★恩田陸。『まひるの月を追いかけて』

『恩田陸』で、『奈良への旅』だったので買った一冊。
知った場所が舞台になると、頭の中でキャラが動き出したり
して楽しいのだ。
しかし…考えてみたら、奈良に住んでいたのに、
奈良の事をほとんど知らない自分を再確認してしまった。
唯一イメージできるのは、奈良公園から新薬師寺のくだり。
明日香は何度か行っているが、かなり昔なので
田園風景と亀石しか思い出せない…(汗)。
子どもの時はやっぱりそういう良さってわかんないんだよね。
今になって、めちゃめちゃ懐かしい、奈良。

ストーリーについては、かなり後半まで引っ張られた。
コロコロと変わるシチュエーション、不安定な人間関係、
現在と過去の交錯、挟まれる小さなお話、そしてあの結末。
片手間に安心して読み進める事はできないことは確かだ。
4分の1ぐらいまで切れ切れに読んでいたのをもう一度
最初から一気に読み直した。
ミステリ、とはちょっと違う気がする。
謎は存在するけれど、それよりもこれは旅。
あー、今の季節、いいだろうなあ、奈良。
(文中の季節とは違うけれど)
京都と奈良の違いについて書いてある部分があったが、
これは本当にうなずける。
奈良は京都のように、現在の中に過去が混じっていない。

余談だが、どこかしこにも煙草の匂いがしてきそうな
煙草吸いたちにちょっと閉口したかな…
2003年10月23日(木)
図書館へ行きましたが。

…はっきし言って、返すの遅すぎ!
ぶらっくりすとに載ってたら、どうしよーーーーーー
かつて、あくまでも故意ではなく1冊だけ忘れていたん
ですが、おはがきをちょうだいいたしたことがございます(恥)。

そして懲りないワタシは、やっぱりまた借りてしまったのであった。
というわけで、今回借りたのは以下の通り。
…だんだん文学的じゃなくなってきつつあるな;;;^^)

「ロミオとロミオは永遠に」恩田陸→でも今先に新刊読みたいんだよね
「ミステリアス学園」鯨統一郎→あああーっ、借りてしまったぁーっ
「ママのどたばたパソコン日記」→メルマガのためのネタさがし
「イラレパズル」→そう勉強中なんですわー
「日本の歴史 平安京の人々」→あっ!なんでムスコのがここに!!
2003年10月19日(日)
★乃南アサ。『行きつ戻りつ』

挿絵でなく写真が使われているので、小説じゃないと
ずっと思ってた;^^)
そうではなく、その短編ごとに舞台となる場所を
著者自身が取材で訪れてカメラに収めている、という
ことだったのだ。

短編集だが、ちょっと変わっている。
まるでそれは、ドラマのワンシーンだ。
ひとつのストーリーが完結しているのではなく、
主人公達の切り取られた1日、といった風情だ。
なぜそうなのか…それは、舞台が彼女達の旅先だからだ。
そして、切り取られているから結末もはっきりあるわけではなく、
それはその日の結末というだけだ。
これから主人公たちがどう歩いていくのか、という
余韻も読者の手にゆだねられる。

大人の女性を等身大にリアルに描くことが
たぶん得意なんだろうなと思う。
なにやら見透かされているようで、たまにはっとする
ことがあるから。
もちろん、大人の恋はしてないんだけど;;;;^^)
2003年10月13日(月)
★森絵都。『永遠の出口』

読み応えがあった、と思う。
なぜなら、この短編ひとつひとつで充分にひとつの話として
成立し得るからだ。
連作短編集であって、そうでないけど、やっぱり連作。
「連作」なのは、もちろん主人公がひとりだから。
「そうでない」のは、それぞれに年代が開いているので、
それぞれの世代を描ききっているから。
しかし、思わず自分の小学校時代、中学、高校、卒業に
想いを馳せた。
そして、たぶんきっと、同じようにまったく違う世代を
皆が泳いで生きてきたのだろう。
もちろん、大人になっても人生の転機はいくつもあるけれど、
子ども時代の比ではない。

こんな風に、自分の人生を紐解いてみたくなった。
2003年10月12日(日)
★松久淳+田中渉 『天国の本屋』

一時期、大変話題になった本。
小さいので、新刊じゃなくなったら、埋もれてしまうのでは
ないかと心配;^^)
実際、図書館で探すのは骨だった。

さて、本嫌いの人におすすめしたい本だ。
そして、本好きの人にも。
読み聞かせ、というのは、もし母親なら誰もが一度ぐらいは
経験していることだろう。
私も実にたくさんの本を子どもに読んだ。
これにも出てくるが、「エルマーの冒険」などのように
昔から名作と言われているのに読んでいなかった本を、
子どもに読む事で初めて読んだことも多々ある。
「エルマー」はかなりはまったな。
当時凝っていたトールペイントに描いちゃったぐらいだから。
そう、子どもが目を輝かせながら続きをせがんで
毎晩のように読んでいたが、いつの日か子ども達が
自分でおはなしを読めるようになって、その習慣は途切れた。
それが、「天国の本屋」を読んで、とても残念に思われた。

私がもし、彼に読んでもらうとしたら、何を選ぶだろうか。

先日天国にいったおばあちゃんは、あとしばらく、
天国の本屋で本を読んでもらうのだな。
きっとおじいちゃんと一緒だな…

最後にくるくる、と回って閉じた物語が、ここちよかった。
2003年10月11日(土)
★光原百合。『時計を忘れて森へ行こう』

光原作品は、単独の本としては二冊目(と思う)。
前に読んだ「十八の夏」の中の短編に心惹かれて、もっと読んで
みたいと思っていた作家さんである。

今回の「時計を忘れて森へ行こう」の舞台は森。
その守人と彼を慕う高校生の語り手の彼女が主人公。

織り成されたたくさんの透明な言葉が、枯れた心に響いた。
「何かできるときに何かしてあげることは簡単ですが、
何もできないとわかっていて、それでも全身全霊をあげて
そばにいるのは本当に難しい」
「悲しみを癒すことは神様と時間にしかできない。
だけど苦しみを悲しみに蒸留することは、もしかすると人間にもできる」

もしかすると、私のアンテナはすっかり錆び付いていたのだ。
たぶん、大切な何かを忘れている。
涙が出た。
2003年10月06日(月)
By ちゃいむ

My追加

*back *next *Menu *First *New!! *Mail *Home* 

Edit by オレンジミルク。