⊂屈折した未来⊃
2002年07月31日(水)

あたし、うたをうたっていること。
学校入学の書類を書いた、父親以外は知らない。

あたしの通っている専学に興味を持った子達が見学に来た。
二時間粘ったけれど結局、専攻を吐いた。
何でだろう、何か進学に協力してあげたかったから。
だけどあいつが、またあたしの専攻を聞いてきた。
あなたには関係の無いことよ。
何でもかんでも立ち入ろうとしないで。

あたしには夢だった。
どれだけの時間掛けて、どれだけ体を巡らせて。
此処まで辿り着いたと思ってるの。
此の想いを護る為に、どれだけの嘘を。
どれだけの傷を。
どれだけの苛立ちと、戦いを見てきたのか。
知ってる?
此れ以上、誰にも云わない。
あたしの何かが壊れそうだよ。
それでなくともどんなに場違い感を、身に触れさしていると思う。


此れ以上、近付かないで。

誰も。

誰も。


今でさえ尚も、夢を想うと。
屈折した感情に、腕を裂いてまで。
堪えて逃げたくてもずっと、此処で。
気狂いじみた腕。
伸ばして伸ばして、何時か必ず届くように。

誰にももう、触らせない。

嘘吐くことにも、もう慣れたから。
傷付けても構わない。

絶対に護るもの。


⊂こおり⊃
2002年07月30日(火)

お風呂上りにふと、誰かを好きになりたいと思った。
ただ、好きになれるひとが在ないだけだよ。
理想が高い、とかそんなんじゃなくて。
好きになれるひとが在ないだけ。
誰も在ない。


運命否定派のあたしは。
友達の話しにウンザリする。
現在のあたしが運命という決められた道筋通りだったとしたら。
それこそ絶望。
明日からも決められているなんて、気が遠くなりそうだった。
てのひらの上は居心地が良い?
あたしはあたしで生きるよ。
気が狂いそうな話し。

話ししててさ、盛り上がってる時。
楽しくて何も目に入らない時。
だけど一瞬、ふと。
我に返って。
冷める。
そうして、外れて。
今まで自分も入っていたひとの塊が。
只の街の一部に思える。
行き場所が無い。
短い。


⊂睡眠拒絶⊃
2002年07月29日(月)

眠れなかった。
恐かったから。
死ぬ事が恐かったから。
眠らなかった。

目を閉じると、息が止まって仕舞う気がする。
真っ暗になった瞬間が、最後の思い出のような気がする。
臆病なひとだ、あたし。
朝、テレビ観て。
うたうたいのひと達の、逞しい声を聴いた。
羨ましくて少し、元気になれた。
うたいたい。

一晩中、窓を開けてベランダに居た。
涼しい風がまるで秋みたいで、秋になったらどうなるのかと不安になった。
夏が終わって秋になる時、どれだけの思い出が押し寄せるだろう。
体中が痣になりそうな摩擦で。
息も出来ずにもがきそう。
夏は始まったばかり。
思い出は大切だけど、どうも上手く思い出にし切れなくて。
釣り針に掛かったように、脳味噌が引き千切れる。

今日帰ったら、友達に会える。
毎日、夕立ちが来る場所。
頭がおかしくなるほど静かで。
鼓膜の裏に、蝉が卵を産む。
誰も居ない毎日。


⊂螢灯⊃
2002年07月28日(日)

涼しくていい日。
随分眠った。
起きたのが14時半くらいで、それからお買い物に行った。
水とお茶だけ買って。
御飯、いいや。
明日は地元に帰省する。

日記をリニュした。
もう随分、あのままだったような気がする。
半年くらい振りのリニューアル。
↑ここの向日葵、お家に咲いてた花。
向日葵は凄くいい匂いする。

今日はホントに涼しいねー。
エアコンも久々につけない一日だった。
明日は午前中、病院。
先生ね、あたしの腕を見るでしょう?
『此れからはリストカットの痕を消す技術があると、随分儲かるだろうね』
って云ってた。
妙に納得して、良い考えだなーって思った。
儲かるだろうね、もし傷を消して仕舞いたいと思うひとがそんなに在るのなら。

やっぱり息は苦しいままだよ。
どうしたら治るんだろう。
自律神経が壊れてるって云われた。
早く治して、みんなと遊びたい。
うたうたいたい。


息がつづかない。


⊂悪い夢⊃
2002年07月27日(土)

寝れば恐い夢。
何時も恐い夢ばかり。

夕べみた恐い夢。
あたしがじいちゃんを殺した夢。
事故を起こして、じいちゃん死んだ。
あたしが殺したの憶えてる。
あたしが殺した、そればかり未だに繰り返す。

じいちゃんの死んだ日、今でも鮮明に思い出せる。
暖かい春の初めの早朝、夢の奥で聞こえる電話の音。
ひとつだけ開いていた雨戸。
そつない話し声のあと、お母さんの階段を駆け上る足音。
珍しく、妹よりあたしの方が先に起こされた日。
それだけで本当は満足だった。
そして、叱られても言い返せなかった哀しさ。
億劫に起き上がった時の布団の裾の皺、にぶい朝の光り。
味の無いピザトーストの匂い、慰めに過ぎないテレビの声。
急いだように支度を済ませるまでの、長い長い朝の日。
音無。

