雲間の朝日に想うこと


< 今晩も凌げるだろうか >


貴女との逢瀬の為に、
禁欲を貫いている俺の気持ちが、
貴女に理解出来るか?


貴女との目合いの為に、
禁欲を貫いている雄の生理状態が、
貴女に理解出来るのか?





綺麗な女性の姿一つで、
下半身に自然と手が伸びてしまう位。

官能的な夢一つで、
あっさりと閾値を超えてしまう位。


貴女の刺激を心待ちにして、
充分過ぎる程、
準備万端で俺は控えて居るんだ。











逢瀬の前に交わす、
貴女と俺の会話。


何をしようか、
何処に行こうか、
いつもの様に交わす、
逢瀬前の会話。









 「俺だって欲しいんだよ。」



思わず口をついて出た言葉は、
俺が限界寸前である証拠なのに。



 「ねぇねぇ、今、何て言ったの?」
 「我慢比べはどうなったのかなぁ?」



嬉しそうにツッコミを入れる貴女は、
受話器を置いた後の俺が、
貴女の声と貴女の姿を想像して、
どれだけの我慢を強いられるかなど、
理解しようともしないだろう。
















俺の我慢比べは、
逢う前から始まってるんだ。


迸らぬ様に、
俺は今夜も我慢比べだ。


2003年02月28日(金)


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< たまには待たせても良くないか >


浮き足立っている貴女を感じると、
つい笑みが零れる。



 「本当に喫茶店で待ってるの?」
 「4時には改札で待っててよね!」



そう言う貴女の頭の中は、
きっと数日間、
俺の事だけで埋め尽くされるに違いない。









こんな時は俺の出番。

冷静に冷静に、
貴女を宥め賺して行くんだ。



仕事に集中出来ずに、
ミスを犯して本末転倒とならない様に。

遠足の前の日にはしゃぎ過ぎて、
当日熱を出さない様に。







こんな時は俺の出番。

冷静に冷静に、
貴女を宥め賺して行くんだ。



 「俺は寒い改札で待ち続けなきゃいけないの?」
 「仕事終わったら一本電話くれよ。」
 「4時じゃなくても、それから動けば良いでしょ?」



きっと今、
貴女の頭の中は飽和しているから。

きっと今、
俺が寒風に吹かれる姿や、
駅までの距離と貴女の歩く速さなど、
計算出来る状況に無いから。












まるで子供の様な貴女に、
つい笑みが零れる。



 「待ち合わせした事無いのか?」

 「いつも私の方が早く行くから・・・」


















そうだった。


貴女は想い込んだら一直線で猪突猛進で、
寒い中でも長時間でも、
平気で待ってられる人だった。

部屋で待ってろと言っても、
ずっと外で待ち続ける人だった。








わかったよ。


ちゃんと笑顔で迎えてやるから。
ちゃんと改札で待っててやるから。

目一杯仕事に集中して、
ちゃんと切り替えて、
俺の前に姿を見せてくれな。


2003年02月26日(水)


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< 何処までが我慢でしょうか >


我慢比べという言葉に、
瞬時に反応を示した貴女。



待ちに待った逢瀬だから、
我慢の閾値が低下しているからなのか。

それとも我慢比べに勝つ為に、
駆け引きに興じ、
ルールの確認を挑んで来たのか。








 「ねぇ・・・」
 「キスは我慢に入るの?」







もしそれが、
我慢に入らないとしたら。

貴女は何を我慢すると言うのか。










 「ねぇ・・・」
 「パクっは我慢に入るの?」







もしそれが、
我慢に入らないとして。

得をするのは俺じゃないのか。













何故だろう。

貴女は軽い不安を抱えている時の方が、
前向きで、
生き生きとして、
魅力的に映る。






「不安」を感じさせ続ける事が、
貴女の幸せに繋がっているのかも知れないのか。


俺が貴女に与えたいのは、
「不安」と言う二文字ではなく、
「安心」と言う二文字なのに。


2003年02月24日(月)


