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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
米Amazon.com 2004年 DVDベスト10

米国ネット通販最大手Amazon.comが選ぶ今年のDVDベスト100が発表されました。
評論家100人が選んだ、今年のRegion1(アメリカ、カナダ)DVD100選。この4位に「M&C」が入っています。この10位までの作品をご紹介します。

1位:ロード・オブ・ザ・リング「王の帰還」SEE版(12月14日全米発売予定)
 50分の追加映像を加えた…とりあえずの完全版(これでもまだ未収力映像があるらしい)。
 来月発売ですが、評論家には既に公開されているようです。

2位:ロスト・イン・トランスレーション(ワイドスクリーン版)
 アカデミー賞作品賞ノミネート(オリジナル脚本賞受賞)のインディー作品。
 東京を舞台に異邦人の孤独と交流を描いた。日本公開は今年の初夏でした。

3位:華氏911
 新聞雑誌を賑わせた今年一番の問題作でしょうか?
 ブッシュ大統領主演のドキュメンタリー。日本公開は今年の夏〜秋。

4位:マスター・アンド・コマンダー(コレクターズ・エディション)
 コレクターズ版とは日本で発売されたのと同じ、メイキングなどを含む2枚組。
 考証が忠実で、丹念な作りでクラシックな名作と評価されています。

5位:スターウォーズ・トリロジー(ワイドスクリーン版)
 エピソード4〜6を収録したボックスセット。日本でも秋に発売。

6位:フォッグ・オブ・ウォー ロバート・マクナマラの生涯
 日本公開タイトルは「マクナマラ元米国防長官の告白」。ヴァージンシネマ系の限定公開。
 アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞作品。
 日本語タイトルに告白が入っているのは、原爆投下に関する発言が注目されたためでしょう。

7位:Seinfeld(リミテッド・エディション)
 1990年〜98年放映の人気ドラマのDVDボックス。
 「となりのサインフェルド」というタイトルで、WOWOWで放映されている(いた?)ようです。

8位:Curb Your Enthusiasm(シーズン1&2完全版)
 エミー賞を受賞したコメディ・ドラマのDVDボックス。

9位:スーパーサイズ・ミー
 サンダンス国際映画賞受賞。米国の肥満問題を扱ったドキュメンタリー。
 これから日本公開、本日(28日)の朝日新聞に紹介が載っています。

10位:シンプソンズ(第四シリーズ完全版)
 あのアニメのシンプソンズの第4シリーズ完全版です。

ストーリー映画4本、ドキュメンタリー映画3本、ドラマ3本という内訳。
ドキュメンタリー映画3本がいずれも辛口で、さすがだと思います。
この中で4位に食い込んでいるのだから、M&Cは大したものですね。今さらながらに、この映画の評価の高さを思い知ります。

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ここ1ヶ月、旅行やら職場の行事やらで毎週水曜(レディースデー)が空かず、ちょっと映画にはご無沙汰してしまいました。
ジェームズ・ダーシーの「エクソシスト・ビギニング」は結局パス。
う〜ん、まぁホラー苦手というのもあるんですけどね。
どうしてわざわざお金を払ってコワイ思いがしたいの?…と思ってしまう私は、ホラーの魅力が全然わかっていない唐変木でございます。

ダーシーは現在撮影中の作品もまたゴシック・ホラーで、共演はドナルド・サザランドとシシー・スペイセクとか。
こまっちゃいますね、ホラーつづきなんて。


秋映画で見たかったのはいずれも中国(香港)作品だったのですが、最終的に見ることができたのは「2046」だけに終わってしまいました。
「2046」は独特の雰囲気のある素敵な映画でした。でもあの雰囲気に酔えないと辛いかしら?
すれ違う切ない恋を散りばめて、そこにストーリー性や一貫性を求めるとわからなくなるかもしれないけれども、悲しいラブソングの歌詞を味わうようなつもりで、映像と主人公たちを見守っていくと、
例えばある歌詞の1フレーズに共感して胸が痛くなるような感じで、思わずホロリと泣ける…そんな映画のように思います。
ある意味、見る側の、観客の人生経験を問う映画なのかもしれない。たぶん見る人によってその人のそれまでの経験によって、共感するところが異なるような気がします。


