⊂静寂⊃
2004年07月26日(月)

お庭はしん、と静まりかえり、夕立ちの後の濡れた空気に、百合の甘い芳香が滲んでた。
何匹かの虫だけが声を嗄らして啼いているのを、しゃがみこんでひとり聞いた。
またまよう、自分の行く先。
うまくもまっすぐにも歩めなくて、誰かに惑わされてばかり居る。
あのひとが好きだと云うあたしは、どんな姿をしているんだろう。
あたしは相も変わらず自分のことが本当は嫌いで、悪夢のように体力の無い躯は、ふくらむ理想だけを持て余している。
誰かに護られなくても、自分のことは自分で護れると云ったのは嘘じゃない。
けれど他人は恋愛を求めて、この不様に切り刻まれた手を握り返してきた。
君じゃ駄目なんだ、と云うことも出来ず、
もがいていることを理解してくれる友達の傍に居ることが、やっぱり最終的には落ち着くのだった。

毎晩、舌から零れるほどのお薬を飲んで、そうしなきゃ眠ることの出来ないあたしを、
他から見れば異常だともみえる、その日課を、理解してくれるのだろうか。
うたた寝さえまともに出来ない。

もう零れるほどのお薬を、躯が吸収しはじめた。
ひんやりと湿った空気がいい匂いなので、窓を開けて眠ろう。
そして現実とナイトメアは続いてる。


⊂カモマイル⊃
2004年07月12日(月)

お薬をのんだのにあまり眠れていなくて、気分転換に違うお部屋でネットをしてた。
寝床をこんなにも嫌悪したのは初めてだ。
バスの中や電車の中や飛行機の中、そういう場所で眠ることが当たり前だった、たった数日で、
あたしは自分の部屋でどう過ごしたらいいのかを忘却した。
出来れば家にも居たくない。
足掻いてどうにもできず、ただただ顔を手のひらで覆う。
血にまみれた印象、血なまぐさい朝。
忘れられないあの様な夏に今年も至ってしまった。
息はできていますか。
白濁のため息を無意識に躯から追い出しても、その中に幸せは見出せない。
逃げてしまっては勿体無いほどの幸せを、あたしは躯の中に溜め込んではいない。
空は灰色。
お腹は空けど、食物を受け付けようとはしない。
たくさん眠りたいのに、ここから動くことが億劫。
目を閉じて、思考を止めて、息を整える、という手順が全く上手くいかない。
油蝉の啼き声が一番良く聞こえる、北方向へ枕を向けて眠ろう。
この目の色にも、もう飽きてしまった。



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由弥 [御手紙]