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< 俺の幸せは不安ですか >


幸せの定義なんて、
公式に置き換える事など出来ないけれど。

幸せの形式なんて、
無数に有って数える事など出来ないけれど。


貴女は今、
幸せを享受出来ていますか。




幸せの深さなんて、
物差しで測り較べる事など出来ないけれど。

真の幸せなんて、
俺如きに語る資格は未だ備わっていないけれど。



貴女は今、
幸せを満喫出来ていますか。














貴女が定期的に口にする言葉を聞くと、
何時も想う。


貴女は幸せ慣れしていないのだろうか。

それとも俺の描く幸せが、
貴女にとっての幸せとは異なる形をしているのだろうか。







 「そろそろ突き落とされるかと想って・・・」






本当の幸せって、
こんな雰囲気の場所に在る物だと、
俺は信じて来た。



どんなに猛々しい風に、
曝され続ける恋路であったとしても。

どんなに荒れ狂う波に、
蹂躙され続ける関係であったとしても。


二人の間に在る静寂が、
二人の間にのみ存在する空間が、
穏やかで暖かな幸せを、
ほんの少しだけ内包し得る在処だと、
そう信じて来た。














何度聞いても何度聞いても、
俺の心は慣れてくれない。

貴女が定期的に口にする不安を聞くと、
何時も俺は不安になる。


2003年02月23日(日)


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< お灸を据えても良いですか >


俺の牙が抜かれる毎に、
徐々に徐々に、
貴女優位になって行く。


俺の爪が削られる毎に、
徐々に徐々に、
貴女が強くなって来る。










 「我慢比べしたら・・・」

 「どっちが先に『欲しいよぉ』って言うと思う?」











我慢比べなら望む所だ。




俺は知っている。

初めて貴女に逢った時も、
貴女がその言葉を先に言った事。




俺は知っている。

この前貴女に逢った時も、
貴女がその言葉を先に口にした事。













蜘蛛の巣に絡め捕った気で居る貴女に、
罠に掛けた俺を弄んでいる貴女に。

お灸を据えてやる。


2003年02月21日(金)


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< 俺の生きる道を受容出来ますか >


余命という言葉が、
どれだけの重みを持つ物なのか。


画面の中の物語が、
幾ら綺麗で魅惑的な世界に創られたとしても、
現実は全く違う世界である事を、
俺は親父で知っている。




余命という言葉が、
どれだけの重みを持つ物なのか。


現実世界の経験が、
幾ら自分の胸に刻み込まれていたとしても、
愛する人を失った母親の胸の内など、
俺には計り知れない。











一年の命。






もし俺が、
限られた蝋燭の炎を燃やせと言われたら、
その炎をどう使おうか。









願わくばその炎が、
愛しい人に捧げる為だけに存在して欲しい。

俺が残せる最大の物は、
想い出だから。



今は亡き親父と、
残された母親の間に在る、
不思議な力の様に。

俺の相手が強く生きる為の糧を、
残された炎に託して生きたい。
















違うだろう。

きっと、
違う。




届けた文に書いた言葉は、
飾られた言葉。

送った文に記した言葉は、
俺の心の表面を、
偽善たっぷりに塗り固めた言葉だ。











俺との想い出で
貴女を束縛してしまえる位。

俺との想い出で
貴女が他の雄へ振り向けなくなる位。




残された炎が、
貴女を俺漬けにして離さない為の、
大きな力になる様に。



今は亡き親父が、
残された母親の間に埋め込んだ、
不思議な力の様に。





     >> I was impressed by your diary of 19th Feb. 2003.
     >> And I like your tastes than anything else!
     >> Thank you very much for your collaboration, あげは.