そう言えば今週は木曜日(12月2日)に「ブラックホーク・ダウン」の地上波放映があるのですね。
今この時期に?と思いながら、でもそれがもう4年も続いていることに気付いて。

この映画はソマリアの国連軍が市街戦に巻き込まれていくさまを描いた作品です。主人公となるのはその中のアメリカ軍。
この映画の日本公開は2001年の秋でした。
同時多発テロ直後の、米軍のアフガニスタン攻撃がカウントダウンに入っていた時でした。
そのため、インドネシアなどイスラム諸国ではこの映画の上映ボイコットが起こったり、映画館が襲撃されたりていました。

この映画、ヨアンが出るという話は聞いていたし、実は久しぶりのサム・シェパードと、ジェイソン・アイザックスが見たくて、チェックはしていたのですが、一部の国では激しくバッシングされているという新聞報道を読んで、考えこんでしまいました。
それで、まずハヤカワ文庫NFから出ていた原作を読んでみたのです。
原作はアメリカ、ソマリア双方の関係者を取材し、何故、国連軍が市民に多数の死傷者を出す市街戦を繰り広げるに至ったか、その事実をときあかそうとしたノンフィクションです。
ただ映画の方は、アメリカ軍視点になっていて、ソマリア側の描写が足りないと、評論家から指摘されていました。
見に行くのをためらっているうちに、現実世界ではアフガニスタン攻撃が始まってしまいました。
毎日TVで見せられている映像を、映画館でも見たいという気がおこらず、結局映画は見に行きませんでした。

DVDが発売になったのは1年後の2002年でした。ところがこの時期今度はイラク攻撃のカウントダウンが始まっていました。
ようやくこのDVDを見る気になったのは、バグダッッドが陥落してある程度落ち着いた2003年の夏頃だったと思います。

この映画、戦争の残酷な面も、否応なく巻き添えになる市民の実際も、正確に描いてはいると思いますが、原作では重要な割合を占めていたソマリア側の視点が欠落しているのは、あのノンフィクション(原作)の映画化という意味ではフェアではないような気がする。
米軍側の俳優さんたちにイイ男を使いすぎているだけに余計に、これは不公平だと思うのかもしれません。

そしてこの12月に地上波放送。
今見るときっと、時期が時期だけに「今、ファルージャではどうなっているのか」ということを、どうしても考えてしまうでしょう。
なんだかやっぱり、気軽に見る気にはなれないような気がして。

映画をご覧になる方は、公平を帰すために、ハヤカワNF文庫の原作ノンフィクションを併せてお読みください、とお願いしたいと思います。

最初の公開から4年たっているのに、世界はまだこんな状況なのかと思うと。
こんなことを考えなくても良いような世の中が早く来るように祈ってしまうのでした。

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もう一つ更新ネタ(Sea Britain2005関連ニュース)があるのですが、本日は外出していたため、十分な時間がとれません。
今週中のいつかにupできるように務めますので、いましばらくお待ちください。


2004年11月28日(日)
「新選組!」東へ

毎週日曜日午後8時からNHKで放送されている大河ドラマ「新選組!」、毎週楽しみに見ています。
私は中学高校の頃、幕末モノにハマって一連の司馬遼太郎作品などを読みあさった時期があり、この時代については一応まんべんなく歴史小説程度の知識はあるのですが、それ以上ではありません。

今年の幕末大河ドラマ「新選組!」は、かなり独特の解釈などもあり、真面目な歴史ファンには不評だと聞いていますが、ドラマ(もしくは歴史小説の一つ)として楽しむ分には、こんな面白いものはないでしょう。
もっとも、これが歴史だと信じ込まれてしまうと、ちょっと困った部分もあるので、これが大河ドラマでは初の幕末モノとなる若い人たちが、そこのところをきちんと理解した上で見ていてくれると良いけれど…とは思います。

