またまたちょっとお休みさせていただきます。 出張のため。 その前に空きすぎたかな・・・。恵さん、すみません・・・。
ロカ岬を出発すると、ふたたびリスボンに戻ってきた。
この橋のようなレンガ造りは、古代ローマ時代の水道橋。この上を水が流れていたのだ。おそらく何十キロもの距離になっていたのだと思う。
そして、何やら怪しげな格好をした丸いものは、サッカーボールを模した電話ボックスだ。
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リスボンも夕暮れを迎えようとしている・・・。
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2005年05月21日(土) |
ポルトガル14(ロカ岬) |
リスボンからポルトまで北上し、今はリスボンに向けて南下している。 シントラを出てここロカ岬に着くと、リスボンまではもう目と鼻の先だ。
ヨーロッパ大陸最西端ということで有名なようだが、別に大したものはない。とはいっても、よその観光バスが到着して、どどどっと「ここに地尽き海始まる」読まれた碑に向かって人だかりが移動している。 それに負けじと我らも追従したのだが、なんと日本人観光客だった。
岬の風景としては、切り立った断崖なっていて、近づくとちょっと怖い。海面までは140mあるという。 灯台はずっと離れた位置にある。
一応、一通りこの碑の前で記念撮影。しかし、標準レンズのため、碑の一部しか入らない。ガイドブックのようにはいかないのだ。 短焦点のレンズが欲しいところだ。
ここでは最西端の地に到達した証として証明書を発行してくれる。それも市長と我々の名前まで入っている。 文字は飾り文字だし、ロウ印まで押されていてとてもりっぱである。こういうのはいい記念になるだろう。
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ポルトから5時間の長旅を終えるとシントラに到着した。 一気に南下したので、かなりリスボンに戻ってきた感じだ。
シントラ見所は、14世紀に建てられた王宮。外から見ると特にこれといったものはないが、ひとたび中に入ると、内装の豪華さに圧倒される。特に天井画が見事である。 ユネスコ世界遺産の町でもある。
王宮に近づくと、人の往来も多くなってきた。何やら青空市場のようなもので活気付いているようだ。電話ボックスの片隅で愛を語っている風景、小さなお孫さんの手を引いて買い物をしている姿、地元の飾り気のない光景が頼もしい。
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「サンデマン」での試飲そして買い物を済ませると、夕食にお出かけだ。 今宵はポルトでポルト・ワインに酔いしれることになる。こういう機会はそうそうはおとずれない。しっかりこのヨーロッパの色を堪能しておかなければ、送り出してくれた人に失礼というものだ。
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一夜明けると、朝から次の訪問地「シントラ」に向けてバスを走らせることになる。やはり、ドライバー、カルロスが操るこの闘牛スタイルバスは人目を惹く。
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「シントラ」までの道のりはけっこうある。5時間コースだ。そりゃあ、ちびちびと途中立ち寄りながら北上したわけだが、今度は一気に南下するのだから。
ワインのブドウ畑、そして牛の放牧と、のどか極まりない風景を楽しみながら、しかし車内では飲むことも、またお菓子をぼりぼりむさぼることもできない窮屈な状態で一路「シントラ」への旅である。 この白い花は、「アーモンド」の木だ。バスからの撮影はかなり無理がある。しかし、コニカ・ミノルタの「ディマージュA200」の連写機能を使うとかろうじて一枚だけヒットした。
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曹源寺でメキシコのギタリスト、ファン・カルロス・ラグーナのギターリサイタルがあった。 これには中林淳眞先生そしてアルゼンチンの美人歌手、ソフィア・ルジョーニが共演した。
プログラムにはバリオスの「大聖堂」がある。私のお気に入りの曲である。特に第3楽章のアレグロはとてもマニアックで、ギター弾きにはあこがれの一曲となっている。 これをラグーナはとてもハイテンポで軽々と弾きこなした。誰しもが終わるとため息をついた。華麗な演奏とはこのことだろう。
実は先生に、この曲を弾きたいと言ったところ、即座に「この曲はねえ、よどみなく弾かないといけないんだよ。」 そう、よたよたしていては失礼というものだ。
中林先生が、このコンサートチケットがどこかで売れないかと言われたので、勤務している会社の組合に掛け合ってみた。先生は、門下生だけで曹源寺のコンサートを聴くのはちょっとさびしいなと・・・。 組合では、全社員にビラを作成して配ってくれた。このポスターをアレンジして、ホームページからも引用しながら力作を作ってくれたのだ。 しかし、そんなもんだろう。義理でかどうかは知らないが、執行部の役員が一枚買ってくれた・・・。
ところが不安を一掃するがごとく、100人以上の人が集まってくれたのだ。 こうして「スマトラ沖地震復興支援チャリティコンサート」は無事終了した。