お葬式で泣かない代わりに、握りしめていた右手。
誰も気付いてはいなかった、ささやかな強がり。
暗い闇の中で閉じ込めた、思い出が溢れた。
そしてじいちゃんが死んだ現実を、未だ受け入れない躯。
だって在るもの。
いつも、階段を下りて。
庭に向かう砂利の上。
擦れ切った声で、生きていた。
あたしは、じいちゃんを殺したのはあたしだと云われた時。
無意識だった反面、其れに納得していたから。
忘れて仕舞う事に、封印された言葉に。
出口を見失って、予感と共に真実に成りかける。

恐い夢。
何が恐かったのだろう。
息が出来ないほど泣くくらい。
振り解ききれない夢だった。


⊂材料⊃
2002年07月23日(火)

約束には、小指と舌が必要。
今日の約束には、舌が足りなかった。
きっとあのコは案の定の破れりに、針を千本用意しているのかしら。
『腕を切りそうになったら、携帯を手に』
なんて。
僕は、船じゃない。
自傷症候群の僕が、みずからに傷を付けないのなら。
一体、誰が傷付く事になるだろう。
何が壊れるだろう。
ねえ、僕は嘘つきの塊で。
こんなにも粉々で。
唇が乾いているのに、喋った跡形もないあなたと。
約束は成立するのだろうか。
電波で送られてくるあなたの想いが。
時々、とてもおもたい。

最近とても、躯が崩れそう。
知らない痣が増える。
背中から崩れてしまいそう。
美味しい水が欲しい。
耳の奥がこすれて、少し変。

壊れるまでが長い。
何処かがキレて走り出せば。
ひとは天才にも、気狂いにもなれるのに。
青か、赤か、僕の指先が。
夏の所為で狂わなければいい。
うただけじゃきっと届かない。
そんな自信の無さ、聞きたくないのに。
うただけじゃきっと僕じゃない。
声や言葉にならない事ばかり多くて。
僕はなにも伝えられないから。
僕で居られるほんの少しのあいだ。
文字にしよう。
ひとつの脆い一瞬の一日だった日のことを。
いつもみたいに百以上の文字に代えて、ひとの脳味噌に焼きつける。
そこに描かれた世界で、存在して往こう。
自分を変えて。
其処に佇む僕を、誰もが見向きもしない醜い僕を。
只の生き物が。
突然、異常になって、触れたい。
生きてく導を見付けた僕は。
証を残す為に生きて往く。
漠然と見付けた理由から、死と云う逃げ道を絶った。
もう強くなろうとも思わない。
何もかも忘れて、必死に生きて往きたいだけ。


⊂浅はかで重い⊃
2002年07月22日(月)

夏休みに入って一週間。
落ち着き、新しいお薬にも慣れ。
やっとネットが出来るくらいの元気なら戻った。

夏休みの一日前の日。
教室であたしの左腕に触れたコがいた。
そして微笑んで、『治るから、大丈夫だよ』そう云って。
彼女も手首を見せてくれた。
そう。
そう思った。
色んな言葉を知っていたそのコは。
あたしと同じリストカット常習者で。
とてもとても強かで。
この学校に入った日、羨ましいと思った、長い長い黒髪のコだった。
細くて背いが高くて。
存在感の有るひと。

それからそのコはあたしに、毎晩メールをくれる。
『気分はどう?』
気分は良いのか悪いのか、本当はあたしも良く解っていない。

未だに。



今年の夏休みも、大阪に行く事になった。
去年は春だったか。
一昨年の夏休みに行った所と同じ場所。
ライブに行って、友達と遊んでくる。
パニックの発作も治まった。
幸い、新しいお薬と躯の相性が良いみたい。
息が苦しくなくなった。
それだけで幸せ。
だけど夜が恐いまま。
お薬は暫く手放せないかな。


⊂夕立⊃
2002年07月10日(水)

夢かと思った。
朝、目が覚めて、昨日、苦しかったことも。
あんなに元気で居れたのに、今は息が苦しくて怖いばかり。

未だ続く窒息感を紛らわそうとしてお昼寝をした。
息が出来ない気がして、何度も目が覚めた。
母親に電話しても、仕事中だからどうも出来ないし。
あたしはひとりで腕を天井に伸ばして。
痺れている指先を眺める。
死んでしまいそうだった。
学校に行きたい。
うたうたいたい。
早く治らないかな。
病院に行かなきゃ。
眩暈も酷くなってくる。
この間は自律神経が弱ってるって言われた。
何故。

夏休みは楽しいことを詰めた。
どうにか成る筈だから。
だから、落ち着いたら学校へ行こう。
頑張ろう。


⊂破棄⊃
2002年07月03日(水)

目が覚めて庭に出ると。
朝霧が酷くて窒息しそうだった。
蜘蛛の巣が森になってた。
息が苦しい。
ずっとなんでだろう。

ひとりで過すのが不安で、実家に帰省した。
生きる欲ばかり先走る。
どこか空回りしてるみたい。
息が苦しい。
眠れなくて、生きてくことばかり考えてる。

この頃、メールを貰うことが増えた。
少し嬉しい。
『少し嬉しい』が口癖だって気付いた。
本当は少しだけじゃないけど。
少しじゃないと悲しくなるから、少しだけ嬉しい振りをする。
だけど幸せだよ。
なんか、無性に。

何で苦しいだろう。
夏になれば治るかな。
お薬をのんでも上手く治らない。
胸が痛い。
もう少しだけ安心していたい。
夜じゃ眠れない身体、昼間ならちゃんと眠れるのに。
どうして上手くいかないかな。
頭がぼーっとする。



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由弥 [御手紙]