幕末という時代は、幕府方であれ、薩長、朝廷、その他諸藩であれ、とにかく個性豊かな人物がその主張のために生きた時代であり、武士だけではなく豪商なども含めて、とにかく個性的で魅力的な人物があまた活躍する時代です。
個性的な人物を存分に活躍させる…という点では、今年の大河ドラマは本当に見事でした。
ひとクセもふたクセもある脇役たちがいい味を出していて、魅力的なセリフを言う。
英国のドラマには個性的な俳優さんが多々登場して、あぁいぃなぁと思ってきましたが、日本にも良い俳優さんたちは大勢いるんだなぁと実感。
これが私にとって、幕末大河ドラマとしての「新選組!」最大の魅力です。

難点としては「この時代にしてはちょっと甘いかな」というところ。
新選組内部のドラマが、どうしてもホームドラマ的になってしまって。
長州や薩摩との対決もしかり。
幕末の志士たちというのは、かなり過激で、下手をするとテロリストと紙一重のような人もありまして、自分の主張に反するものは文字通り斬る!、対立する主張の者は殺しても排除する、という時代でもあった筈。新選組はそれに対抗する毒…だった筈ですが。
そのあたりがやはりちょっと、弱いかなぁとは思います。でも、2時間完結の映画ならともかく、新選組で1年、ドラマをゴールデンタイムの8時に放映することを考えれば、これ以上シビアにやってしまったら見る方が辛くなるので仕方ないかとも思うのですが。

さて一昨日(11月21日)放映の「新選組!」は、「東へ」というサブタイトルで、鳥羽伏見で敗退した幕府軍が、大阪城から江戸へと海路撤退する前後を描いたものでした。

そのむかし司馬遼太郎の小説を乱読してた頃は、私はまだ海洋小説を知らず、当時の船や組織について、とりたてて注意を払っていたわけでもありませんでした。
「世に棲む日々」で、坂本竜馬と高杉晋作が幕府海軍に仕掛けた夜襲が面白かった、とか、「街道をゆく」で度々語られる開陽丸が印象に残っているとか、「勝海舟」で読んだ長崎海軍伝習所の話とか、ばらばらな知識がばらばらにあって、まとめて考えたことはなかったのです。

先日、海洋小説系のオフ会の折りに、当時は大阪から江戸まで船で何日かかったのか?という疑問を提示された方があり、また日曜に大河ドラマを見たあと、ちょっと気になることもあったりして、今回ちょこちょこっと、幕府海軍関係の資料などのぞいてみました。
その結果、へーほーはぁ…と発見したことがいろいろありまして。

こういうことって、この時代に詳しい方や、旧日本海軍の成立などに詳しい方には自明のことかもしれないのですが、でもここは個人の非公式日記ですから、M&Cや海洋小説ファンレベルで面白いと思ったことなど、ちょっと書いてみたいと思います。
ただしこれは昨日今日で聞きかじったことで、原典資料までは戻っていません。
以前にこのHPで別項を設けたような正規の資料にはなりえません。さらっと読み流していただければ幸いです。

ドラマの中で近藤たちが乗っていたのは「富士山丸」という幕府海軍の木造機帆軍艦で、幕府がアメリカから購入したものでした。
一応フリゲート艦となっているのですが、この時代の艦の等級分けはM&Cの時代とは大幅に変わっている筈なので、フリゲートだからイコールとは言えなさそうです。

富士山丸は大阪を1月10日に出航し、江戸に15日に到着していますから、所要6日ということになりますか。
ちなみに先に大阪城を脱出した将軍さま御一行を乗せた開陽丸は、7日出航で11日江戸着なのでこちらは5日で着いています。
ところで、この開陽丸の資料を読んでましたら「開陽丸は12ノット出せるので比較的高速だ」と書いてありました。12ノットってサプライズ号の最大船速ですけれど。
蒸気機関がついている分、この時代はもう少し速くなっているのかな?と思っていたのでちょっと意外。でも船体が木造であることには変わりないから、このようなものでしょうか?

