友達と電話で話していると、さも自然に、自殺をしようか、という話になった。 目の前は現実だらけで、少し疲れてしまった。 食の細くなった自分をみていると、何時かの自分と重なって、 たまらなく憂鬱な気分になる。 枝の断たれた水芙蓉をめがけ、あのベランダから飛び降りていれば、 夜になれば底も知れない、あの階段から落ちていれば、 そんな今としてはどう叶うはずもない後悔が、秋になるとこみ上げてくるのです。 遠くないうちにこの現実から抜け出す方法を、友達と話し合うだろう。 病院へ通おうとも、お薬を飲もうとも、この憂鬱が消しされない。 左脚に鬱陶しく絡み付く。 日に日に増大する疲労と、それに伴う体力減退。 とうとうお薬があっても眠れなくなったあたしの体を、あたしは捨てようとしている。 愛せない自分へさようならを言う日は、そんなに遠くないと思う。 誰かあたしを静かに眠らせて。
友達と仕事先を変えようか?と会議をしてからお仕事へ行った。 違うお店へ見学に行ったらとても対応が好く、心が揺れた。 全く別のお店でも同業の関わりというものは生じているらしく、 友達2人はお約束通り今在籍しているお店を今日中に辞め、今週中にそちらへ転属することになった。 あたしは今のお店に未練があり、辞めれずお仕事をした。 絶対に辞めるな、と会議中に噂をしていたボーイさんが、今日付けで別の系列店へ移動になった。 他の読みも殆どが当たり、総べては今日、明らかになった。 元から裏を視ていた故、こちら側には好都合な状況だった。 女の子は女の子同士に散らばって、巧くボーイから話しを掘り出し情報交換をしてるのよ。 裏切り者もいるの。 汚いものを視てまた綺麗な音楽を聴いて安定剤をのんで平になるあたしの心。 悪いのはすべてこの荒んだ裏側なんだ。 何人かの友達と、何人かの裏切り者で、あたし達の職場環境はやっと平らになっている。 泥には泥を、花には気持ちを、最低な人間には軽蔑の眼差しを。 クソオヤジには汚れた世界を。 あたし達は踊るように行き交っている。
昨夜の記憶が曖昧だ。 多分、今夜の記憶も、明日になれば曖昧なんだろう。 断片的なんだけれど、チョコミルクを飲んだような気がする。 そんでレンジで温め過ぎて溢れた。 生活感のある毎日は憂鬱で堪らないよ。 睡眠薬を、いくら、いくら飲んでも眠たくはならない。 それでいつの間にか眠っていて目が覚めると、 気絶していたかのようになんにも覚えていない。 麻酔にかけられたかのような、一瞬の暗闇、そして新しい夜が来る。 ブラッディオレンジや錆びた鉄の匂いが鼻を掠めると、どうしてもナイフが欲しくなる。 憂鬱な秋、嫌いだけれど忘れられない、美しい秋。 木曜日は友達と商店街のお茶屋さんへ行ってこようかな。 輸入されたお茶がいっぱいあって、あとはアツアツの肉まんや野菜饅頭。 その空間の和むこと! ずっと居たかった。
今夜はいろいろ合った。 あり過ぎて頭の中で片付かない。 楽しいことばかりだったからいい。 死ぬまでこんなことが続くといいなぁ、と思っていた。
鋭い円柱形の芝生を歩いているような、夏は終わっていた。 何にも気付かない振りをして、お仕事と遊びに明け暮れたよ。 だけど8月の終わりの頃から、どうしても駄目なんだ。 遊びもお仕事も。 理解のある店長は「休みも時間もたくさん取ったって構わないんだから、お前のペースでシフトを取れ」と言ってくれる。 あたしは言葉に甘えてしまう。 迷惑だってかかってしまう。 あぁ、駄目だ。 遊びはどうでもいい、お仕事をちゃんとしなければ。 お薬はよく効くよ。 永遠に眠っていまいそうな勢いで、よく効く。 最近は友達と同じ病院へ行く。 お仕事仲間で行くと少しは気がラクだ。 みんな色んな境遇で生きてきた、そのなかで4つ年上の友達はしたたかで好きだ。 おねえちゃんみたいに心配してくれる。 あたしのことを好きだと言ってくれる。(勿論、気に入っている、の意味で。) 素直でしたたかで物知りで白黒ハッキリしていて、とても尊敬しているよ。 とても素敵なお姉様です。 年下組には、妹みたいな危なっかしくよくはしゃぐの1人(でもクール)、歳の割にしっかりしてるのが1人(でもすぐ泣く。笑)、付き合いの長いタメのちょっとおかしなのが1人。 それにあたしを含めた5人、お店の問題児たち(笑。 店長やボーイさん達にイタズラばっかりしてるから、きっと凄く目を付けられてると思うよ。 そんな仲間がいる夏だった。
夜の生活だったから、花が咲いて枯れるまでをあまり見届けられなかった。 最後は庭先に咲いていた山百合の、雄蕊になった姿だけ。 なつこいし秋のはじめ。 8月の21日、横浜から帰ってきたら宇都宮の夜はすっかり涼しくなっていた。 泣きそうだったよ。 ちゃんと現実を見据えている筈なのに、断片的に目に映るいつかのなつのおわり。 嵐の中の静けさ。 どれだけ周りが騒がしくてもひとり自分の中に耳と目を向けて、縁側で夜だけ見ていた頃、 身に付いた静けさは今でも、周りとあたしに温度差をもたらしている。 なにやってんだろう、と冷静に戻り、呼吸を止めそうな自分。 うっかりしていたら暴れだしそうなあたしの中のもうひとりが、時々声を漏らす。 空はうずまき、秋雨の明日。
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