太れ!たつのふ
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私のイスのシートの中は収納スペースになっています
車で言うところのトランクでしょうか。
そこは普段はヘルメットを入れたり手袋を入れたりしています
でも時々 ご主人様がジャケットのなどの上着を入れっぱなしにしたまま帰宅し そのままにしておくことがあるんです
そのジャケットは ご主人様のぬくもりと 匂いが まだ残っていたりして・・・
そんな夜は ご主人様の匂いに包まれているので
普段より少しだけ 素敵な夢が見れそうな そんな気持ちで眠りにつけるんです
秋の長雨が続いています
雨は風情があるし嫌いではなのですが
ご主人様は私でお出かけしないので さみしくなります
ここ最近 何日も雨ばかり 耐え忍ぶ生活が続きます
幸せに結ばれるのだけが恋ではない と思います
決して結ばれることなく 我慢する恋・・・
影から見守り じっと耐え続ける恋・・・
私はご主人様と ただ一緒にいられるだけで幸せです
それだけでいいんです
女心と秋の空・・・
明日は晴れますでしょうか?
「ジョル子」という名に対する不満 あります
なんでこんな安易な名前なの?もっと「アンジェレッタ」とか「マリー」とか「フランソワ」とか 素敵な名前が欲しかったのに・・・
私はサル介さんにぶちまけてみました
「サル介さんは自分の名前に満足してますか?あたしはもっとおしゃれな名前が欲しかったわ」
サル介さんは言いました
「自分に名前があるだけましとは思わないかい?俺は自分の名前が大好きだし 誇りに思っているぞ。」
思いがけないその返事に私は 戸惑いました。
名前をもらえないたくさんのバイク達の事
名前をもらえたということは「個性」が認められたという事
今日は サル介さんから色々な話を聞いて 自分がいかに恵まれた存在であるかを思い知らされました
ご主人様が「ジョル子」と名づけたのは
私が他のバイクとは違う存在である事の証明なんですね
ジョル子・・・・
いい名前ですわ
ご主人様の家には やもりさん がでます
夜になると彼らは活動を始めます
足の吸盤で壁にピタッとくっついて動き回り エサをしとめる姿は 見事です
ヤモリは爬虫類の中でも 一番「恐竜っぽさ」が残っていると思います
なんせ気品があります
かつて地球上で栄華を極めた恐竜達・・・
今でも絶滅の理由ははっきりとはつかめていないようです
でも やもりさんが代々受け継いできた遺伝子には ジュラ紀の末期 何が起こったかを記憶しているはずです
現在 地球を支配している人類
知恵・言葉・文明 を手にした人々はどこへ向かうのでしょう
やはり滅びるのでしょうか
その知恵によって生まれた私たちはどうなるのでしょうか
私たち機械が世界を支配するなんてことがありえるんでしょうか
その答えを探そうと やもりさんの瞳の奥を覗きましたが ほのかな月明かりが反射しているだけでした
世の中 わかっていることを10としたら わからないことは10000くらいかな〜と思いました
ご主人様の母上が「犬を飼おう」と提案しているようです
私は 犬派です
けなげに人間になつく姿
ご主人への忠誠心
時折見せるりりしい横顔
犬を愛さずにはいられません
それに家族が増えるのは大変好ましいことです
しかし 私にとって不安もあるんです
私が今 止めてもらっている場所
軒下のベストポジションが奪われてしまいそうなんです
まもなく走行10000キロを迎える私にとって 雨ざらしは 体にこたえます
それよりなにより
ご主人様の愛情が 犬に傾いてしまうんじゃないかって・・・
絶対 かなわないなぁ・・・
朝晩が冷え込むようになりました
彼岸花前線が一気に南下してきました
金木犀が 大慌てで咲き始めました
夕焼けの赤色が あざやかになりました
街行くおしゃれな女の子が生き生きしています
本日 私 ジョル子は 秋入りを宣言いたします
皆様 季節の変わり目お風邪など おひきにならないように
私は何も選べません
今日 ご主人様は 駅でいつもの場所に止めてくれなかったので
サル介とお話しすることが出来ませんでした
そんなことすら自分の思い通りにはならないんです
ふと考えると
バイクとして生まれてきたこと
水色のボディー
ご主人様
ガソリンを入れる時期
走ること
止まること
私が私でいる証 すべてが 自分では選択したことではないと気が付きます
私は何のために生まれてきたのか
所詮
私は神様の操り人形なのかもしれません
私は自分の体で気にしてる部分があります
それは「お尻がでかい」ということ
コンプレックスです
狭い道を通り抜けるときなどは
左のお腹をこすってしまいがちなんです
私は機械なので どんなにダイエットをしようが体系が変わることはありません
「あ〜なんであたしはこんなに大きなお尻をしているんだろう」
ふと出てしまった一言を聞いて 隣にいたサル介さんは
「その大きなお尻。たくさんガソリンも入るし、荷物も積めるし、なによりご主人様の座り心地は最高なんじゃね〜かな〜」
と私を励ましてくれました
明日からはご主人様が私のお尻に座るたびに すこし 誇らしげな気持ちになれそうです
2002年09月16日(月) |
恋か 友情か 愛か 仕事か |
あたしと仕事と どっちが大事なの?