今回私が開陽丸の資料を探したのは、実を言えば「乗り遅れちゃった艦長さん」の遅刻理由を知りたかったからでした。
ドラマをご覧になった方はご存じだと思いますが、近藤、土方、沖田が甲板に出ると、そこでは洋装の日本人士官が葡萄酒をらっぱ飲みしています。これが自艦に乗り遅れて富士山丸に便乗することになった開陽丸艦長榎本武揚。
既に前回の鳥羽伏見から「刀の時代は終わった」と感じていた土方は、榎本に、
「その洋装はいったいどこで手に入れたんだ?」と尋ねるのですが、

いや、本当に何処で手に入れたのでしょう?
後から考えると結構この質問って本質を突いてまして。さすが土方さん鋭い(え?)。
いや、榎本の洋装だけなら「留学先のオランダから持ち帰って来たのだろう」という推測もできますが、あの時代はすでにかなり洋装が広がりつつあるのですよね。
前週(11月14日)放映の鳥羽伏見に登場した薩摩軍の洋式歩兵部隊も全員洋装でしたし。
この時代すでに国内で洋式軍服を生産できるところがあったんでしょうか?

そう言えばこの薩摩軍部隊、号令一下ぱしっと銃を構えて発砲、一陣が引くとさっと次列が取って代わり、そのシステマチックな動きが、刀で闘ってきた新選組には驚異的に映る…という筋書きだったのですが、
う〜ん、なんだかこれ見慣れた光景…と思ってしまった私は、えぇわかってます「シャープ」の見過ぎですね。あぁ日本人なのに、これが見慣れた光景っていったいどういう…(我ながら嘆息)。
余談ながら、シャープを初めて見た時、私的に大発見だったのは英語の号令でした。
日本の軍隊式の号令って「ぜんたーい、とまれっ!」とか、不思議な抑揚があるじゃないですか? あの抑揚って英語にもあるんですね…というか、たぶん日本のあの不思議な抑揚は、この幕末の洋式調練の時に英語から入ってきたもののように思いますが、どうなのでしょう?

あらら、話が大分それてしまいました。えぇと、榎本艦長が遅刻した理由…でしたね。
榎本は鳥羽伏見の様子を見に上陸し大阪城に行ってていたのだそうです。入れ違いに将軍さまが脱出て来て乗艦し、すぐに艦を出せ!と副長の沢に迫りました。沢は艦長を待ってからでなければ出航できないとして時間を稼ごうとしましたが、大阪港内に停泊していた英国軍艦(英国は薩摩長州方)がちょっかいをかけてきたため、やむなく艦長を置き去りに出航したとのこと。
これが遅刻の理由です。

ところで今「艦長」と書いていますが、大河ドラマの中でも榎本は「艦長」と呼ばれていますが、正式な役職名は御軍艦奉行。
それで、これも今回知ったのですが、軍艦奉行は実はRear Admiralの訳だそうです。
将官ですが艦長兼任だったのでしょうか?
それではいわゆる艦長=Captainの訳は何かというと、これが御軍艦頭。
そこでまた疑問。真面目な話、当時実際は艦長をどのように呼んでいたのでしょう? 「おぐんかんがしら」って長いですよ。舌を噛んでしまいます。非常時にはやはり「サー」くらい短くないと…、でもまさか「おかしら!」ってのは無しですよね? 忍者軍団(影の軍団)ではないのだし。

