トレドからマドリードに帰ると、ポルトガルに飛ぶことになる。 ポルトガル航空の赤と緑のカラーリングがされたボーイング767での約2時間の飛行を終えると、スペイン・マドリード空港よりもさらに一回り小さなリスボン空港に着陸した。
空港からは現地のガイドさんが付くが、日本人の女性で、てきぱきとはっきりとした言い方で好感がもてる小柄な方だ。
リスボンの町並みを車窓からながめながら、バスは狭い路地が連なる並木どおりへと移動していった。そこからは降りて、夕食をするレストランまで路地を歩いていった。あちらこちら坂だらけだが、これがポルトガルかという風情があっていい。
このレストラン、そんなに大きくなくて、ちょっとした家族連れが食事を楽しむといった感じで気取らなくてよいのがいい。 とはいえ、ちょっと薄暗くて、夜はカウンターでバーになるのだろう、酒類が所狭しと並んでいる。
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妻と娘に何かを買って帰らなければと思い、物色を始めた。どうも目移りがして決めかねてしまうのだが、そこは店員さんがうまく誘導してくれる。 身振り手振りで「これなんかお似合いですよ。」と自分の胸にあてがって促してくる。片言だがみんな日本語をしゃべってくる。せっかくここまで来たのだからと、いちおう手工品なる透かし彫りのペンダントを妻用に購入した。 一定金額以上だと免税になるということで、「タックス・フリー」という書類をいっしょにもらったが、帰国した際、関空で手続きをすることになる。
娘には別の店で、鳩をあしらったペンダントを購入した。どうも種類が多くて目移りしてしまう。
ここトレドでは金の象嵌細工が有名である。 さっそく観光コースになっているお店に入っていった。職人さんがこつこつと木槌をたたいて金箔を貼っていく実演がされている。なかなか細かい仕事だが、今では多くが機械加工されるようだ。 このようないわゆる手工品はお値段が高い。店では手ごろなキーホルダーから、高額な値札がついているアクセサリーまで並べられており、じっくりと楽しませてくれる。
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トレドの街を一望する高台のレストランで食事をすることになった。これはすでに団体さんとして用意されてはいるのだが。 長い階段を上り詰めると、ドン・キ・ホーテの像がお迎えしてくれた。昼時もあってすでにお客さんは入っている。私達は用意された席につくと、すぐに飲み物のオーダーが始まった。レストランでは最初に飲み物を注文しなければいけないようだ。水もふくめて各人がオーダーを出す。添乗員が値段を聞いてくれる。コストパフォーマンスからするとワインだろう。それに味的にも飲みやすい。
メニューは「パエリヤ」。何やかにやが入ったピラフのようなものだ。米は細長いいわゆる外米と呼ばれる種類だが、なんとも芯があって日本人には今ひとつなじめないかもしれない。これを言うと、「この芯を残すのがとてもむずかしいのに・・・」となってしまう。
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先日、Mみさんと、京都在住の人間国宝時間待ち状態「らいらいけん氏」から前後して電話があった。 ともに体調を崩していないかとの気遣いであった。あまりの日記の空きに、なにやらただごとではないのではとの心配をされたようである。 Mみさんは、時間がなかったら写真だけでいいから載せてはとアドバイスいただいた。
そう、ほんとうに時間がないのだ。時間貧乏にだけはなりたくないが、どうも時間の捻出がへたで困る。
こうしてお二人にはいらぬ心配をおかけしたが、ひそかなるほんの少数の愛読者にもお詫びをしなければいけない。 なるべく空けぬよう、継続し続けることでお許しを願うことにしよう。
さてどこまで旅行記が進んだかわけがわからなくなってしまったが、適当なところでつなげたい。
〜トレド〜 迷路のような石畳は、その昔、敵を迷わすためのものだそうだが、とにかく狭いうえ、そこを車が通り抜けるわけだから危ないことこのうえない。 さらに縦列駐車をいたるところでしているので、狭い道がさらに狭くなってしまっているのだ。まあ、坂ということもあり、そんなにスピードは出せないので人身事故としてはあまりないとは思うのだが。しかし、こつんと当てる接触は日常茶飯事のようだ。 ヨーロッパでは、ぎりぎりに止める縦列駐車が多いが、聞くところによると、こつんと当てながら位置関係を確かめて入れ込むということだ。日本では考えられないことだろう。
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エル・グレコの家がどこにあるのかよくわからないが、添乗員にただ付いて行くだけで、設定された行き先を訪問できるというのも、面白味がないといえばそうかもしれない。 事前の予習をほとんどしていないので、ガイドさんや添乗員さんのお話がなければここがどこかわからなくなってしまう。あとでガイドブックをひも解いて、行った先を確認するわけである。
ここエル・グレコの絵が飾られている場所は、今や観光場所となっているが、その当時エル・グレコがずっと住んでいたようだ。 写真撮影OKなので撮ってみた。しかし予習をしていなかったのがいけなかったとみえて、あとでいろいろと調べものをしていると、エル・グレコの偉大さがわかってくるというなさけない事態になってしまった。
そのうえ、訪問したところがどこなのか、写真をたよりに追っているのだが、時の経過とともに記憶を薄れはじめてしまった。今となっては、写真の撮影データからスケジュールと照らし合わせて訪問先を特定するという作業をしている。はっきりいってもういやになった。
さて最後までたどりつけるか・・・。
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中林淳眞先生からトレドの分厚い本をお借りした。
これはスペインでの演奏の際、市長から贈呈されたものだそうだ。古い写真は今から約4、50年ほど前のものだが、トレドの長い歴史からすると近年になる。しかし、写真を見る限り、当時のゆったりとした生活ぶりがうかがえる。どうもほんのここ最近で町の様子が変わっていったようだ。
小さな歴史の町なのに、車社会になってしまっている。まあ観光者にとっては、便利で、ホテルもそれなりに充実しているので快適なのだが・・・。
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