あたしと友達と どっちが大事なの?
そう口に出したくなる瞬間があります
そのたびに私は落ち込むのです
信念を持って仕事へ打ち込む
親友との厚い友情を重んじる
それでこそ男だと それでこそ私の好きなった人だと
頭ではわかっているのです
「好き」という感情はもっともコントロールしにくい感情だと思います
あゝ我が思い 届きしぞ
あゝ我が思い 恋しきぞ
朝日とともに 目覚めしに
いつものごとく 出掛けたる
ただ駅までの 出迎えが
我が使命とぞ 悲しけり
裂いて走りし 秋風の
瞬くうちに 過ぎたりし
駅であなたの 帰りおば
ただ待つのみぞ 我が使命
雨に濡れたる 我が身体
涙の如し いでたちも
自ら出せぬ 涙とて
心の鏡と 思いしや
あゝ我が思い 届きしぞ
あゝ我が思い 愛しきぞ
2002年09月13日(金) |
雨・・・ ん? まさか |
今日は夕方から雨が降り始めました
雨が強い日は ご主人様は 歩いて帰るか 星子のお迎えで帰るかです
私は 駅の駐輪場で 一晩取り残されるわけです
それは「安全の上で 仕方がない事だ」と自分に言い聞かせています
だから 今日は 諦めかけていました
でも ご主人様は帰ってきたんです
私のエンジンを掛けたかと思うと
なんと 傘を指したまま片手運転をはじめるじゃないですか
もう あたしは ひやひやしっぱなしでした
無事に家に帰れたからいいものの もう少し ご自分の身体を大切にしてくれなくては困ってしまいます
最近のご主人様は 何かが違います
嫌なことがあったのでしょうか・・・・いや違います
大きな悩みを抱えているのでしょうか・・・・いや違います
恋がうまくいっていないのでしょうか・・・・いや違います
とにかく今までにない感じなんです。
ピリピリした感じなんです。
ただ何か大変な時期を迎えているんではないか。それはわかるんです。
こんな時はどうすれば・・・
私は『ご主人様を無事に送り迎えしている』なんて胸を張っていますが
それ以外のことは何も出来ないだけなのかもしれません
己の無力感・・・
なんにも出来ない自分がくやしくてくやしくてしょうがありません
いつものように朝目覚め
いつものようにご主人様を駅まで送り
いつものようにサル介さんとおしゃべりをして
いつものようにご主人様と家まで戻った
いつも走っている道だけれども 今日は少し 感覚が違いました
毎日 走っているこの道は 地雷が埋まっている可能性は無い
それは とても素晴らしいことなんだと 思いました
8.15 終戦記念日であれば 「戦争のおろかさと平和」を思い
12.24 クリスマスであれば 「愛」について考える
しかし
9.11 この日に対して一体 何を思えばいいのでしょう
犠牲になった人たちに対する哀悼の意 もちろん それはあります
しかし 何を憎むべきかがわかりません
何が正義で 何が悪なのか
あの日から 丸々一年過ぎようとしているのに 私の生活は何一つ変わってはいません
本当に何一つ
もし生まれた国が違えば 私を構成している部品は 兵器に利用されているかもしれません
この日本という国は 世界の国々に比べて圧倒的に平和です
それがどんなに幸せかということに この国の人たちは気がついているのでしょうか?
ぷは〜 この一杯のために生きてるねぇ〜
て叫んでしまいそうでした
やっとご主人様はガソリンを入れてくださいました
夜のガソリンスタンドは何か神秘的なものを感じます
ぼわ〜っと光るオレンジ色のネオンのひとつひとつに
母親のぬくもりのようなものを感じてしまいます
ネオンは人間が人工的に作り出したものなのに その光は 自然の風景に混ざり合い溶け合い・・・
うまくいえないけど
とにかく いい感じなんです!!!
3.6リットルのレギュラーガソリンを お腹の中に入れてもらいつつ そんなことを考えていました
ご主人様の帰りが遅い夜は空を眺める
流れ星を待っているんです
願い事を叶えたいんです
流れ星にお願い事をする習慣が生まれた理由って知っていますか?