疑問があって調べ始めると、さらに疑問が(それもヘンな疑問というか突っ込みばかり)出てきてしまって困ります。
このへんで止めておこうかと思います。

最後に、ちょっとマニアですが、私的に今回一番の発見は、ドラマでは佐藤B作が演じてイイ味を出している幕府高官の永井さま(近藤に将軍の脱出を告げる役です)は、実は長崎海軍伝習所の総取締だった永井さまが人事異動していらしていた、ということでした。ばらばらの知識がつながる瞬間、というか自分の知識のいい加減さを反省する瞬間というか。でもちょっと感激。

英国ポーツマスの海軍博物館には薩英戦争に関する展示があったのですが、英国の海洋小説に慣れ親しんだ今、幕末の日本を英国側から見てみると、またいろいろと発見があるのかもしれません。


2004年11月23日(火)
海洋画家ジェフ・ハントのDVD

海外のオブライアン・フォーラム「ガンルーム」のニュース・ページに、、
オーブリー&マチュリン・シリーズの美しい表紙絵を描いているジェフ・ハントのドキュメンタリー番組が、DVDとビデオで発売されるという情報がありました。
史料調べから始まるハントの創作姿勢が丹念に描かれた秀作とのことです。

「ガンルーム」に紹介された製作会社のホームページに行ってみましたが、まだ準備中で、海外からの通販については何の言及もされておらず、どうしたものかと思っていたところ、
このDVD/ビデオがアメリカの海洋書専門ネット「Tall Ship Books」から購入できるとの情報を、Tさんからいただきました。ありがとうございました。

このDVD/ビデオに関する「Tall Ship Books」のアドレスは下記の通り。
http://www.tallshipsbooks.com/Videos/Videos2.html

このネット専門店は他の海洋小説の入手などにも便利です。

また久々にこの専門店をのぞいて気付いたのですが、ピーター・ウィアー監督がM&C製作に際して参考にした、とメイキング(原作小説へのアプローチ)で語っている1929年の記録フィルム「Around the Cape Horn」も発売になるようです。
このビデオに関する情報はこちら
http://www.tallshipsbooks.com/Videos/Videos3.html

もう一つ、アメリカでの版元ノートン社の主催するオブライアン・フォーラムに、面白い書き込みを見つけました。
現在サプライズ号を有するサンディエゴ海洋博物館に知人がいるファンの方からの書き込みによれば、博物館には今、サプライズ号を撮影に使用させてほしいとの映画会社からの接触があるらしいのです。ただしここはM&Cを製作した20世紀FOX社ではありません。
博物館とFOX社が交わしたサプライズ号に閑する契約の中には、他社がサプライズ号を使用しようとした場合、FOX社が望めばこれを拒否も出来る…という一条もあるようですが。
このFOX以外の映画会社について、博物館の関係者は書き込みをしたファンに対し、「まもなく君にもわかる」と答えたそうです。

サンディエゴ博物館とFOX社がこの問題にどう対処するにせよ、この話からするとハリウッドには何か新しい、帆船を利用した別の映画の撮影計画がありそうですね。
もっともそれが実は既に皆さんがご存じの「パイレーツ・オブ・カリビアン2」だった、ということもありえるわけで、あまり今から余計な期待はしない方が良いのかもしれませんが。


2004年11月21日(日)
ダーウィンのドラマなど

外出していた関係でリアルタイムで見られなかった11月3日放映「ダーウィンの大冒険」、ようやく見ることができました。
イグアナとガラパゴス・ゾウガメだけではなくって、ナマケモノまでついてきちゃったところがM&Cファンに大儲けだったかもしれませんが、「FRAU」のグラビア写真にはあった、コバネウとアオアシカツオドリが見られなかったのは残念でした。

あちらこちらに挿入されていたBBCのドラマ「The Voyage of Charles Darwin」は、1978年の作品だそうですが、インターネット・ムービー・データベース(http://www.imdb.com/)によれば、この作品いかなる理由かは不明ですがTV放映はされなかったようです。
キリスト教的理由から、いまだに進化論を教えてない学校もありますし、そのあたりに何らかの理由があるのかもしれません。
残念ながらこの作品、ビデオやDVDでも発売はされていないようです。