2003年02月20日(木)


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2002年02月20日(水) 寂しさを埋めてるだけですか



< 貴女のペースですか >


好き。
好き。
好き。



言葉の繰り返しが持つ魔力。


記憶と呼ばれる作業が、
神経の回路を繰り返し繰り返し巡る物で在る限り、
魔力の衰えは在り得ないだろう。










好き。
好き。
好き。



何度も何度も浮かぶ想い。


言葉の繰り返しは、
何時の間にか想いの繰り返しへと進化を遂げ、
言葉の魔力は、
何時の間にか俺と貴女の境界を無くして、
二人を融合させるんだ。











好き。
好き。
好き。
好き。






好き。
好き。





















 「一休さん・・・」


俺の口から吐かれた物は、
凄まじく質の低い言葉。

何の技も捻りも無い言葉が、
脳裏に浮かんで消えなくなった。



 「アタシが一休さん?」
 「坊主は小坊主でしょ?」


鬼の首を獲った様に喜ぶ貴女。




想いの繰り返しは、
徐々に徐々に俺を蝕んで行く。

好きの繰り返しが、
徐々に徐々に俺を貴女に近付ける。













俺の人格を破壊されたのか、
俺の人格を呼び起こしたのか、
それは定かでないけれど。

貴女の調子に、
貴女の冗談に、
俺はすっかり汚染されている。


2003年02月18日(火)


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< 罠を仕掛け終わりましたか >


自分を駆り立てる力と、
自分に備わる狩猟本能は、
全く同じ支配を受けているのだろうか。


何時の間にか抜かれた牙。
何時の間にか削られた爪。

闘いの為に備わった雄の武器が、
錆付いて崩れている。






幸せと言う魔物が、
自分の能力を削り取って巣食う生き物なら。

俺は既に、
その魔物に半分以上力を吸い獲られてしまったのかも知れない。














 「今度逢う時、どうやって抱いて欲しい?」



昼休みに仕掛ける、
小さな悪戯。

仕事の合間に、
束の間の休息を取っただけなのに。










 「午後からずっと顔が笑ってたよ・・・」
 「小坊主のせい。」



昼休みに仕掛ける、
普段の悪戯。

俺の目論見通り、
貴女を潤んだ目で半日を過ごさせたと言うのに。













 「小坊主は?」

 「普通。」








精一杯の強がりに、
戸惑いの想い。


貴女との幸せを感じれば感じる程、
俺は狩りの能力を奪われ、
自分を駆り立てる力を磨り減らして行くのだろうか。

貴女はゆっくりと、
俺の手足に蜘蛛の糸を張り巡らせて来たのだろうか。














何時まで経っても、
今日は目の前に貴女が居る。

何時まで経っても、
貴女は目の前でほくそ笑んで居る。


2003年02月17日(月)


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2002年02月17日(日) 想いの代理品は届きましたか



< 寒さのせいですか >


別れ際。

いつもの行為を貴女に贈り、
俺は去る。



出来る事ならもう少しだけ、
貴女に触れていたい。

出来る事ならもう少しだけ、
俺を感じていたい。


そんな願いをお互いが抱きながらも。

二人を繋ぐ線は、
あっさりと切れる。









別れ際。

いつもの行為を俺に贈り、
貴女は言う。



 「唇の軟らかさが違うと思うんだよね。」
















何時までも上手くならない、
電話越しのキス。



必死に研究し、
貴女は一つの結論に辿り着いた。




 「寒いから唇が硬くなるんだよね?」




次の逢瀬で俺に教えを乞う為に、
今の内から唇を軟らかくすると言う貴女に。

本気で悔しがって、
何度も練習をする貴女に。


今度はお褒めの言葉をかけてあげよう。



 「上手くなったね。」











それでも、
キスのコツは教えない。

貴女のキスがこれ以上上手になったら、
俺は電話を切れなくなるから。


2003年02月15日(土)