しかし大仕事が残っている。最後に撮った先生とソフィア、そしてラグーナの記念写真を届けなくては。次の公演に出かけるまでにと思って24時間ラボを物色したのだが、もう明日にしよう・・・。
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川べりから少し入っていくと、黒いマントがトレードマークの「サンデマン」の酒蔵がある。
http://www.sandeman.com/
中では試飲ができるということで、みんなわくわくしながら見学コースに入っていった。コースの途中で大画面のビデオを一通り観ることになっている。 そばには人形で当時のワイン造りの過程を作り出して、往年の面影をかもし出しているという念の入れようだ。
ビデオが終わると次は試飲に入るわけだが、目の前は売店になっていて、そのままお買い物というコースに仕立てられている。 ハーフ・ボトルを一本買ったのだが、一応ビンテージ物だということだ。なにやら講釈を並べていたが、そんなのはどうでもいい。 しかし、ちょっとした高級品なので自分で飲むのはもったいない。だれかといっしょにというのがいいだろう。ずっとその日を待っている・・・。
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ここポルトでも「タイニック」は人気のようだ。 タイタニック号を体験することができるアトラクション施設が派手に建てられている。ひっくりかえる船を体験するのもいいが、複雑な気持ちである。
ドウロ川にかかるドン・ルイス1世橋を見ながらポルト・ワインの酒蔵である「サンデマン」に向かった。 途中、ドウロ川には往年を偲ばせるようにワイン樽を載せたボートが浮かんでいる。
ここで一枚。夕刻近くになった川辺は絶好の被写体になった。 我ながら、この光と影は気にいっている。
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学生の町コインブラを出発すると、次はポルトガル第2の都市ポルトである。 リスボンから順番に北へ北へと走ってきたが、ポルトはもう北のはずれの町でもある。コインブラからは1時間少々の旅だった。
第2の都市で、ポルトガル商工業の中心地でもあるが、また、ポルトガルという国の名前の元となった町でもある。 その歴史はローマ時代にまで遡るという。ドロウ川の南側は古くから貿易がさかんで港として発達していた。ポルトガル語で港をポルトというがこれが語源である。
ポルトガルといえばポルトワインということになるが、ここが発祥の地である。
また、ここにも世界遺産がある。さっそくその歴史地区めぐりに出かけていった。大聖堂、そしてボルサ宮と次々に見て回った。 中でも19世紀に建てられたボルサ宮は証券取引所なのだが、思わずため息が出るほどの壁画、絵画、そして装飾に圧倒される。
それに負けないぐらいカラフル・ゴージャスな私たちの観光バス・・・。
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コインブラ大学の裏筋を通り抜けると、カテドラルやサンタ・クルス修道院の広場に出る。
この狭い裏筋を乗り合いバスがすり抜けている。それにしてもなかなかおしゃれなバスではないか。この通りに合わせたのか、ちょっと小柄でコントラストのはっきりした塗装で仕上げている。
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この旧カテドラルは12世紀に建造された教会だ。そとから見るといかにもごついが、その昔、ムーア人の侵略を恐れて要塞として使われていたとガイドブックには書かれている。
そして少し歩くと、今度はサンタ・クルス修道院に着いた。もう教会は見飽きた感もあるが、それでも一応内部を見学することになる。こちらもなかなか見事な装飾がされている。
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昼食はワインのボトルが壁一面に飾られてたレストランで一息入れることにする。 このあとは、ポルトガルの発祥地ポルトに向けバスを走らせることになる。
ファティマからさらに北へ1時間ほど走ると、リスボン、ポルトに次ぐポルトガル第3の都市で、ポルトガル屈指の大学、コインブラ大学を中心とする学生の町、コインブラに到着した。
まずはホテルにチェックインである。 翌日、さっそく大学に出かけた。学生が学んでいる新校舎と創設以来からの旧校舎とがある。 16世紀に建てられているから、かれこれ500年近くになる。建物のあちこちで修復が進められている。 中でも圧巻は、図書館だ。18世紀の初め、ジョアン5世によって建てられたというバロック様式の建物である。旧校舎の端にあるが、ここだけは有料のためチケットが必要だ。
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豪華絢爛の図書館、そして旧校舎の装飾類に見とれた後、大学の裏手の細い路地を歩きながら、カテドラルの方面に向かった。
「サンタマリア修道院」を出ると、次の目的地はファティマ。 ここは「ファティマの奇跡」で有名なキリスト教の世界的な聖地である。