このドラマでダーウィンを演じたマルコム・ストッダード(Malcolm Stoddard)と、フィッツロイ艦長を演じたアンドリュー・バート(Andrew Burt)はその後もTVドラマを中心に活躍しており、ストッダードは日本でも放映されたTVドラマ「アボンリーへの道」などに出演しています。
バートの方は日本で放映されたドラマはありませんが、1984年にTVドラマ化されたアーサー・ランサムの児童文学「オオバン・クラブの無法者」で、なんとファーランド氏(双子の姉妹ポートとスターボードのお父さん)を演じていたことがわかりました。

ダーウィンと言えば、M&Cで海兵隊長を演じたクリス・ラーキンも演じたことがある筈ですが(アメリカのネットに上がっていたM&C試写会資料のラーキンの経歴の中にありました)、この作品もインターネット・ムービーデータベースの検索にどうしても引っかかってこなくって。
不思議だなぁと思っています。
やはりこれも宗教的理由だったりするのでしょうか?

もっともキリスト教的に言ったら、こちらの方がはるかに大問題ではないか?と思われるのが最近のベストセラー、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」
ロン・ハワード監督で映画化が決まっていて、主演はラッセル・クロウだ、いやジョージ・クルーニーだとか噂されていましたが、結局主役のロバート・ラングドンは、トム・ハンクスが演じることに決まったようです。
ケイト・ベッキンセールと言われていたヒロインも、フランス人女優さんをキャスティングする方向だとか?
二人を追うファーシュ警部にはジャン・レノの名が上がっているようです。

この小説、たしかに面白いんですけど、友人がいみじくも指摘した通り、この人たちったら、無実の罪を着せられた上に命を狙われて逃げ回っているのに、何を暢気に蘊蓄たれているの?…とどやしつけたくなるような展開で。
つまりは、サスペンスではなくって謎解きミステリーだということなのだけれども。

今回の映画化にあたり、ロン・ハワードと組む脚本家は「ビューティフル・マインド」のアキバ・ゴールドマンだと米国のネットニュースにありました。
「ビューティフル…」では、エド・ハリスとポール・ベタニーを使ってあの仕掛けを作ってくれたゴールドマンだから、きっと「ダ・ヴィンチ」でもこの蘊蓄ミステリを、ハラハラドキドキのサスペンスに仕立てあげてくれるに違いない…と私は期待しています。

ダ・ヴィンチ・コード情報はこちらから:
http://msnbc.msn.com/id/6471862/site/newsweek/

もうひとつ映画情報…というか訂正ですが、以前にご紹介したラッセル・クロウの次回撮影作「ユーカリプトス」。
共演のジェフリー・ラッシュがスケジュールに都合がつがず(前の撮影が延びているらしいです)、代わりにジャック・トンプソンがラッシュの役を演じることになったとのことです。


2004年11月15日(月)
ラミジのキャスティング

先週のキャスト投票の時に、「実はM&Cではないのですけれども」という断り書きつきで、すてきなキャスティング提案をいただきました。
至誠堂から出版されているダドリ・ポープのラミジ・シリーズ。
ラミジにクリスチャン・ベール、ジアナにキーラ・ナイトレイ。
あ、これはぴったりかも!と思いました。
Aさん>素敵なキャストをありがとうございました。

ニコラス・ラミジは、1775年生まれ、シリーズ第1巻「イタリアの海」は23才の海尉として登場しますが、全23巻の物語は1806-7年まで続きますから、最終巻には30才の勅任艦長になっています。
彼は第10代ブレージー伯爵ジョン・アグロウ・ラミジの長男として英国南西部コーンウォール州のセント・キュウで生まれましたが、少年時代の一時期をイタリアで過ごしたため、イタリア語が堪能で、フランスへの潜入任務ではイタリア人として通るほどです。
一方のジアナは、イタリア・トスカナのボルテラ家の惣領マルケサ・ディ・ボルテラ(女性侯爵)で、1巻では17-8才。フィレンツェにあるギベルティの彫刻「イブ誕生」に例えられる黒髪の個性的な美人。