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< 勝る物が有りますか >


他人の恋路を護る為に、
俺に命が落とせるだろうか。

他人の恋路を護る為に、
俺は犠牲になれるのだろうか。



無償の心で誰かに接する事で、
偉大な殉教者を感じられるのならば。

貴女一人にその心を抱き続けられない俺には、
未だ成すべき事が多過ぎる。





他人が命を捧げて俺と貴女を包んだ時、
俺は貴女に愛を誓えるだろうか。

他人の命で俺と貴女が救われた時、
愛の重みに潰れてしまわないだろうか。



無償の行為を受けられる歓びを、
偉大な殉教者に感じさせてもらえたとしたら。

幸福に周囲を包まれ続けている俺などには、
勿体無い。









 「もう間に合わないね・・・」


きっと期日までには届かないであろう、
愛の詰まった聖なる菓子。



すれ違いの日々を後悔している貴女にも、
伝えてあげたい。

そんな悩みで一喜一憂出来る俺と貴女が、
どんなに幸せなのか。











 「良いから。」
 「逢える日に頂戴。」



例え規定通りの日でなくても、
ほらね。

逢瀬の日は、
愛に溢れた或る二日の丁度真ん中の日。




今二人で感じる想いを、
今二人で感じる気持ちを。

命よりも大切にする事が、
司祭の望んだ姿だと想うから。














数日間滞っていた定時便が、
貴女の音と共に届いた。



 「やっぱり仲良しさんが良いね。」
 「今日も頑張ろうって元気出るね。」



貴女の元気の素は、
俺にとっても必要不可欠な力の源。

聖なる菓子よりも、
もっと上質で大切な物。







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I wish you a happy Saint Valentine's Day.


2003年02月14日(金)


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< 素直な肌で抱き合えますか >


人を大きく、
動と静の二つに分けるとすれば。

貴女はきっと「動」で、
俺はおそらく「静」だろう。




後々振り返った時に、
同じ後悔の念を抱くとしても。


言葉を吐き過ぎて誤解を生むのが貴女なら、
言葉を飲み込んで誤解を生むのは俺。

猪突猛進して転ぶのは貴女で、
一歩踏み出せずに時機を逸するのが俺。








人を大きく、
激と穏の二つに分けるとすれば。

貴女はきっと「激」で、
俺もおそらく「激」だろう。




全く対称的な手段でも、
全く対称的な素振りでも。


貴女の激しさと俺の激しさが、
真っ向から衝突して共に傷付く。

貴女の激情と俺の激情が、
諸刃の剣の様にしてお互いを傷付ける。

















 「一歩近付けたよな?」

 「また少し近付けたよね?」




貴女の真の想いに気付きながら、
俺の真の想いを察しながら。


相手の奥底を刺激して傷付け合わないと、
お互いの距離を確かめられない、
不器用な二人なのか。






貴女の真の想いを探りたいから、
俺の真の想いを感じたいから。


相手の奥底を刺激して傷付け合わないと、
自分の愛情を確かめられない、
不器用な二人なのか。















俺と貴女が、
本当の意味で一つに成れた時。


二人は瘡蓋の無い綺麗な肌で、
抱き合う事が出来るのかな。


2003年02月13日(木)


