくるのかどうかはわかりませんが。
でもちょっと楽しみに待っていたりします。

「キング・アーサー」米国では12月19日にDVD発売ですが、日本での発売日が1ヶ月遅れの1月21日なので、これは待っても良いかしら?と思っています。
日本でもちゃんと、ディレクターズ・カット版が出ますし。
でもこのディレクターズ・カット、レンタルには出回らないそうなので、ホンモノの「キング・アーサー」をご覧になりたい方は、1月にお買い逃しのありませんように。


2004年12月03日(金)
東京・三軒茶屋「M&C」再映

東京・三軒茶屋(新玉川線)の「三軒茶屋中央」で、12月4日から「M&C」が上映されます。
併映は、アンソニー・ホプキンス&ニコール・キッドマンの問題作「白いカラス」。
この組み合わせは何ですか? オーストラリア人間国宝特集とか?

上映スケジュール
白いカラス        11:00、15:30、19:55
マスター・アンド・コマンダー 13:00、17:35

三軒茶屋中央
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail?ty=th&id=11126
所在地 東京都世田谷区三軒茶屋2-14-5
連絡先 03(3421)4610
東急新玉川線三軒茶屋駅下車 徒歩5分


なんとか日曜に時間を工面して行けたら…と思っています。
「白いカラス」もありますし。ご存じの方はご存じでしょうが私、エド・ハリスのファンですので。ハリス&ゲーリー・シニーズなんて、「アポロ13」の地上クルー同士じゃありませんか。
今回は全く異なる役ですが、二人とも上手い役者さんなので、今度はどんな顔を見せてくれるのか楽しみです。

いやその、でも真面目な話、先日見に行った「2046」はBUENAVISTA INTERNATIONAL配給だったのですが、この文字が出た後、海が出てこないのは寂しいなぁ…と、妙なことでしんみりしてしまいまして。
やっぱり海を見に三軒茶屋まで行ってこようかと。

あぁもう1年たってしまったんですね。
去年の今頃は私、眼精疲労で倒れていたのでした。
「M&C」の全米公開が11月19日で、この時期は大量の文献がネット上に出回っていて、リアルタイムでご紹介しようとしたらパンクしてしまいした。

アメリカでは11月末の感謝祭から12月末のクリスマスまでが、ホリデーシーズンと呼ばれる映画会社のかきいれ時、去年はM&C、ラスト・サムライ、LOTR王の帰還、コールド・マウンテン…とこの時期は大作ラッシュで大いに盛り上がっていたのですが、
今年は何だかちょっと小粒???
「ネバーランド」とか「アレクサンダー」とか、前評判の高い作品が、全米興行収入的にはいま一つなんですよね。まぁ「ネバーランド」は地味だから仕方ないとしても。

私がここで文句を言っても仕方のないことなんですけど、
最近のアメリカ人の映画の好みって、軽すぎません?
中身の重さよりも、派手で見ている間だけ楽しめれば良い…という作品が興行収入を上げているような気がします。
唯一の例外は「パッション」か。

前にも一度書きましたが、今お金をかけて歴史大作を作れるのはハリウッドだけなのです。
でもアメリカ人の好みかそこから外れてしまうと、ハリウッドは作品を作りにくくなってしまう。
なんとかこの傾向を変えていただきたいものです。


2004年12月01日(水)