クリスチャン・ベールは確かにダークヘアで、鋭さはあるけど落ち着いた目をしている。そこが似合いでしょうか?
ラミジの目は、例えばヨアンのようなきつさはなくていい…でも鋭さは必要と思って悩んでいたので、あぁそうかそうね!とすっかり納得してしまった私です。

キーラ・ナイトレイは英国人ですが、キング・アーサーのグィネヴィアを見ていると、ジアナを彷彿とさせるものがありますね。
実は私、去年「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見た時、彼女には別の役を考えていたのですけれども、「パイレーツ…」のお転婆なお嬢様エリザベスのキャラは、ラミジ19巻に登場するアレクシス・アウレリア・ヨークにかぶるものがあったので。でもグィネヴィアを見るとなるほどと思います。

ジアナには…これを言うととんでもない発想だと怒られそうですが…、私、「スターウォーズ」のレイア姫のイメージがあって、小柄だけど覇気に溢れているところが。だからといってキャリー・フィッシャーとは言いませんが。でもレイア姫であってアミダラ姫ではないので、ナタリー・ポートマンではないでしょう。
余談ながら、先日TVで放映していたスターウォーズ1(エピソード4)は、若き日のデニス・ローソン見たさに最後の突入シーンだけ見ていました(苦笑)。デニス・ローソンは「ホーンブロワー」のフォスター艦長(第1シリーズ第2話)です。最後にルークと一緒に飛び込んでいく戦闘機パイロットの役。

ラミジの脇役ということでは私はもう一人イメージがあります。艇長のジャクソンに、スピルバーグの「太陽の帝国」のアメリカ人船員のイメージでジョン・マルコヴィッチ。でもこれ、奇しくも少年時代のクリスチャン・ベールが子役として主役をつとめた映画なんですよね。そしてマルコヴィッチの演じた船員は、両親と生き別れてしまったベール演じる少年の、時に父親がわりともなる役柄でした。
現在のマルコヴィッチはもう髪もすっかり白くなった初老の紳士ですから、もちろん駄目ですけれども。

ラミジについては私、脇役はいろいろと思い浮かぶのですが、主役はぽっかり抜けていました。
今回すっぽり埋めていただいて、私的には落ち着いてしまったような感が。
ラミジの部下たちは皆個性的なので、このキャスティングも想像してみると楽しいかもしれません。


2004年11月14日(日)
キャスティング投票

キャスティング投票にご協力ありがとうございました。
前置きも何ですからさっそく結果に参りましょう。
メールは複数の方からいただいたのですが、あまり重複はなく、唯一2人の投票が重なったディロンはジュード・ロウで重複…という結果になりました。
各役者さんのあとに()書きした部分が、投票してくださった方のコメントです。
2行目からは私の付記コメントになります。

まず、今回の映画化キャスト(オーブリー=ラッセル・クロウ、マチュリン=ポール・ベタニー、キリック=ディビット・スレルファル、ボンデン=ビリー・ボイド、プリングス=ジェームズ・ダーシーetc.)を基本としたその他のキャスティング

◇ソフィー・ウィリアムズ:シャーリーズ・セロン
言うまでもなく、昨年のアカデミー女優さんです。

◇ダイアナ・ヴィリャーズ:若い頃のエマニュエル・ベアール(ああいう顔の方が悪いという気がします)
日本では昨年公開された「8人の女たち」「デブラ・ウィンガーを探して」あたりが記憶に新しいかと、 「ミッション・インポッシブル」にも出演していましたが、若い頃というとそのよりも前になるのかしら?