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< 中を透かして見られるのですか >


少しだけ冷静な頭で、
少しだけ冷静な言葉で、
話せなかった想いを伝える。

ゆっくりと。
ゆっくりと。






あの時貴女は、
気付かなかった訳では無い。


 「私は小坊主の・・・」


貴女の心配は、
確かに貴女中心の想いだけれど、
真っ直ぐと、
俺へ伸びて来る想い。




あの時貴女は、
気付かなかった訳では無い。


 「どうしたの?」


貴女の言葉は、
確かに核心を突いた物では無かったけれど、
俺の様子を、
敏感に感じ取っていた。







何かが有ると、
何かが起きると、
何故か必ず反応する。

例え的外れでも、
例え頓珍漢でも、
何故か必ず反応する。


貴女の受容体は、
人より格段に優れているから。


貴女の選ぶ行動は、
人より格段に劣っているかも知れないけれど。


 「何でもないよ。」


そう答えたのは、
俺の意志。

貴女に想いを伝えなかったのは、
俺の意志。

全てを開放して見せなかったのは、
俺の意志。

















貴女は既に、
感じ取っているのだろう。

俺の行為から、
俺の言葉から、
感じ取っているのだろう。




言葉では何とでも言える理由。
貴女を信頼し切れていない事実。












今朝は来ない、
今朝は届くはずが無いと、
確信しながらも。

何度も問い合わせを繰り返す。



定時のメールが届かないと、
馬鹿みたいに歯車が噛み合わない。


2003年02月12日(水)


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History



< 何を悩んでいたのですか >


貴女の悩みは常に、
自分の目の前に有る事のみで構成される。

俺がどの様な状態であろうと、
俺がどの様な想いであろうと、
決して変わる事がない。



貴女の悩みは常に、
自分の目の前に在る物のみで構成される。

俺の悩みが何であろうと、
俺の悩みが貴女へどう向かおうと、
決して関心が無い。









貴女がそう答えた時に、
既に結論は出ていたのだ。

貴女がそう答えた時に、
既に話は終わっていたのだ。




 「ついて行くから。」



雄が悩みを口にする時は、
どんな時なのか。
俺が悩みを話す時は、
どんな時だったか。

俺の想いなど、
俺の行為など、
貴女の中には既に存在しない物なのだ。




















目の前に突如現れた機会に、
俺はやっと結論を出した。

貴女はその事など忘れていたかの様に、
目の前の出来事で目一杯だったから。



 「心配じゃないの?」
 「気にならないの?」



思わず口に出した言葉は、
俺の心に追い討ちをかける貴女を、
加速させるだけだと分かっていたのに。







 「心配だよ。」

 「私は小坊主に負担かけてないかな。」
 「私は小坊主に頼って良いのかな。」
 「私は小坊主に・・・」












貴女を主格とする言葉の羅列。

数々の心配は、
決して俺を中心としない想い。









それで良かったのかも知れない。


例え何度身体を重ねようと、
性の異なる雄と雌は、
相容れない違いを消せないのだから。

例え何度想いを重ねようと、
性の異なる雄と雌は、
物事へ繋がる道筋の軌跡が違うんだから。









それで良かったのかも知れない。

俺の道は俺の道であって、
共に歩んでも、
貴女の道では無いのだから。


2003年02月10日(月)


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History
2002年02月10日(日) 何を望んでいるのですか



< その涙は何色ですか >


長さの違う波が、
幾重にも幾重にも重なった流れ。

大きさの違う粒が、
幾重にも幾重にも鏤められた空間。


目の前に漂う奇跡の色は、
一つ一つの波を、
一つ一つの粒を、
何層にも紡いだ自然の結晶。









想いの数々が、
幾重にも幾重にも重なった流れ。

人が織り成す魅惑の流れが、
一つ一つの想いを、
何層にも紡いだ心の結晶だとしたら。





光と水の気紛れが空に渡した、
七色に煌く橋の様に。

貴女の頬を伝う涙の色が、
見えれば良いのに。













 「小坊主のコト思い浮かべてたら、涙がぽろり落ちゃった。」
 「悲しいとか寂しいって気持ちじゃなく、愛しい気持ち。」













違う。

貴女の涙は、
そんな色をしていない。




寂しくて寂しくて、
遠くて遠くて、
逢いたくて逢いたくて、
欲しくて欲しくて。

こんな想いを幾重に重ねても、
愛しさにはならないはずなのに。













俺の問いに返らぬ答え。



 「小坊主・・・」

 「泣いてるの?」
 「何が不安なの?」



受話器の先に揺らめく貴女の声が、
また涙色に染まっている。

涙の色が見えたら良いのに。


2003年02月09日(日)


