「孤高」
突然、心がズキッとする感覚。それを過去に置いて来たはずのものに時々見出す。抱えた腕からぽろぽろとこぼして、或いは故意に棄て置いて来たもの。通り過ぎて来た路傍にあちらこちら転がる。もしかしたらとても綺麗なものでどうしても必要なものだったんじゃないのかと置いて来たはずのものを取りに帰りたくなる衝動を呼ぶ。 いま此処に無いものたちは現物以上の、必要以上の煌きを放とうとするから、そんな時、心がそれが不必要だと決断した時の理由やら感触やらを都合良く忘れてしまおうとしているようにすら思えて憎い。 何て無益な事を。折角回避したのにまたわざと泥に嵌りたがるような愚考。痛みを思い出したいがゆえにかさぶたを剥がすようなその衝動をいつも冷笑するのだけれど。水潦を作って溺れるような、わたしはわたしの中にどうしようもなく愚かな、そういう部分が変わらず坐しているのを見る。 けれど違うな。きっと本当に思い出したいのは、「要らない」と感じたその時の感触。付随した確固たる理由。「ああ、やっぱり棄てたものだ」という一つの事実を思い出したいが為に。千歳の恋慕の想葬を過ぎたわたしは、たぶんもう何処にも溺れることはないのだから。 |
「杏仁な日々」
以前はそんなに好きじゃなかったんですが、最近とてもとても凝っているデザート。否、寧ろ主食。それは杏仁豆腐。会社最寄の蕎麦屋で食したそれがヒットして気付けば杏仁豆腐を作っては食べ、食べては作りの日々を重ね。こうなったら携帯もauのアンニンに変えてしまおうかと。 市販されているものはだめですな。硬さが微妙にというか、わたしに巧くマッチせずに。まるでおぼろどうふのようなふるふる感いのち。美味しい杏仁を売ってたら教えてくださいませんか。 あと、ケンタ(ッキー)のコーヒーロールも、食べた後、胃が痛くなる可能性もなきにしもあらずですが結構好きです。 |
「雨のしらべ」
冷たい雫が春を灰色に眠らせるような月曜日。 細やけくしゃらしゃらと注ぐ音の骸が降り積むので、雨音に希いを託す。 単に濫造される只の陳腐な即興には成るなと。 |
「男よ、護れ。口先だけでなく、実質の護る力を身に付けよ。」
女性の笑顔は限り無く曇りの無いものであるべきだと言う論に対し、わたしは敢えて逆を唱える。そんな現実を見ないような限り無く夢みがちな男性特有のロマンチシズム要らない。 各国の女性に比べれば元々日本女性は暗い性質で、社会の仕組みもいにしえより続く風習も、あらゆる面で男性に依存せずにはいられないのだから、女性の笑顔を伺うのではなく、引き出す存在としての日本男性が必要なのだと思う。 女性上位という世を見たくはないのでそれはそれでいいとしても、外に敵が何人居ようと女性より自由なのは確かなのだから、男性は作り笑顔などとは無縁であって欲しいという事だよ。 ただ、世界を愉しんでいて欲しい。そしてそこに自然に生まれ続ける笑顔を見ていられたらいい。己が内で浄化されていくものを知るがゆえに欲する。あなたの屈託の無いピュアリティスマイルを。 |