ファティマの奇跡とはこうである。 1917年5月13日、羊板をしていた3人の子供の前に聖母マリアが現れ、「これから5ヶ月の間、毎月13日にここで平和を祈る」と告げた。この噂は各地に広がり、13日の祈りの日には信者がどんどんと増え続けた。最後の10月13日には7万人を超えたという。 その日、3人の子供たちが祈り始めると、雨がやみ、そして聖母マリアが現れ、この地に礼拝堂を建てるよう告げた。訪れた塔はこのお告げによるものだ。 しかし、聖母マリアは3人の子供にしか見えなかったといわれる。 この3人の最後の人が最近亡くなったと新聞に報じられていた。
それにしても、観光地にはなっているが、信者がぞくぞくと訪れ、ひざをついて祈りをささげている姿を見ていると、神聖さをおぼえる。
塔の高さは65m、そして巨大な広場は30万人を収容できるという。
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オビドスを出発すると次はアルコバサ。リスボンからは北へ120kmに位置する小さな町だ。
ここにも世界遺産に登録されている「サンタ・マリア修道院」がある。 中でも安置されているペドロ1世とイネスの石棺はみごとだ。柔らかい石ではあるが、彫刻の繊細さには見とれてしまう。
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「沈黙の回廊」と呼ばれるあたりから教会の塔にアングルを向けてみた。
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リスボンから1時間30分ほどバスを走らせると、中世の城壁に囲まれた小さな町オビドスに着いた。 白壁の美しい町並みは「谷間の真珠」と呼ばれているそうだ。たしかに長さ500mほどしかない町なのだが、白い家並みは写真の被写体としては最高である。 さっそく「ディマージュA200」のお出ましとなった。雲ひとつない青空では日差しがきつすぎるが、まばゆいほどの白さは日本ではお目にかかれない美しさだ。
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細い路地を歩いていくと、途中に「サンタマリア教会」がある。行く先々で教会がないところはないと思ったほうがよい。
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路地の両脇にはみやげ物屋とかレストランがあり、観光客の目を楽しませてくれる。 山間に広がるブドウ畑の丘の上にこの町はあるのだが、ここ特有のワインが少しばかり造られている。
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もったいないので、まだリビングの飾りとなっている。 三角のビンがなんともおしゃれで愛らしい。
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1月21日の一日の予定は、リスボン市内をバスで通過しながら、北に向けて200km以上の距離にある大学の町コインブラへの旅である。 途中、「谷間の真珠」と呼ばれるオビドス、世界遺産「サンタマリア修道院」のアルコバサ、そして聖母マリアが現れたといわれる聖地ファティーマを訪れることになっている。
ホテルの窓から夜景、そして朝の風景を撮ってみた。ただよそのホテルが見えるだけだが。
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こちらのバスではガイドは乗らない。日本のように、ガイドさんとの会話を楽しみながら旅を満喫するのとは趣が違う。バスは単なる目的地への乗り物にすぎない。食べることも当然厳禁だ。 しかし、添乗員の案内用として一応マイクは積まれていた。それに添乗員と現地のガイドさんは随行してくれる。適時にガイドはしてくれるのだ。
バスだが、日本のものよりは少し大きめのようだ。それになんとなくヨーロピアンスタイルがいい。サイドミラーがなんとも闘牛の角のようでおしゃれだ。
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リスボンの街中は、ビルが立ち並んで、日本の都市とあまりかわらない。それでもいたるところに像があり、それが否応なしにヨーロッパを思わせてくれている。
ホテルに着くと、最初に部屋の写真を撮ることにしているが、いずれも四つ星クラスということでグッズも充実している。いらぬ持ち物を持って来すぎた。 まあ、ホテルで暮らすわけではないので、気にすることはないのだが、それでもほんのひと時にくつろぎができれば、旅の満足感もワンランク上がるというものだ。
ところで、バスルームにはどのホテルにもトイレと隣り合わせでビデが設置されている。最初、男性には関係ないものと思っていたが、添乗員の説明によると、ヨーロッパでは男女関係なく使用するようだ。
それではとさっそく使ってみた。用を済ませたあと、そのままの体勢で横にあるビデに乗っかった。しかし、「シャワレット」と違って温水を出すボタンなんかない。単に蛇口があって、水と温水のつまみが付いているだけだ。あとは温度を加減しながら両方を少しずつひねって、いい塩梅の温水を作りださなければいけない。それもしゃがんだ格好で。
へたにひねると、やけどをしてしまうことになるのである。それに水道の蛇口なので太い水が出てくるが、当然勢いがない。ダダダッとかかるのはいいが、どうもすっきりとしない。やはりあの「シャワレット」にはまったくかなわない代物だ。あらためて日本の技術、アイデアを再認識した次第である。
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