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History
2002年02月09日(土) 想わせる事が罪ですか



< 迷いの嵩は減らせないのか >


貴女の決意など、
俺には想像が付いていた。

貴女の答えなど、
俺には想像が付いていた。




 「ついて行くから。」




貴女がそう言う事など、
俺には想像が付いていた。









問題は俺と貴女の間には無く、
俺の家族と貴女の家族に存在する。





 「大丈夫なのか?」
 「本当に考えたのか?」




俺がそう言う事も、
貴女には想像が付いていた。



















小さな彼の言葉を
初めて俺は聞かされた。

貴女の強さは、
その言葉にも秘められているんだね。



 「お母さんは再婚出来るんでしょ?」
 「お母さんは再婚するんでしょ?」







小さな彼の言葉を
初めて俺は聞かされた。

俺の知らない強さは、
その言葉から生まれ出た力なんだね。



 「再婚しても良いよ。」
 「引越ししても良いよ。」




















俺の決意は、
俺の答えは。

何処に有るんだ。



 「だから大丈夫よ。」
 「ついて行くから。」



貴女の言葉が、
どうして力にならないんだ。



迷いの一つは、
既に解決したじゃないか。


2003年02月07日(金)


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2002年02月07日(木) 良い所はなかったですか



< 戸惑いの真の理由は何ですか >


嘘から出た誠。
格言の上では成立する戒めの言葉。

願う気持ちの強さが有れば、
誠の姿に変われる嘘かもしれないけれど。



虚言から出た真実。

心にも無い虚実が、
翌日には現実味を帯びて目の前に現れる事など、
どうして想像出来ようか。














 「近所に引越したらどうしよう?」


友人にただ、
その気も無い冗談を一言吐いただけなのに。


何も接点の無い上司の口からは、
出るはずの無い言葉が洩れた。















 「小坊主、行く気があるか?」



上司の言葉は、
昨日の嘘をたしなめる罰だと思った。

上司の言葉は、
昨日の嘘を利用した罠だとしか思えなかった。





嘘が無ければ、
受け入れられた話なのだろうか。




降って湧いた話に、
戸惑うばかりで何も浮かんで来ない。

急な決意を強いられる話に、
漠然とした感覚しか感じられていない。


















 「チャンスはふわっとやって来るんだ。」
 「それを掴むかどうかは別として。」



耳に響き続ける上司の言葉に呼応して、
貴女の言葉も木霊している。



 「ついて行くから。」
 「私も行くから。」



貴女の言葉を確信しながら。



瞼の奥に浮かんで来る。

写真でしか見たことの無い、
小さな彼。


2003年02月06日(木)


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< 愛しさに呪いをかけて良いですか >


情動を支配しているのは、
同じ個体の似た様な部位には違いないけれど。


個々の感情では無く、
別々の感情では無く、
一つの連合体として振舞っているのだろうか。




相手を愛しいと想う愛情。

相手を欲しいと想う欲情。




独立した想いでは無く、
密に依存して、
密に結合して、
体内を動き回っているかの様だ。











愛情には、
どれだけの想いが詰まっているのだろう。

愛情とは、
どれだけの想いが凝集している物なのだろう。



 「小坊主との抱擁。甘〜いキス。エロエロえっちを想い出すぅ〜。」
 「子宮が収縮して痛い・・・」



愛しい貴女を想うだけで、
俺が脈動を始める様に。

貴女もまた俺を想うだけで、
俺を受け入れたままの形に変化を繰り返す。




 「エッチなエッチの夢を見ました。」
 「私が上で。小坊主が上で。」



今日もまた、
貴女は俺を愛しいと想い、
貴女は俺を受け入れるんだ。















俺が貴女に、
あの場所の存在を教えた時に。


俺は貴女に、
呪いの想いを埋め込んだんだ。
先を見越して、
呪いの想いを埋め込んだんだ。






 「るり子さんの日記読んでると、熱くなるぅ〜」
 「子宮が収縮して痛い・・・」





俺が貴女に、
あの場所の存在を教えた理由。

俺の存在を想い起こさせる為。
俺の形を忘れさせない為。









     >> This letter is supported by るり子 of 3rd Feb. 2003.
     >> Thank you very much for your collaboration.


