cahier@enpitu
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・川上弘美『夜の公園』(中央公論新社)
わたしいま、しあわせなのかな――寄り添っているのに、届かないのはなぜ。恋愛の現実に深く分け入る、川上弘美の新たなる傑作長篇。
お互いが浮気をしている夫婦の物語と言ってしまえば乱暴すぎるけれど、そういうことだ。その4人の視点が順繰りにまわって物語が進む。
川上さんの書くちょっと不思議なお話、彼女の言う「うそばなし」が好きなので、この本はそれほど好きにはなれなかった。恋愛ものなら『センセイの鞄』のあのゆるゆるとした空気のほうが好きだ。
二人は、私という人間の中にある幾つかの種類の「私」のうちの、それぞれ違う「私」とつきあっているのだ。 (川上弘美『夜の公園』(中央公論新社))
これは夫である幸夫の考え。そういうもの、なのかな。
職場を変わって一月。雰囲気は悪くない。仕事がもっとあればなあ、とは思うけれどいつまでもこういうふうにのんびりしているわけでもないでしょう。
どうあるか、と考えることもある。いつまでも派遣のままでいるわけにもいかないとか、それでも働いてるしいいんじゃないとか、答えの出ない考え。
彼とはいつまで続くだろう。気分が沈みこんだ彼はわたしの前から姿を消そうとした。そう決めたのなら仕方がないのかもしれない、と諦めと怒りと悲しみと綯い交ぜになった、それでも彼もこの状況を良くはないと思っていることにはほっとしていた。結局彼は、その言葉を無かったことにして欲しいと言い、先週末は一緒に過ごした。 お互い、この状況を良いとは思っていない。距離も遠い。いつまで続けられるだろう。簡単に諦めることはしたくはない。なんとかなるとは思っている、けれどどちらかの心がまた折れてしまわないだろうか。 今は、彼を沈み込ませるものが早くなくなることを祈るしかできない。それが何かもわからないし、わたしのせいでは全く無いとも言い切れないけれど。
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