◇ウィリアム・バビントン:若い頃のイアン・ソープ
イアン・ソープって水泳選手のですよね?違っていたらクレームしてくださいね。投票者の方>
バビントン君は先々を考えると大人になってからのキャスティングになるんですが、英国人俳優で探そうとすると意外と難しいんですね。若手でも個性的な人ばかりだから、皆さんアクがありすぎちゃって。

◇サー・ジョセフ・ブレイン:ジェレミー・ブレット
グラナダTVの名作シャーロック・ホームズであまりにも有名…ですが、マチュリン先生と二人でお部屋に籠もって甲虫の標本を作っているところを想像すると…。

◇ジェームズ・ディロン:ジュード・ロウ
このキャストだけは2名の方の投票が重複しました。お一人の方からは「髭のあるジュード・ロウ」というコメントがついておりました。とすると「コールド・マウンテン」のような感じでしょうか?

◇クロンファート:グレッグ・ワイズ
ホーンブロワー第三シリーズのコタール少佐と言えば、海洋ファンには通りが良いかと。

◇ハート提督:シラク大統領
カエルさんお国の国家元首…でよろしいんですよね?


また、ピーター・ウィアー版「M&C」以外のキャスティングについては、このようなご意見をいただきました。

オーブリー:ショーン・ビーン(20キロほどウェイトを増やして)
マチュリン:ジョニー・デップ(10キロほど痩せてもらって)
ソフィー:クリスティナ・リッチ(清楚&若く作ってもらって)
ダイアナ:ナタリー・ポートマン
プリングス:ヨアン・グリフィス
マーチン牧師:ロビン・ウィリアムス


これは、なかなか…面白いかもしれない。
クリスティナ・リッチは、「スリーピー・ホロウ」「耳に残るは君の歌声」が有名ですね。今年の春公開でヨアンが出演していた「ギャザリング」の主演女優さんでもあります。


ジュード・ロウ以外は全て票が割れてしまったので、傾向とか結論とかコメントは出来ないのですが、
ジュードと言えば、先週発売だった「MovieStar」誌に載ってたポール・ベタニーのコメント記を思い出して私は苦笑していました。
その記事によればポールは「ハリウッドが自分を使うのは、ジュード・ロウに似ているけど、そこまでギャラの高くない俳優だから」だと思っているんですね。でも「僕のギャラが上がったらきっと、今度はポール・ベタニーに似ていてもっとギャラの安い俳優を捜すに決まってる」って。
あ〜あ、またもや毒のあるコメントしちゃって…。ま、そういうとことが好きなんだけどね(おいおい)。
でもあぁいう毒のあるハンサムさんに次から次と出てこられても、困るような気がしますけど。

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「今週の映画カレンダー」を見ていたら、土曜日のところに「パン・タデユシュ物語」を見つけました。
11月13日(土)深夜1:10〜3:30 NHK衛星第二放送

これはナポレオン戦争時代のポーランドを舞台にした地味な歴史ドラマです。
公開時、東京では岩波ホール(渋い)だけの単館上映でした。

これを見に行って面白いなと思ったのは、ほらオーブリー&マチュリンやらシャープやらラミジやら英国の歴史小説を読み慣れていると、当然のことながらナポレオン軍は悪者になっちゃうんですよ。
でも、「パン・タデウシュ物語」の場合、というか、強大なロシアの圧制に泣いていたポーランドやバルト三国などの近隣諸国の場合は、ナポレオン軍というのは、圧制からの解放軍なんですよね。
そのあたりの価値観の転換が所詮は第三者、ヨーロッパの住人ではないアジア人の目から見ると、面白いなぁと。
もっとも海洋小説を読んでいても、バルト三国あたりの特殊事情は、ホーンブロワーの「決戦バルト海」やオークショットの「バルト海の猛き艦長」あたりから多少は伺い知ることができるのですが。

地味な映画なので夜中に見たら寝てしまうかもしれませんが、ご興味がおありでしたら録画でもなさってゆっくり鑑賞してみてくださいませ。


2004年11月07日(日)