何かしなきゃいけないのに、何もしたくないのは休日。 部屋を片さなきゃいけない。 誰にも優しくなれないあたしが、誰かに優しくしてもらうことがあって。 胸の中で足首にぐりぐりと巻かれた縄を解きたい衝動に駆られる。 でもなくしたらいやだ。 頑固で天の邪鬼でどうしようもなく子供なあたしを、 あたしは自分らしさとして連れていこうとして、失敗した。 それでもまだ連れてゆく別の手段を考える。 あのコ達と同じように成長して、同じようになりたくないよ。 どうしてもなりたくないよ。 誰かに思われることを嫌悪していた。 好きも嫌いもいやだった。 今は嫌われる方が好き。 嫌われることに負けたくないと思う。 好かれた甘い生き方はとてもとても嫌だ。 お花畑に住んでいる妖精さんのようだと嘲笑う。 とてもイヤな生き物だと思うけれど、そうした方が生きることを感じれる。 負けるのはいやだ。 でも別に勝ちたいと強く願っている訳じゃない。 負けるのがいやなだけよ。 最悪な生き物ね。
成人式へ行ったよ。 全員が同じ顔に見えた。 あの頃、生き張っていた子は存在感すら無くなっていた。 変わることを嫌がってとても素直で綺麗だった子は、汚れてた。 社交辞令なんていうのよ。 笑えない。 あたしは笑った。 そんなものとは別に、あの頃とは違う無邪気さで、笑った。 曖昧になった懐かしい繋がり。 まるで仮装パーティーの様だった。 やっぱり中学校は嫌いだ。 あの頃のようにあたしはまた泣ける。 あたしは忘れていない。 馬鹿らしい箱の中に居た。 もう会うことなんてないけれど。 でも本当はとても悲しかった。 何も変わってない。 誰も同じように変わってゆくところが。 少しは期待していた。 でもだれも同じジャガイモの顔してた。
”あの時”という曖昧な言葉で、いつも過去を独占してきた。 誰にも渡したくない。 正体を見せている振りをして、本当は布をたくさん被っていく様だったよ。 無力な自分を知っていたから傷や痛みで武装していたんだ。 得体の知れない寂しさや悲しさが込み上げても、未だに宥め切れない。 いつもひとりだと、相変わらず思う日々。 友達といても誰かといてもとても大切にされてても、ひとりなものはひとり。 誰かがいる、などと今更に自惚れたところで、生きれなくなるだけだ。 寧ろそんなことを出来なくなったのはもうずっとずっと前。 自分以外は他人、そう思うようになる前の話し。 神様の存在も未来の存在も運命の存在も、見えないのに信じてしまう危うさもあたしにはない。 ちゃんと今は昔より現実に近付いている。
さびしくてさびしくて、小さな頃を思い出す。 旅行で来た東京の、足下に広がる未知な世界。 明るくてあたしは、何度も窓に張り付いては見ていたよ。 いくつもの夜を感じた。 ひとりひとりの生活を、あたしがこうして今夜を見ていて、 こうして見ているあたしの夜の他に、無数の明かりの中でみんなが夜を生活していた。 それなのに今夜は3人の存在しか気付かなかった。 錆びれてしまった新鮮な世界、あたしはそういう物悲しさにとても死にたくなる。 あたしは子供じゃない。それでも子供だ。大人じゃないのなら子供なんだ。 それでも違う、自分の存在が見えない。
あと6日であたしは東京からいなくなる。 家に帰るんだ。 それからあたしはうたうことをやめないよ。 今度は自分の力で、東京に出てくるんだ。 自分の稼いだお金と、培ったうたと、それを諦めなかった自分の心が、 目標にそぐったのなら、あたしはまた東京へ住みに来るよ。 いままで東京に住めてよかった。 見えるものになら希望をいだける。 あたしにはもっとたくさんのやることがある。 それをこなしてちゃんとする。 力を入れずにあたしは自分のあるだけの思いで頑張るよ。 さようなら。 同じような人間にはなりたくなんてない。
昨日、二十歳になった。 誰かが言っていた通り、なにも変わらない。 自分の誕生日なんか興味ない、とか思っていたのに。 友達が合流第一声におめでとうって言ってくれたり、メールをくれたりした。 それだけで、存在が救われたような気持ちになったんだ。 10年を闇のなかで見ていた気がしてた。 まだ浮き上がる途中、無事に浮き上がれるかも分からない。 最近、ちゃんと眠れるようになった・よく笑う・ちゃんと言う・ちゃんと怒る。 それから、よく遊ぶ・よく出掛ける・泣くことも、出来るようになった。 案の定あの日の予感はそうなって、そのひとから告られた。 それの少し後、友達の友達からも告られたけれど、もう暫くは特定の男も要らない。 あたしは男のひとと友達で居ることが出来ない。 いままでもそうだった。 だから楽な女友達と遊びまくる、男はあとでいい。恋愛なんて興味ない。 成人式が近い。 19歳から20歳になる時よりも、18歳から19歳になる時のほうが苦しかった。 ひとの悪口を言わない。 嘘を吐かない。 自分に誠実に生きたいと思った。 誰かに流されず、大人にもなれず、溶け込まないような人間で居るよ。 あたしは、今、未だ、大人にはなれない。 うたをうたうよ。 元気でいよう。 悲しくてももう生きれる気がした。 死にたいと今までと変わりなく思うこともあるだろう。 だけど、死ななかったから、これからも思って傷を作るだけだ。 さようなら。
|