昔の人は 神様は空の上に住んでいると考えていました
神様は周期的に下界の様子を眺めているんですが
それは小さな小窓から下を眺めているんです
太陽が沈み暗くなってから 神様がその小窓を開くと天界の光が地上界に注ぎ込むんです
そのかすかな光が『流れ星』
昔の人は 天の小窓が開いているその瞬間なら 願い事が直接 神様の耳に届くんじゃないかって考えたそうなんです
昔の人はロマンチストだったんですね 素敵過ぎます
でもなんでこんな話 知っているのかって?もちろん全部 サル介さんの 受け売りです
今の私の願いは
ん〜
給油かな
今日は朝から大雨でお出かけはありません
そんなどんよりとした空気に浸って終わるはずの一日でしたが
夕刊を届けてくれるバイクさんが素敵なニュースを運んでくれました
「宇多田ヒカルが結婚したらしいぜ〜」
久しぶりの明るいニュースだなって思いました
他人事の結婚なんて 私の身には何にも関係のないことだけど
結婚という言葉を聞くと なぜだか心が高ぶります
私たちバイクには結婚という概念そのものがありません
子孫を残す事だって出来ない
家庭だって築くことは出来ません
でも でも 結婚に憧れてもいいんでしょうか?
ウェディングドレスに憧れるバイクがいたって かまわないじゃないですか!!!
あ!文金高島田もいいかも
今日はご主人様を待つ間
輪廻転生について考えてみました
人間界と同じように
バイク界にも「生まれ変わり信仰」みたいなものが存在しています
『たとえスクラップになってもまた新たなバイクとして生まれ変われる』
私も半信半疑ながらも そんなことがあればいいな〜なんて思っています
確かに 初めてきたはずの場所なのに 以前に来たことがあるような錯覚に陥ることが多々あるので そんなときは「前世で来たことがあるのかな」なんて思ってしまいます
自分が何の生まれ変わりかなんてことは さして興味はないけれど
将来生まれ変わりたいものはあります
それは 郵便屋さんの配達バイクです
素敵な赤いボディー
雨の日も風の日も 手紙を届けるという使命の為に走り続けるたくましさ
あ〜そんな生き方 かっこいいです
そんなことを考えていたのですが 空腹で頭がくらくらしてきて 寝てしまいました
明日こそは 明日こそは レギュラーガソリン
私達バイクには「季節の変化をご主人様に伝える」という使命があります
しかし私は年々季節がうまくつかめなくなって来ています
私は主に「植物の様子」によって情報を得るようにしているのですが この暑さには弱っています
今 私はコスモスの様子をを見に行きたいです
「秋の桜」と書くあの花が一面植わっている場所が
どこか近くにないでしょうか?
最近のこの暑さ 夏が終わるとは思えないんです
このまま 秋は来ないのではないか?という不安が襲っているのです
私はいち早く秋の訪れを察知し ご主人様に「秋入り宣言」したいのです
コスモス達は 花を咲かせる準備をしているのでしょうか?
今年の春は 3月中に桜が終わるという異常事態
まさか コスモスが咲くのが 10月終わりなんてこと ありませんよね?
金木犀が香るのが年明け なんてこと ありませんよね?
人間は 活動のエネルギーをえるため 血と肉をつくるため 食料を取り入れる
米・肉・魚・野菜・果物・・・
色々なものをバランスよく摂取することが長寿の秘訣
「人」が「良い」と書いて「食べる」と言う字が出来上がる
健康に生きるということは なんでもおいしく食べられると言うことなのかもしれません・・・
なぜ 私が そんなことを突然言い出したかですって?
私 猛烈に おなかが空いているんです
ガソリン もうないんです
ご主人様はガソリンメーターがエンプティーになってもなかなかガソリンを入れようとしません
きっと「エンプティーになってるけど ほんとは少し残っているんだ」って思っています
それは 違います
私たちバイクはガソリンがなくなってからは「魂」を削って走っているんです
あ〜 も〜 限界です〜
はやく 給油を〜
自分の思い通りに走り回れたら どんなに幸せだろうか
私はご主人様と一緒じゃないとどこへも行くことが出来ません
行く場所だって選ぶことは出来ません
今日 サル介さんから「ASIMO」というロボットについて話を聞きました
最新の人工知能をつみ 自由自在に動き回れ 話しをすることも出来るとか
しかも 私たちを生み出したホンダ産であるということ
最初は「すごい!」「私たちの弟分達がんばっているんだ」なんて楽観的に話を聞いていましたが サル介さんの話は続きました
「ASIMO]はどこでも大人気の引っ張りだこでスケジュールはビッシリ
超重度の警備体制で彼らは守られているらしい
「自由」を手に入れたかわりに もっと重い「不自由」にさらされている弟たち
そんな自由なんて偽りじゃないですか?
「自由」ってなんでしょう 「自由」って