2003年02月05日(水)


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2002年02月05日(火) 本当に大丈夫ですか



< 余裕に見えましたか >


俺からの電話が来ないと、
俺からのメールが届かないと、
貴女は俺を忘れてしまうのだろうか。

愚かな考えを打ち消す様に、
貴女のメールが届く。




 「仕事中思い出してふにゃふにゃアヤシイ人になってた」




朝から貴女を満喫した日は、
朝から貴女を満足させた日は、
貴女の中は俺で満たされている。










 「小坊主は?」

 「全然。余裕。」




貴女を悔しがらせて。
貴女の嫉妬心を煽って。

自分の荒みを、
少しだけ和らげた。


















朝から俺は満喫したはずなのに。
朝から俺は満足させられたはずなのに。



一日中の集中を要求された時。
一日中余裕を感じられない時。

貴女を想い出す事無く、
一日が過ぎてしまったから。









強がりの奥に隠した悔しさを、
俺はどう扱おうか。


貴女に気付いて欲しいけれど、
貴女に気付かれたくは無い。


2003年02月03日(月)


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< 啼けない携帯は恨めしいですか >


啼かない携帯を見つめる時、
貴女は何を想うのだろう。

俺の状況を必死に理解しようとして、
自分の願望を、
心の中にぎりぎりで留めているのだろうか。




 「私って五月蝿く無い?」




そう言いながらも、
貴女は自分の想いを次々に届けてくれる。


文を送り付ける一方の貴女。
文を受け取る一方の俺。

著しく均衡を欠いたとしても、
貴女は其れを望んでいて、
俺は其れを待ち望んでいるのだけれど。











また鳴った着信音に、
また俺は落胆する。



貴女の声で啼かない携帯。

鳴っても鳴っても、
貴女の声では啼かない携帯。


















手元に届いたメール達。
同時に届いたメール達。


携帯は最優先で、
貴女以外の箱を開こうとする。

貴女の箱には、
また未読の記号が残された。







貴女の懸命な想いを、
誰かに邪魔されている様で。


少し恨めしい。


2003年02月02日(日)


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2002年02月02日(土) 今日の涙は許されますか



< 想いを足せば突き抜けられるか >


逢えずに終わる、
其れが普通の事だったから。
逢えない時の存在が、
自然の関係を続けたから。

貴女の顔が、
俺の眼に焼き付いてしまった。



次が無くても、
其れが普通の事だったから。
次は無いとの覚悟が、
当然の関係を続けたから。

貴女の顔を、
必死に焼き付けてしまった。
















願いが叶わぬ事を恨んでも、
何も解決しない。


電話だけでも。
メールだけでも。
僅かな希望が叶うだけで、
十分に幸せだ。

馬鹿みたいに言い聞かせた故か、
時々感じる。


大きな幸せを願えぬ自分。















 「電話じゃ。」
 「メールだけじゃ。」

 「直ぐに顔が思い浮かばない。」






人が当たり前に思う感情を、
贅沢な想いとしか受け取れない自分が、
少しだけ、
不幸せに想った。




 「私で良いの?」




貴女の問いに肯定した時、
捨て去ったはずの想い。

貴女の問いに肯定した時、
捨て去るべきだったはずの想い。





こんな想いを俺が抱く事で、
貴女は不幸せだと想うのだろうか。

こんな想いを俺が抱いても、
貴女は幸せだと言ってくれるだろうか。


2003年02月01日(土)


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